送信所全景  苫小牧市には中波帯の送信所が3局あり、このシリーズ最後の局です。この局は千歳飛行場(航空自衛隊千歳基地)滑走路の南側延長線上にあります(北側にも無指向性無線標識長沼局があります)。千歳局とは言いますが、実際は苫小牧市の郊外に設置してあります。数年前にこんな局がありますよと無線の教科書と地図に案内され人家もまばらで道路も未舗装のこの地に初めて訪れたのですが、その後ご多分にもれず苫小牧市郊外の宅地として開発され、現在は送信所の隣にアパートや戸建て住宅が立ち並び、周囲の道路もセンターラインの引かれたアスファルト舗装道路になってます。

 この局の働きは下にある国土交通省のリンクを辿っていただければ幸いです(他力本願だなぁ…)。送信周波数は347kHz、電波型式A2Aでワールドワイドタイプの受信機(SONY ICF-SW100など)で聞けますました。送信出力はHBC苫小牧よりでかい400Wです。結構宅地の中なので大丈夫かなとも思いますが…

 この局の波長は約864mで、垂直接地アンテナとしても216mの高さが必要ですが見た目その1/4程度です。苫小牧にあるSTVラジオやHBCの送信アンテナは波長の1/4に近い高さの鉄塔ですが、この局はそれより長い(高い)鉄塔が必要であるにも関わらずコンパクトです。鉄塔の頂部にわっかがありますが、このわっか(頂部容量冠)の働きによって鉄塔高を低くすることができます。中波ラジオの送信所でも比較的周波数の低い局は概ねこの形式です(例:NHK札幌第一、第二)。

 容量冠の様に鉄塔頂部に負荷を有する場合は鉄塔の頂部においても電流が流れるそうです。このため鉄塔全体の電流分布は見かけ上この容量冠の静電容量の関数で算出される長さ分だけ鉄塔上部に伸びたのと等価になります。つまりこの容量冠の作用で鉄塔を数10m継ぎ足した効果が出ることになります。容量はわっかと地面の間の対地容量であり、ものの本によれば、0.89×(直径/π)[pF]らしいです。直径は[cm]だそう(昭和56年1月出題分より)。計算上、容量を調整して行けば鉄塔の高さは低くできるのですがアンテナの動作効率の面から実用上の低さの限界があるとのことで、中波の送信所はこの様な巨大な鉄塔が必要になるのでした。


頂部負荷拡大  わっかの中央部のちょっと下(一番上の支線があるところ)に何かありますが、見た感じ鳥の巣みたいです。遠目で見てなんか木の枝の様なものがわさわさとありました。なんか長閑ですね…。


撮影:2001.05.26 15時頃
初稿:2001.06.01
追補:2020.12.06 千歳NDBは2008(平成20)年9月に廃止されたとのことです。


国土交通省

○ 航空関係はこっちが早くていいです。
○ それでNDBはこっちが更に早くていいと思います。航空保安業務の概要から業務紹介のページより、VOR/DMEとかARSR/SSRといった対空無線施設の話も記載されていますのでお勧めです(ブラウザはIEで、だそうです)。

*リンク先修正しました 2003.12.25
*リンク先修正しました 2007.02.04(Netscapeでは閲覧できない個所もあるようです…)


ひとつもどります