Conversion 変換、転換 (連載第329回)

 歳月の経つのは早いもので、2011年7月にアナログテレビ放送が終了してから3年9か月を経た今年3月にはケーブルテレビ(CATV)のデジアナ変換(digital-analog conversion)サービスも終了するという。

 近所に建った高層マンションのせいでアナログ放送時代は難視聴地域に入っていたわが家の寝室では、無料のケーブル配信を利用して古いブラウン管(CRT)テレビをそのまま使ってきた。東日本大震災では台から転げ落ちたこの古いテレビ、それでも壊れずに頑張ってきたが、ついに引退を余儀なくされた。この際、捨てようかとも思ったが、この種の家電の廃棄には費用がかかることもあって、取りあえず1階の安全な場所に降ろした。ブラウン管特有のぼうっとした画面が寝室にはちょうどよかったのだが、映らなくなるのでは仕方がない。

 地デジ放送の開始直前には2台同時に買うのを躊躇した薄型テレビ(flat-screen TV set)は、今日では貧乏な私にも手が届くほど安くなった。大画面テレビは寝室では眩しすぎるし場所も限られているため、小さめの24型テレビを選んだが、地上波/BS/CS対応の国内メーカー製でも型落ち品ならかつての最低価格帯(lowest-end)の14型ブラウン管テレビ程度の値段にまで下落している。ただし、大手家電メーカーが相次いでテレビ生産から撤退したこともあって、選択肢は自ずと2、3社の製品に絞られる。もっとも、起床時と就寝時に見るくらいなら、機能や性能をあれこれ比較するまでもない。少し下や横から見ても画面が暗くならない程度の視野角の広さ(wide view angle)があれば十分だ。以前は気になった録画機能の互換性(compatibility)については、まったく考慮しなかった。昨今では、わざわざ録画してみたいテレビ番組などほとんどないからだ。

 たまたま立ち寄った量販店の店頭で見たら、ネットで調べておいた価格よりも安い在庫処分品が出ていたので、即決で購入した。「配達してもらえますか?」と店員に聞いたら、「皆さん持って帰られますよ」と言われた。かつてのブラウン管テレビとは違い、液晶テレビなら24型でもわずか5 kg。これなら非力な私でも運べる。

 さっそく設置したところ、画面がほどよく暗くて実に良い。周囲の明るさに応じて画面の明暗が自動調整されるように出荷時に設定(factory-set)してある。リモコンのオフタイマーボタンが電源ボタンのすぐ隣にあって使いやすい。このクラスのテレビは、最初から寝室で使うことを想定してあるのだろう。気の利いた設計にちょっと感心した。低価格品でも日本のメーカー品にはやはり一日の長がある。

(『財界』2015年3月24日号掲載)


※掲載日:2015年3月25日
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