LED lamp LED照明 (連載第220回)

 LED電球(LED bulb)が電器店の店頭に並ぶようになって、LED(light emitting diode、発光ダイオード)という言葉はすっかり日常語として定着した感がある。

 白熱電球と比べるとはるかに消費電力が少ない(power-saving)点は、LED照明(LED lamp)の大きな魅力のひとつだ。私も店頭で実物を見たり、インターネットで調べたりしてみた。しかし残念ながら、拙宅ではLED電球の導入には至っていない。

 第一、LED電球は白熱電球と比べて価格が非常に高い。白熱電球なら1個100円で買えるのに、LED電球は現時点〔2010年当時〕で2,000〜3,000円程度もする。10年以上の長寿命(long-life)をうたっているが、製品価格だけで考えると、白熱電球を10個ほど買って使うほうがずっと安い計算になる。

 それよりもっと大きな問題がある。拙宅ではもともと、白熱電球をほとんど使っていない。見回してみると、トイレと物置くらいにしかない。それらの点灯時間を合計しても、たぶん1日1〜2時間にも満たないだろう。それらをLED電球に替えたところで、たいした節電効果は期待できない。他の居室や台所はすべて蛍光灯で、しかもその多くはサークル(環形)蛍光管を使うタイプだ。それに対応した家庭用のLED照明はまだ出回っていない。現在のような電球型のLED照明を本格的に導入しようとしたら、器具ごと付け替えるしかない。

 それでもLED電球に興味があった私は、試みに、蛍光灯の豆球(ナツメ球)を消費電力0.5Wの小さなLED球に替えてみた。ところが、実際に点けてみると、照明の真下だけが明るく、周辺はかなり暗い。常夜灯だからこの程度でもかまわないのだが、5Wのナツメ球に比べると、その差は歴然だ。最近見たNHKの情報番組によると、LED照明は光に直進性があるため、たとえば風呂場にあるような横向きの電灯器具には適さないという。

 結局、少なくとも私の家では、LED照明が活躍できる場はほとんどない。もちろん、LED照明も将来はもっと改良が進み、品揃えが充実し、価格も下がっていくだろう。だが現時点では、LED照明は家庭用よりも業務用市場に向いているのではないか。

 そのLED照明の市場をめぐって、世界各国のメーカーがしのぎを削っているという。研究開発費や設備投資がかさむ厳しい競争が始まっている。せめて心の中だけでも、愛着のある国内メーカーを応援したい。

(『財界』2010年9月7日号掲載)


※掲載日:2010年9月20日/再掲載日:2015年2月24日
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