案内板 左図はテレビ静岡の日本平送信所の局舎壁面に設置してある案内看板です。日本平に清水方面から上りきってある駐車場に車を置いてロープウェイ駅方面に向かって行くと最初に目の当たりにする送信所です。

 他愛もない記述…なのですが、送信チャンネル数だけではなく周波数、しかも基準周波数という用語まで使って記載されていましたので家に帰って思わず法令集繰ってみました。

・電波法施行規則第2条(定義)
 電波法に基づく命令の規定の解釈に関しては、別に規定せられるもののほか、次の定義に従うものとする。

 58「基準周波数」とは、割当周波数に対して、固定し、かつ特定した位置にある周波数をいう。この場合において、この周波数の割当周波数に対する偏位は、特性周波数が発射によって占有する周波数帯の中央の周波数に対して持つ偏位と同一の絶対値及び同一の符号をもつものとする。

 78「実効輻射電力」とは、空中線に供給される電力に、与えられた方向における空中線の相対利得を乗じたものをいう。

…とあり、1項から92項まで延々記述されています。

 (映像信号)10kWの実効輻射電力が100kWになっているので10倍利得の空中線となっているみたいですね。テレビ局のベリカードとか見ると送信出力の記述がありますが、概ね映像出力と音声出力は4:1の比になっています。映像10kWだと音声2.5kWの様に。これは無線設備規則第37条の4に規定されている「音声送信設備の実効輻射電力は、映像送信設備の実効輻射電力の15%以上35%以下でなければならない」の真ん中の25%からきていると思うのですが、これは映像信号と音声信号の変調方式の違いが根拠なんでしょうか?
撮影:2004.05.08 07時50分頃


中間部拡大 テレビ静岡の送信所の鉄塔の塔頂にはUHF送信アンテナが設置されていますが、塔中間部にも各種空中線が設置されています。演奏所とのSTL回線用の開口アンテナはもちろんなんか見慣れた円筒レドームに収納されたものなんかもありました。また設置場所に苦慮した結果なのか、あるいはこの様に設置すると何か良い特性でも得られるのかわかりませんが、鉄塔から吊るし下げられた様に設置されていたグランドプレーンアンテナみたいなのもありました(左図矢印の部分)。

 地線が3本、やけに短いのでUHF帯のものかも知れませんけど垂直部分がえらく長いです。これは半波長ダイポールを幾段か重ねた、コリニアアレーアンテナでしょうか?コリニアアレーアンテナは縦方向に半波長ダイポールアンテナを積み重ねて利得を得るものとあります。給電部分は地線を併せて半波長にする模様なので、給電部より1段目はλ/4となりますが、あとはλ/2のエレメントを数段重ねていきます。例えば400MHz帯のアンテナでは12段重ねると相対利得が約9dBになるそうです。

 多段にエレメントをつなげるとその接続部分が機械的に弱いものとなります。そこで垂直部分のエレメントを保護カバーで覆って強度を補っているそうです。材質はガラス繊維強化ポリエステル樹脂(FRP)が挙げられます。

撮影:2004.05.08 07時50分頃



参考図書

・電波法令集(2003年12月10日 追録第24号)
・アンテナ工学(総合電子出版;1997年7月10日 第7版)
・アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992年12月30日 第1版第7刷)



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