Wish list 欲しいものリスト (連載第366回)

 米国の子供がプレゼントに欲しいものを書いたリストを手にしている姿を映像で何度か見かけた。この種のリストを英語でwish listと言う。日本語では「欲しいものリスト」とか「願いごとリスト」と訳されている。近頃は「ウィッシュリスト」とカタカナ語を使う向きもあるが、私のような中高年世代には通じないかもしれない。

 私自身について言えば、やらなければいけないことのリスト(to-do list)なら学生時代や会社員時代にはよく作ったものだが、自分の欲しいものや願いごとをリストにした記憶が無い。もともとそのような習慣が無い上に、物欲に乏しいからだろう。私も利用している某通販サイトには自分の欲しいものリストを作成してネット上に公開する機能があるが、私は使っていない。必要なものを必要な時にしか買わないから、それも当然だ。

 ちなみに英語のwish list は「要望事項」または「願望の羅列」という比喩的な意味で使われることがある。例えば、 It is nothing more than a wish list. は「それは単なる願望の羅列に過ぎない」という意味になる。

 これもwish list の一種と言ってもいいと思うが、英語には bucket list という言葉もある。読み手によっては「バケツリスト」や「バケットリスト」と訳しても通じるかもしれないが、私はこの言葉を題名に冠したアメリカ映画 The Bucket List(邦題『最高の人生の見つけ方』 2007年公開)を見るまで知らなかった。余命宣告を受けた裕福な男(ジャック・ニコルソン)が同じ病室で隣り合わせた、やはり余命幾許も無いもう一人の男(モーガン・フリーマン)と連れ立って、世界を旅して死ぬまでにやりたいことを次々と実現していく物語だが、それに出てきた「死ぬまでにやりたいことのリスト」をbucket listと言う。その語源は定かではないが、kick the bucket(死ぬ、くたばる)というスラング(俗語)に由来しているようだ(縄で首を括って踏み台にしたバケツを蹴り飛ばすという発想から来ている言葉らしい)。

 その映画、前半では二人の珍道中がユーモアたっぷりに描かれているが、後半ではちょっと涙を誘い、結末に向かって人生で本当に大切なものは何かを考えさせてくれる。夢や希望に溢れていた若かった頃の自分とは違って、やりたかったことも大方やって人生の折り返し点をとうに越えた今の私には、その大人向けの寓話に少なからず感じ入るところがあった。

(『財界』2016年10月4日号掲載)


※掲載日:2016年10月18日
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