Lodging facilities 宿泊施設 (連載第396回)

 最近スペインからの独立騒ぎがあったカタルーニャ州の州都バルセロナの住民にはかねてから観光客の急増による生活環境悪化への不満があって、一部では観光客排斥運動まで起こっているという。外国人観光客(foreign tourists)の増加を目指すこの国にとってこの問題は他人事ではない。現に、京都や鎌倉などでは公共交通機関の混雑などの問題が生じている。

 宿泊施設(lodging facilities)の不足を解消するためにいわゆる民泊(vacation rental)の規制緩和に向けた動きがあるが、地域社会のルールやマナーを知らない余所者の旅行客による迷惑行為や犯罪の増加を心配する声も多い。

 私の住む新宿区の住宅地でも最近、外国人の姿をよく見かける。拙宅と敷地を接する隣家はしばらく前にリフォームして外国人も間借りできるシェアハウス(shared house)に変わった。私の個人的な経験から言えば、外国人でも在住者(residents)は概ね善良だ。家の前で顔が合えば日本語で挨拶してくるし、ゴミ出しなどのルールもきちんと守っている。

 問題を起こしそうなのはやはり「旅の恥はかき捨て」とばかりに傍若無人に振る舞う旅行者だ。もっともその点に関しては日本人観光客も外国で同様のそしりを受けているかもしれないので、偉そうなことは言えないが。

 観光客には公共観光施設の入場料(admission fee)などを高く設定してその収益を観光インフラの整備に充てるべきだという考えがあるが、私も賛成だ。そもそも金銭的な余裕が無ければ海外旅行などできないのだから、いただける方からはいただいて地元の役に立てたほうがいい。高い料金を払ってでも見たいという観光客にこそ見ていただく価値があるというものだ。学生などは割引料金で利用できるようにすれば問題あるまい。

 宿泊施設不足の対策としては、安易に民泊を認めるのではなく、旅館など既存の宿泊施設の外国人向けゲストハウス(guesthouse)への転換を奨励した方がいい。実際そのように衣替えした古い和風旅館が外国人観光客の人気を集めているという。言葉が通じないことが問題なら、英語のできる学生や留学生をアルバイト従業員として周旋することで解決できるだろう。ロビーなどに国際交流の場を設ければお互いに良い経験になる。国際感覚をお持ちの議員の先生方にぜひご検討願いたい。

(『財界』2018年1月16日号掲載)


※掲載日:2018年1月30日
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