Maintainability 保守[容易]性 (連載第158回)

 大掃除を始めた私がきまって不機嫌になるのは、エアコンなどの家電製品の内部を掃除するときだ。

 拙宅にある3台のエアコンはすべて同じメーカーの製品であるにもかかわらず、カバーの外し方からしてことごとく異なる。下から見ても目印が見当たらず、いちいち取扱説明書を参照しなければ、どこを押せば開くのかもすぐにはわからない。中には、リモコンで何度か操作しなければフィルターに到達できない複雑な構造の機種もあって、うんざりしてしまう。

 交換部品である空気フィルターには、機種間の互換性(compatibility)がほとんどない。買い置きを切らすたびに、型番をメモしては買いに走る羽目になる。せめてサイズくらい共通化しておけば、メーカーも販売店も消費者も互いに手間やコストが省けると思うのだが、それとも、わざわざ違う形状にするだけのメリットがあるのだろうか。

 こういうことも考えるなら、家庭用製品を購入する際にも業務用機器と同様、「保守(整備)しやすいこと」を考慮すべきだろう。外国メーカー等の文書を訳しているとよく出てくるmaintainability(保守[容易]性)、つまりmaintenance(保守/整備/維持)が容易にできること(-ability)がポイントとなる。

 たとえば、定期的な清掃が必要となる部分は、開閉・清掃しやすい単純な構造になっているか。交換部品や補充品(suppliesまたはreplenishments)が簡単に、かつ低価格で入手できるか。素人の手ではできない修理を、手頃な料金で迅速にこなせるサービス体制が整っているか。製品を選ぶ際には、これらの点も考慮する。

 そのための判断材料のひとつは、その製品の市場シェアでトップを争っている国内最大手メーカーの製品を選ぶことだ。競争の厳しい昨今、残念ながら三番手以下や外国の企業は、いつ市場から撤退して部品が手に入らなくなるかわからない。そう考えると、長期にわたって安心して使えるメーカーの製品を選ぶのが賢明だろう。

 ひと昔くらい前まではそういうことをあまり気にせず、見た目や触った感じや価格だけで決めることが多かった私も、最近は新しいものを買うのが億劫になったこともあって、保守性を重視することにした。廃棄物を減らすためにも、整備しながら長く使えるメーカーの製品を選んでいきたい。

(『財界』2008年2月12日号掲載)

※掲載日:2008年2月25日/再掲載日:2015年1月31日
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