Adapter アダプター (連載第266回)

 けっして新しい物好きではない私も、LED電球はなぜか気になってしまう。前にもここで私見を述べたが(第220回「LED照明」第254回「特色」)、三度(みたび)書かせていただくことをお許し願いたい。

 LED電球の大きな特長として、白熱電球(incandescent lamp)よりも消費電力が小さいということ(small power consumption)はすでに述べた。東京の自宅では、トイレの照明にこれを導入した。千円程度の安い製品だが、明るさはこれで十分だ。というより、夜中に起きてトイレに入ったときは、少し明る過ぎて眩しい。つまり、程よく暗いほうが、トイレには適している。さらに、LED電球は寿命が長い(long life span)。頻繁に点けたり消したりするトイレの白熱電球は切れやすいので、これも有り難い長所だ。

 この春〔2012年春〕、実家に帰省して家中の照明を点検した私は、LED電球を導入すべき場所を発見した。洗濯機置場だ。狭い場所に100ワットものレフ電球がついていたので、かなり暑いと母がこぼしていた。ここは発熱の少ないLED電球の出番だ。私は近所の電器店で、やはり千円程度の安いLED電球を買ってきた。以前買ったものよりルーメン数がやや高いので、明るさはこれで十分だろう。意気揚々と家に帰ってさっそくソケットにねじこんでみたが、点灯しない。原因はすぐにわかった。普通の電球形のLED電球では、天井に埋め込まれたダウンライトのソケットの接点(contact)に足が届かなかったのだ。

 あわててインターネットで「LED電球」「延長アダプター」(extension adapter/adaptor)と入れて調べてみたところ、その答えは、私と同じ問題に直面した先達のブログで見つかった。ソケットを底上げする口金延長アダプターという器具がある。ちなみに、この種の情報は、消費者発信型メディア(CGM, consumer generated media)のほうが、メーカーなどのサイトよりよっぽど詳しい。再び電器店で見たところ、その器具はLED電球の売場ではなく、白熱電球の棚の近くに、懐かしい二股ソケットやスイッチ付きソケットとともに並んでいた。それを使ったら今度は点いた。一件落着。

 ところが、実家のそれ以外の照明を見ると、様々な白熱電球や蛍光灯が様々な形状のソケットに付いている。標準品のLED電球は、そのどれにも、そのままでは付けられそうにない。

 白熱電球の生産中止を安易に公言するお偉方は、一般家庭の照明器具の実態を把握した上で仰っているのだろうか。私の両親のような高齢者には、適合性(compatibility)の有無がなかなか判断できない。そのへんのかゆいところに手が届くような配慮があれば、LED電球の普及はもっと進むのではないかと思う。

(『財界』2012年7月31日号掲載)


※掲載日:2012年7月21日/再掲載日:2015年2月26日
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