Follow フォローする (連載第202回)

 前号(『財界』2009年11月24日号掲載連載第201回)で取り上げたTwitter(ツイッター)は使い方が簡単なので、私も自分の屋号「翻訳小僧」の名前で登録して試してみた。だが正直なところ、私にはその面白さがよくわからない。人がTwitterに書き込んだ短い「つぶやき」(tweet、ツイート)を見ると、今日は何を食べただの、食べすぎて腹が苦しいだの、他人にはどうでもいいことばかり書き連ねたものが多い。

 しかし、その利用者数は急増しているという。政治家やアーティストのような著名人、マスメディアや一般企業など様々な組織が、新たな情報発信手段としてTwitterを活用している。

 たとえば、米国のオバマ大統領のTwitterサイトは、〔2009年の〕現時点で250万以上の人々にフォローされている。大統領は75万以上ものサイトをフォローしているようだが、世界一多忙な合衆国大統領が、数十万人ものつぶやきをいちいち読んでいるはずがない。Twitterはこの場合、双方向コミュニケーションではなく、ほぼ一方的な情報発信に使われているようだ。

 そのオバマ大統領は先日Twitterで、連邦議会の議員に電話して健康保険改革法案に賛成するよう要請してほしい、と国民に呼びかけていた。どうやらTwitterは、政治家がマスメディアを通さずに、自分の政治的信念や政策を国民や世界に直接訴える手段にもなるらしい。

 Twitterの「フォロー」(follow)には、ブログなどウェブサイトの「お気に入りに追加」(bookmark、ブックマーク)と、メルマガの「購読」(subscribe)を兼ねたような機能がある。人のサイトをフォローすると、そのつぶやきが次々と自分のホームに表示される。

 他の情報発信ツールと比べると、Twitterは特に画期的なものではない。自分の考えを発表するなら、ブログのほうが詳しく書けるし機能的だ。友人や知人とオンラインで雑談したければ、非公開のチャットで十分だ。カテゴリー別に整理された掲示板と違って、様々な投稿を時系列順に並べて表示するTwitterサイトは、どこか雑然と見える。だが誰でも手軽に、単一のサイトでそれらの機能を同時に利用できるようにしたところがミソだ。

 ある情報発信ツールの利用者数が数百万、数千万の規模に膨れ上がれば、それはひとつの市場、仮想社会を形成する。Twitterはどうやら、メルマガやブログに続いて新たな波を起こしているようだ。

(『財界』2009年12月8日号掲載)


※掲載日:2009年12月22日/再掲載日:2015年2月10日
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