全景 日本平は頂上からの、特に駿河湾の向こうに見える富士山の眺望が抜群の場所ですが、静岡市街地方面の眺望もこれまたいいです。日本平は有度山(307.2m)の北側に位置します。海抜的にはこれより低くなりますが、東海地区屈指の静岡市をエリアにするテレビ送信所の設置位置にはうってつけになるものと思います。

 日本平は清水市となっていました。今は静岡市と合併して静岡市となっていますが、送信所案内看板には「清水市草薙」と記載してあるものもありました(左図の局ではなかったですが)。市町村合併とかがあるとそこの無線局免許状に記載のある設置位置の表記はどうなるのでしょうか?即書き換え…だと数多いアマチュア局とかは大変でしょうから(免許者、管理局側双方)、次の書き換えまででそのままでしょうか?

 左図は静岡放送(SBS)の日本平送信所です。STLのパラボラや八木宇田アンテナが見えます。またパラボラの設置してある塔と真ん中の鉄塔の間にワイヤー(アンテナ)が設置してありました。これは中波放送のモニタ用でしょうか?その他垂直アンテナも幾つか観察されました。

 鉄塔は紅白に塗り分けられており、行った日の快晴の空とあいまってえらく目立ちます。鉄塔の上方(細くなっている部分)に4角形ループアンテナスーパターンスタイルアンテナの2種類のアンテナが設置されています。前者がFM静岡(K−MIX)の送信アンテナ、後者が静岡放送(SBS)のテレビ送信アンテナです。


塔頂部拡大 4角形ループアンテナ、スーパターンスタイルアンテナ部分を拡大してみたのが左図です。ここの送信所の場合、FM放送が79.2MHzですので、4角形ループアンテナのひとつのエレメント長(≒0.5λ)はおおよそ1.9mとなります。一方テレビは11ch(A 211.25MHz、V 215.75MHz)ですので、スーパターンスタイルアンテナの最長部分(≒0.7λ)はおおよそ1mとなります。

 テレビ放送の場合、送信アンテナの入力インピーダンスを不整合によって生ずる反射波によるゴースト(多重像)を極力抑えるべくVSWR≦1.05としている様です。しかしながら映像帯域だけでも4MHzという帯域幅があるので、この帯域内すべて(音声を含めると6MHz)前記の値にするには広帯域特性のアンテナが必要になり、その様な特性を有するアンテナがスーパターンスタイルアンテナ(左図)、スーパゲインアンテナ等になります。

 FM放送の場合はテレビ放送ほど帯域が広くないので比較的狭帯域のアンテナでも使用できます。もちろん整合を最適にすることが必要ですが(無線設備規則第20条…整合が十分であること)、VSWR≦1.5程度までいけるそうです。



STLなど 鉄塔下部にある局舎すぐ上にあった垂直設置の八木宇田アンテナです。8エレメントのものが2列並べてあります。これもSTL用でしょうか(中波放送のSTLは60MHz帯?)。また左側にフレームアウトしかけている2段のパラボラ、静岡市街の方を向いています。このパラボラの設置してある鉄塔の上部から右、下方向にワイヤーが張ってあります。下側のワイヤーが局舎の壁にある函に引き込まれていましたが、これは中波放送モニタ(受信)用でしょうか?

 中波放送と言えばこの局のべリカード、かなり昔にいただいたことがあるのですが、表面に送信機の写真とそのブロック図の一部、裏面(宛先記載面)には固体送信機の説明と周波数変更の経緯がさらりと書いてあります。その頃集めていたベリカードは風景とかのデザインが多かった中、大変興味深く(ブロック図などを)見てた記憶があります(*)。中波放送の送信所は安倍川の方にあった様な…



撮影 2004.04.17 午前9時頃

(*)長崎放送(NBC)のベリカードではアンテナ高や終段管名・プレート電圧を表にしたものが記載されてました。これもまた(今見ても)興味深いです…。


参考図書
・アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992年12月30日 第1版第7刷)


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