Twitter gaffe ツイッターでの失言 (連載第349回)

 差別的な発言や脅迫的な言辞をツイッター(Twitter)に投稿して世間の指弾を浴びたという話が後を絶たない。賢明な読者諸氏にはその手の心配は無用と思うが、ツイッターを使っている私は自戒の意味も込めて、この問題を取り上げることにした。

 このような失敗が繰り返される原因のひとつは、匿名で(anonymous)投稿していれば安全だという油断にある。某地方紙の要職にある記者が他人に向けた脅迫めいた言葉をツイッターに投稿して騒動になった。彼のアカウントは偽名(pseudonym)で作ったものだったが、海千山千のネットユーザーたちは、過去に投稿された記事や写真などを手掛かりに、投稿者の身元を立ち所に特定してしまう。

 投稿者が知名度も社会的地位もない私のような無名の輩(nobody)なら、多少問題のある発言を投稿したとしても無視されるだけだ。ところが、これが国会議員や地方議員、公務員、有名企業や報道機関の幹部職員が発したものとなると、失言(gaffe)として徹底的に叩かれる。インターネットがなかったその昔、こういった失言は記者会見などの公の席でしか起こり得なかった。しかし、自宅のパソコンやスマートフォンからいつでも意見を発信できる今日では、それが冗談であれ失言であれ、いとも簡単に拡散してしまう。現に、差別的な発言を投稿したと非難された地方議員らは、夜中に酔った勢いでつい書いてしまったと弁解していた。口は災いの元だ。身分を保証された議員や経営者ならその地位に留まることもできようが、公務員や会社員は懲戒処分を食らうこともある。

 思うに、少なくとも公人は、実名・匿名に関係なく、ツイッターでは個人的見解を表明しないのが無難だ。失言した後で、それは誤解だ、文脈を通して読めばそれほど悪い意味ではないとわかるなどと言い訳したところで焼け石に水だ。そもそも1回に140字までしか書けないツイッターは、考えをきちんとまとめて述べるのには適していない。ツイッターはニュースや身近な話題を簡潔に伝えるだけの手段と割り切って、意見を公表するなら、長く書けるブログの類や公式ホームページに載せることだ。

 さらに言うなら、社会的地位があると自負される方は、ネットでは余計なことは一切書かないほうがいい。物言わぬは腹ふくるるわざとはいうが、人への不満や愚痴をこぼすのは、内輪の場だけにしておきたい。

(『財界』2016年1月26日号掲載)


※掲載日:2016年1月26日
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