Digital signage デジタルサイネージ (連載第410回)

 かつて街中で煌々と光り輝く看板といえばネオンサイン(neon sign)や電光掲示板(electronic message board)だった。私は1980年代半ばの一時期、広告販促物に関わっていたが、中に蛍光管が入った行灯型の看板(内照看板)も含めた総称としてその類を電飾看板(illuminated sign)と呼んでいた。

 その頃、1985年につくば市で開催された科学技術博覧会にソニーがジャンボトロンという独自開発の発光素子を使った巨大な(25m×40m)映像表示装置を展示して話題を呼んだ。その後、この種の大型表示装置はLED式に取って代わられたが、今日では野球場などのイベント施設に欠かせない設備になっている。

 平面ディスプレイ(flat panel display)の普及と低価格化に伴い、駅構内や地下街など人通りの多いところではそれに静止画や動画を表示した広告をよく見かける。それを普通名詞で何と呼べばよいか。人や業界によって「電子看板」「デジタル看板」とまちまちだが、その種のシステムを製造販売している会社のウェブサイトなどで見ると「デジタルサイネージ」(digital signage)という用語がよく使われている。一般向けの記事でもこのカタカナ語表記が主流になっているようだ。

 先日、大阪府北部を中心に強い地震が発生した直後には、外国人観光客が必要な情報を入手できず右往左往したという。旅行者がよく使う安宿のフロントでは往々にして英語が通じない。スマホは持っていても、日本語で書かれたアプリやウェブサイトで必要な情報をどこでどうやって探せばいいか、とっさには思いつかない。聞くところによると、その地震では日本人の通勤通学客でさえツイッターなどのSNSの口コミに頼らざるを得なかったという。

 このような災害時には、平時は広告や観光案内を表示しているデジタルサイネージで避難場所や交通情報を自動的に受信し、日本語と外国語で表示したらどうか。画面に表示されたQRコード(square barcode)を読み取らせれば自分のスマホで必要な情報を探して表示できるようにするとなお良い。そう考えて検索してみたら、この種のサービスはすでに提案または実用化されているようだ。

 日本各地でますます増えそうな訪日客の不安を取り払うためにも、交通当局や地方自治体にはひとつ工夫願いたい。

(『財界』2018年8月7日号掲載)


※掲載日:2018年8月28日
※このページの無断複写・転載は固くお断りします。
©Yoshifumi Urade 2018  All rights reserved.