Do's and don'ts 心得るべきこと (連載第411回)

 7月上旬に西日本を襲った豪雨による洪水や土砂災害が広範囲に甚大な被害を引き起こした。被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げたい。

 ツイッター利用者のひとりとして、今回の災害を教訓に緊急時における情報発信の心得を書き留めておく。

 災害発生直後はツイッターなどSNSの使用を避けたほうがいい場合がある。投稿したさに写真や動画を撮っていては避難が遅れかねない。他に伝達手段があるなら救助要請をやたらと拡散しないことだ。情報が錯綜してかえって救助の妨げとなる。

 豪雨の予報が出ていたにもかかわらず、与党の宴会で楽しそうに酒を酌み交わす写真を掲載した首相周辺の危機管理意識の欠如が問題視された。豪雨発生時にたまたま飲み会を開いていたことが咎められたわけではないのに、それが誤解を与えたなどと投稿者が的外れな釈明をしたものだからまた炎上した。災害など緊急時には情報発信を内閣の公式アカウントに一元化し、閣僚や与党幹部はSNSへの投稿を自制すべきだろう。

 一方、災害対応現場ではツイッターの効果的な活用が目立った。倉敷市は個人からの支援物資提供を辞退すると早期に宣言し、必要な機材を明記してツイッターで要請した。陸海空自衛隊は給水・入浴支援日程の告知や日々の活動報告をツイッターに投稿した。不要な情報の氾濫を避け、必要な情報のみを端的に発信するのは緊急時コミュニケーションの要諦だ。

 被災地の人々に向けて温かいメッセージをツイッターで送るのは近頃の政治家がよく使う手だ。台湾の蔡英文総統は今回もいち早く見舞いの言葉を寄せた。ツイッター好きのトランプ米大統領もOur prayers are with those affected by the flooding in Japan. We commend the rescue efforts and offer condolences to all who were injured or lost loved ones.(日本の皆様と共に洪水に遭われた方々のご無事をお祈りします。救助の努力を称え、負傷者[へのお見舞い]と愛する家族を失われた皆様に哀悼の意を表します)と表明した。被災地視察中の写真を載せた安倍首相のツイートを転載(retweet)する形で投稿したのは政治的盟友に対する配慮だろう。政敵やマスコミに対する悪口雑言が多い大統領は、味方への気遣いも怠らない。

 緊急時の問題は平時には気付きにくい。この機に反省すべき点を反省して今後の対応に活かしたい。

(『財界』2018年8月28日号掲載)


※掲載日:2018年8月28日
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