Posting 投稿/投函/掲示 (連載第390回)

 "No one is born hating another person because of the color of his skin or his background or his religion."(肌の色、出自や信仰を理由に生まれながらにして他人を憎む人はいない)。米国で白人至上主義者と反対派が路上で激突し死者まで出たその日、米国のオバマ前大統領が故マンデラ氏(南アメリカ元大統領)の言葉をツイッターに投稿(posting tweets)して注目を集めた。その言葉はこう続く。"People must learn to hate, and if they can learn to hate, they can be taught to love."(人は憎むことを学ぶに違いない。憎むことを学べるなら、愛するように教えることもできる)"For love comes more naturally to the human heart than its opposite."(愛はその対極にある憎しみよりも自然に人の心に根付くものだからだ)。

 トランプ大統領が当初、白人至上主義者を直接非難しなかっただけに、前任者であるオバマ氏のこのツイートは大きな反響を呼んだ。トランプ大統領にしても、国民を励まし関係者に感謝の意を表すなど、国の指導者に相応しい投稿も少なくない。国民の共感を呼ぼうと、逆に反感を買おうと、その発言がリーダーとしての人となりや考えを伝えるものであれば、役人が用意した紋切り型のコメントを繰り返すよりはずっと意味がある。

 一方、この国ではまたもや地方議員が政務活動報告の印刷を架空発注して公金を詐取した疑惑が持ち上がっている。渦中の議員は自分と知人でそのチラシを投函(posting leaflets)して回ったと弁解していたが、テレビの取材で尋ねられた地元有権者でそれを見たことがあると答えた人は一人もいない。たとえ本当に刷っていたとしても、その効率はすこぶる悪い。議員個人の宣伝目的に利用されるだけでなく、不正の温床にもなりがちなこの種の支出を公費で賄う陋習はいい加減に廃止すべきだ。もちろん、パソコンやスマホを使わない高齢者のために紙媒体による情報提供も残すべきだが、ホームページに掲示(posting on a website)した報告文を要求に応じてコピーして渡すなり郵送するなりすれば済むことだ。

 ツイッターは今日、企業だけでなく政治家や官公庁の情報発信にも広く使われるいわば社会の公器になったが、基本的には無料で使えるだけに、その経営は決して楽ではないらしい。これらのユーザーは何がしかの対価を払ってこのSNSを情報インフラとして支えてはどうかとも思う。

(『財界』2017年10月3日号掲載)


※掲載日:2017年10月17日
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