Timer recording タイマー録画 (連載第332回)

 寝室に設置した安い液晶テレビで録画するのに外付けのハードディスクドライブ(HDD)を買った。前から茶の間で使っているテレビにはブルーレイに録画する機能があるので、寝室のは見るだけでいいと思っていたが、百時間も録画できる容量1 TB(テラバイト)のHDDが7〜8千円と私にも手が届く値段に下がっているのを知って、つい手が出た。

 録画装置は、あればあったで便利だ。HDDならブルーレイのようにいちいちディスクを交換する手間がかからない。茶の間のテレビなどとの互換性はないが、テレビ番組を録画してあとで見るだけならその必要はない。

 このようなタイマー録画(timer recording)機能は、かつての家庭用ビデオの普及期には「留守録」とも言ったと記憶しているが、今では「予約録画」という言い方が一般的らしい。うちのテレビの取扱説明書にもそう書いてある。呼び方なんか別にどうでもいいが、その昔、家電メーカーに勤めていた私はつい気になる。

 タイマー録画を意味する英語にタイムシフト(time-shift)というのがある。ウォークマン(Walkman)と同様、これもソニー発祥の英語だ。1970年代後半、初の本格的家庭用VTR(米国ではVCR=video cassette recorder)「ベータマックス」を売り出したソニーの故・盛田昭夫会長(当時)発案のコンセプトとして知られる。今では考えられないことだが、当時、家庭用VTRを発売したことで、ソニーは米国の映画会社から著作権侵害で訴えられた。結局、家庭用VTRの主な用途は、タイムシフト、つまり番組を録画することによって時間をずらして見ることにあって、著作権侵害には当たらない、というソニーの主張が米国の最高裁で認められた。

 ちなみにこのtime-shiftという英語、改めて調べてみたら、手元の英和辞典にも出ていた。インターネットで検索したところ、一部では今でもこの意味で使われているようだ。

 話をHDDに戻すが、録画時間は百時間でも私には十分すぎる。録画した番組は見たら消す。少し見て面白くなさそうだと思ったら、ただちに消す。かつてアナログ放送の時代には番組を「永久保存」しようと思って(誤消去防止用の)ツメを折って大事に保存したビデオカセットも、その大部分は二度と見ないまま捨ててしまった。

 最初のうちは目新しさもあって映画などを何本か録画したが、早くも飽きてきた。ネコや鳥が動き回る動物番組を好んで見るうちのネコでさえ、同じ番組を何度か見せると、やがて見向きもしなくなる。

(『財界』2015年5月12日号掲載)


※掲載日:2015年5月26日
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