Instagrammable インスタ映えする (連載第392回)

 インターネットの世界は流行り廃りが著しい。その草創期からのユーザーを自負している私などあっという間に置いていかれる。

 写真投稿サイトのインスタグラム(Instagram)利用者の急増もそうだ。普段は写真を撮ることも滅多に無ければプライベートな写真を人に見せる習慣も無い私には無用の長物だが、今や若者の間で大いに流行っている。インターネットで写真を公開する風習自体はホームページしか無かった昔からあったが、その後、デジタルカメラとブログの普及で急拡大した。今時の若者はスマホで目新しい食べ物やら風景やらを撮っては次々とインスタグラムに投稿し、それを見た人から「いいね!」ボタンのクリックという形で賞賛を獲得することに喜びを感じるようだ。

 インスタグラムで見栄えがする被写体(背景)を形容して「インスタ映えする」というらしい。英語でもそれにあたる表現がネット上に多数見られるから、インスタグラムへの写真投稿は海外でも流行っているのだろう。英語ではlook great/beautiful on Instagram (インスタグラムに載せると見事に/美しく見える)とでも言えば私のような門外漢にも通じるだろうが、より簡潔にInstagram worthy (insta-worthy)、instagrammableやinstagenic といった形容詞句もよく見かける。

 インスタグラムユーザーが写真を投稿したという通知が私のツイッターにも表示されることがある。リンク先を開いてみると、写真とキャプション、それに「いいね!」を押した人のユーザー名が並んでいる。ツイッターでも短い文章のほかに写真も載せられるのだが、写真の公開が目的だとすれば、インスタグラムのほうが楽なのだろう。ツイッターはうっかり余計なことを書くと難癖をつけてくる人が現れるなど煩わしいところがあって、私も思ったことを必ずしもそのまま書けない。インスタグラムは文章によるコミュニケーションを排除したことが奏功したのかもしれない。

 インスタ映えする写真を撮るのに夢中になるあまり、飲食店や公共の場所で無遠慮に振る舞ったり、崖の上や線路上など危険な場所に立ち入ったりする行為が問題になっている。私のような中高年は眉をひそめることもあろうが、そのあたりは皆でよく話し合いながらルールやマナーを確立していく努力が求められる。

(『財界』2017年10月31日号掲載)


※掲載日:2017年11月14日
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