送信所遠景〜整合装置1 埼玉方から県道つくば古河線を進んで行くと紅白の鉄塔が林立している東山田を通過します。この鉄塔は新国道4号バイパスを栃木方から東京方面に進んで来ると茨城県境を過ぎて古河市内で幾つかある立体交差部分走行中にも見ることができました。新国道4号からは一番近いところでも送信所から3キロ程度離れていますので、それでも運転中に見えるということは結構大きな鉄塔だな…と改めて思った次第です。

 短波帯域の送信所であることから、多くの中波送信所の様に鉄塔自体を励振させて電波を送出させているのではなく、鉄塔間に展張されたワイヤを放射器としています。鉄塔はそのワイヤの支柱として機能していますが、70mもの高さのある、やっぱり大きな鉄塔です。

 その鉄塔の足元に設置してある、これもまた大きな設備がありました。左側から太いパイプ状のものがせりあがり、直角にベンドして先の細くなっている鉄板に接続されていました。その鉄板の先端には送信所内を縦横無尽に走っている平衡給電線が接続されていました。

送信所遠景〜整合装置2 鉄塔に展張されているカーテンアンテナ及びそれに至る給電線は平衡型、一方送信機の出力は不平衡です。このため給電線を不平衡→平衡に変換する必要があります。上図及び左図はその変換を行う平衡/不平衡変換回路部とインピーダンス変換回路部から構成されるバルン装置です。上図で太いパイプ状…と記したものは送信機からの同軸ケーブルです。

 上図と併せて見ると同軸ケーブルが接続されている部分から画面右方(平衡給電線側)に向かって鉄板が細くなってきています。これはテーパー・ライン(tapered line)と称される、特性インピーダンスが徐々に変化する給電線で、同軸側と平衡ワイヤー側のインピーダンスを整合させています。

 集中定数(LやC)で構成される整合回路に比べ広帯域の特性を有するものですが、ラインの全長は波長以上の長さが必要になるとのことで、扱う電力に耐え得る構造と併せて、大型の設備になってしまう様です。


撮影:2010.04.11
初稿:2010.06.27

参考文献 電波受験界1993年3月号 『KDD八俣送信所』;電気通信振興会
(注:KDD→KDDIは2000年です)


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