Fan 扇風機/換気扇 (連載第269回)

 今夏〔2012年夏〕もわが家の各部屋で活躍している扇風機(electric fan)のうち古い1台が動かなくなった。そこで、ひさしぶりに量販店の店頭を覗いてみたら、節電意識の高まりもあってか、新型を含めて様々なデザインの扇風機がずらりと店頭に並んでいた。

 だが、それらを見ているうちに、私の購買意欲は削がれてしまった。本体のLED表示灯や小型のリモコンは、見た目こそよくても、夜中に寝ぼけまなこで操作するには不便だ。実はうちの寝室にもそのような扇風機が1台あるが、暗闇では本体上の赤や緑の表示灯の区別がつきにくいし、同じ形のボタンが5つ並んでいる小さなリモコンは手さぐりで操作しにくい。就寝時によく使う扇風機のリモコンのボタンは、電源ON/OFF、首振り/停止、自動OFFタイマーの3つだけにしたほうが使いやすいと思う。就寝中に中・強風モードで使うことはないから、風量の強弱ボタンは不要だ。

 うちにあるその扇風機の最大の欠点は、電源ON/OFF時にピーという大きな電子音(beep)が鳴ることだ。電源が切れたり入ったりするたびに、目が覚めてしまう。鳴らないように設定できないかと思って取扱説明書を見たが、その方法は書かれていない。就寝中に使うことを考えると、扇風機の電子音は百害あって一利なしだ。自分で使うことを想像すれば、設計者はそれくらい気づいてもよさそうなものだ。

 これについては、ひと昔前に買った別のメーカーの国産品のほうがよくできていた。リモコンは必要なボタンだけが光って表示がよく見えるし、電子音はごく短く小さい。残念なことに、そのメーカーはもうない。

 故障した扇風機の代替品の購入について家族会議に諮ってみたが、その扇風機のあった部屋にいつも陣取って寝ている年長の雌猫が「扇風機の風は嫌いだから、いらない」といいたげな顔をしていたので、結局補充しないことにした。  その代わり、通販サイトで見つけた窓用換気扇(window fan)を取り寄せて、西日で暑くなるわが家の階段の小窓に取り付けた。その効果はてきめんだ。午後は屋内の熱気を出し、夜間は屋外の冷気を入れることによって、夏は蒸し風呂のようになっていた階段と廊下の環境が大きく改善された。これなら猫も嫌がらない。

 今回買った換気扇は新品だったが、その形状や動作は昔ながらのシンプルなものだ。紐を1回引くと排気、2回目で給気、3回目で停止する。夜中は眩しいだけで無意味な表示灯や耳障りな電子音は、もちろんない。

 この種の電化製品は、従来の機械的なデザインの器具のほうが、使い勝手は良い(user-friendly)ようだ。

(『財界』2012年9月18日号掲載)


※掲載日:2012年9月18日/再掲載日:2015年2月28日
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