Amusement park 遊園地 (連載第357回)

 行楽シーズンになるとテーマパーク(theme park)のアトラクションやイベントの紹介をよくテレビで見かける。情報バラエティ番組や旅番組はおろかニュースと称する番組でも同じ話を聞かされると、この種の娯楽施設からすっかり足が遠のいた私のような朴念仁はいささか辟易する。どういうわけか、どのテレビ局も二、三の有名テーマパークばかり取り上げているような気もするが、そこは何か大人の事情でもあるのだろう。

 私が幼少期を過ごした1960年代にはまだ「テーマパーク」はこの国にはなかった。大観覧車(Ferris wheel)やジェットコースター(roller coaster)などの遊具がある娯楽施設はことごとく「遊園地」と呼ばれていた。英語ではamusement park(または pleasure ground/英国ではfunfairとも)という。

 米国発祥の大規模な遊園地が国内にも造られた1980年代以降、テーマパークという言葉が一般に広まった。テーマパークと遊園地の境界は必ずしも明確ではないが、米国の娯楽業界では比較的小規模な遊園地を「ファミリーエンタテインメントセンター」(Family Entertainment Center, FEC)などと総称しているようだ。テーマパークのような巨大アトラクションこそないが、昔ながらのゴーカート(go-kart)、バッティングケージ(batting cage)、幼児向けの乗り物(kiddie ride)のほか、射的(shooting booth)やモグラたたき(Whac[k]-a-mole)といったゲーム機(arcade game)が並ぶゲームセンターが併設された所もあり、屋内型遊戯施設の多くもこの範疇に含まれる。

 米国にはこのほか[traveling] carnival (英国ではtravelling funfair)と呼ばれる移動遊園地があるが、日本育ちの私はあちらの映画やテレビドラマでしか見たことがない。

 英語で thrill ride と呼ばれる種類の遊具を近頃の日本語では「絶叫マシン」という。この言葉も昔はなかったと思って手元の古い国語辞典を引いてみたら、案の定どれにも出ていない。その昔、遊園地でスリルのある乗り物といえばジェットコースターくらいしかなかったから、当然かもしれない。

 少子化や地方の過疎化の影響もあって、昔ながらの遊園地が閉園したという話をときどき耳にするが、自分が行った場所でもないのに、なぜか一抹の寂しさを感じてしまう。せめてその跡地は廃墟のまま放置するのではなく、自然に返すなり、新しい街づくりに活かすなりしてほしい。 

(『財界』2016年5月24日号掲載)


※掲載日:2016年5月24日
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