通常期 新潟放送(ラジオ)送信所から程近い魚野川沿岸にあるテレメータのアンテナの様です。折り返し形の放射器を有する3エレメント八木宇田アンテナ(*)を真下から見上げた格好です。この図ではエレメントの長短がわかりにくく、どちらが指向方向か思い出せませんが役場の方とすれば画面奥側のエレメントが短いと思います(八木宇田アンテナの指向性は導波器の方です。またエレメント長は導波器側に進むにつれだんだん短くなります)。放射器の長さが目視1m程度なので150MHz帯のものと思います。

 八木宇田アンテナの場合、放射器の前後に反射器、導波器が配置されているためこれら(導体)の相互放射インピーダンスの影響のため放射器の入力インピーダンスがかなり低めになるとあります。一般に給電線、この帯域では同軸ケーブルを用いることが多いので50オームないしは75オームですのでこの値か、この整数倍の値が欲しいところです(整合回路の設計がラクになるので)。

 見かけの低い抵抗値を給電線のそれに合わせるため、純抵抗を接続すれば確かに整合はされますが、折角のアンテナへの供給電力やアンテナでの受信電力がそれで消費されてしまいアンテナの機能としては不整合状態と何ら変わりないので放射器自体のインピーダンスをなんとかして給電線に近づけ様とした一例が折り返し構造とあります。

 折り返しの際に2本の導線(エレメント)間を調整すれば目的のインピーダンスに設定できる上に、等価的に太い1本の導線となり広帯域となるようです(入力インピーダンスの周波数特性が比較的緩やかに変化するとのこと)。このため90MHz〜108MHz/170MHz〜220MHzといった広帯域が要求されるVHFテレビアンテナでは300オームの給電線(…最近では75オーム同軸ですが)を使用するのと併せ、図の様な折り返し形の放射器を有する八木宇田アンテナが多用されています。…ただ、このテレメータ(?)局においては広帯域云々はないと思うのでインピーダンス整合を主眼にこの形式になっているものと思います。


撮影:2003.12.13 お昼前


降雪期 雪が降っている時の状況です。真下から見上げ様にもそこまでの道路(土手)が除雪されていませんでしたので遠めに見た感じです。各エレメントに着雪しており、折り返し導波器の真ん中も徐々に着雪して埋まって行く感じです。水平部分(アームとか)には結構積もってます。

 かつて居た北海道で見た列車無線のアンテナにはレドームがあり耐雪構造になっていた様ですが、左図の様に導波器(内部…という表現が適切かな?)に着雪した場合の動作(例えばインピーダンスとか)はどの様になるのでしょうか…?


撮影:2003.12.20 14時頃


(*)八木宇田アンテナ
 1つの放射器と給電されていない1つ以上の反射器及び1つ以上の導波器から構成された線状配列エンドファイヤアンテナ(linear end-fire antenna)と定義されています。従って最小構成は上図にある様な3素子(反射器−放射器−導波器)のものとなります。

参考図書
・アンテナ工学(遠藤敬二・佐藤源貞・永井淳 共著、総合電子出版社 1997年7月 第7版)
・(*)アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992年12月30日 第1版第7刷)

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