Battery 電池 (連載第370回)

 某社製のスマートフォンの最新機種が相次ぐ発煙(fuming)・発火(catching fire)事故で回収、生産中止に追い込まれた。そのスマホの飛行機への持ち込みを拒否された乗客がバッテリーを引き抜こうとしても発煙したというからどうにも手に負えない。俗に言うガラケー、一般に多機能携帯電話(feature phone)と呼ばれる従来型の携帯電話(conventional mobile phone)を使っている私は知らなかったが、最近のスマホはユーザー自身でバッテリーを交換できない機種が多いようだ。すぐに電池を取り出せないような作りの装置はこういうとき困る。

 スマホに内蔵されている充電式(rechargeable)のバッテリーは大容量のリチウムイオン電池(lithium-ion battery)だ。この種の電池は発熱しやすく、以前もノートパソコンで発煙・発火事故を起こしたことがある。もちろん普通はきちんと安全対策が施されている。現に私が使っているガラケーも前述の某社製だが、7年近くも使っていて何も問題無い。例のスマホの事故の原因はわかっていないそうだが、薄型化が進む中でどこか設計に無理があったのかもしれない。

 懐中電灯やラジオに使われている乾電池(dry [cell] battery)はいきなり火を噴かないだけ安心だ。再使用できないのは不経済だが、いちいち充電する手間も無く、よく使う単三(AA [double A])や単四(AAA [triple A])電池を買い置きしておけば、災害発生などいざというときすぐに役立つ。

 とは言え乾電池にも欠点はある。長期間入れっぱなしにすると液漏れしやすい。扇風機は季節の終わりにしまう際にリモコンから電池を抜いておくようにしているが、テレビのように年中使っているものだと気付かないうちに液漏れしてリモコンが動作不能に陥ることがある。液漏れが軽微なら、リモコンの電池端子部分を紙やすりで軽くこすって付着物を落とすと復活することもあるので、諦めて買い替える前にお試しあれ(注:漏れた液や粉に素手で触れないこと)。

 安全面ではボタン電池も悪くないが、規格が多過ぎるのが難点だ。例えばCR2025とCR2032は電圧も直径も同じなのに、厚さが少し違うだけで互換性がほとんど無い。ホームセンターや百円ショップに行けば大体揃っているが、買い物が不便な地域に住む高齢者は難儀しそうだ。

 電池などの消耗品(consumables)を使う製品は、ユーザーの便宜にもっと配慮して設計してほしい。

(『財界』2016年12月6日号掲載)


※掲載日:2016年12月20日
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