送信所全景 静岡放送富士宮の中波放送送信所です。静岡放送は県内にいくつもの(中波の)中継局を開設しています。東海道沿いの各中継局は本局と同じ周波数ですが、ここ富士宮は1,557kHz(100W)となっています。送信所は富士裾野を富士吉田方に進む国道139号から少し西方に離れた位置にあります。このため周囲は長閑なところです。当日は県内晴れとの予報で、先に寄った三島では快晴の下の紅白鉄塔でしたが、3時間ほど経過(距離は西に約50キロほど移動)しただけで今にも降り出しそうな天候になってしまいました。周囲の長閑さが更に強調されています。

 紅白の鉄塔ですが久しぶりに見る、ダウンリード式の空中線でした。これだけであれば以前見た糸魚川の局や、かなり前になってしまったSTVラジオ苫小牧と同じ形式…となったのですが、パラボラアンテナの組み合わせはTBSラジオ等で見てからかなり久し振りかも、です。

 遠くで見ると送電線の鉄塔(付近にJ-POWERの送電鉄塔がありました)か、塔頂付近にレドームつきパラボラが設置されているマイクロ端局かと思いましたが、近くまで来ると三角屋根の小屋に(文字に丸みのある)SBSの表示と、鉄塔の周りに線条が幾本も張ってあったことでSBS富士宮とわかった次第です。NHKの様に局案内の看板がなかったのは少し物足らない気がしますが…


レドーム付きパラボラないしはダウンリード上部 鉄塔の最上部でなく、少し下側に市街地方に開口したパラボラアンテナが設置されています。パラボラアンテナに導波管が接続されており、塔に沿って降下すべく直角にベンドされています。ベンドされて少し下がった箇所で緩やかな曲線を描く黒い管に接続されています。アンテナからここまでは鉄管状の導波管、鉄塔に沿って下って行く部分はフレキシブルな導波管の様です。

 パラボラの下側に見える赤いリングが鉄塔の周囲に張られている線条を釣っています。鉄塔の周囲に12本の線条があり、この釣っている部分では特に碍子等の絶縁体が観察されず、これらの線条と鉄塔は電気的に接続されている様です。


ショートバー相当? 釣られている少し下側で全ての線条が接続されているのか観察されました。また、この接続点から鉄塔にかけてもワイヤが張られていてこれが鉄塔に接続されていました。上図では碍子等を用いず、まぁ電気的につながっても仕方ないね…ってイメージでしたが、この箇所で確実に電気的に接続されていました。


ダウンリード中間部 鉄塔の中間少し下側に同じ様なリングがありますが、ここでは碍子にて鉄塔と絶縁されています。この部分のリードは上から降りて来て碍子で受け、リングからの離隔距離が容易に変化しない様にリングに設置された碍子で固定され、更に下側碍子の先に接続されています(送電線や配電線の固定方法と同じ)。

 パラボラからの導波管はこの部分でも鉄塔と適切な距離を保ちながら淡々と下ってきています。


ダウンリード下部 下ってきたダウンリードは地上数メートルの位置にあるリングに碍子を挟んで接続されていました。この部分では鉄塔と絶縁されています。それぞれの線条は塔中央に向かって進み、一点で接続されその直下に下ろされています。ここにも碍子があり、ここから整合器の入っている函に接続されています。またリングの少し上でダウンリード上部で行われていたのと同様にすべての線条が接続されていました。

 鉄塔自身は絶縁されることなく、基礎部分がそのまま埋められています。つまり鉄塔は地上部で接地、ダウンリード上部で線条に接続されていることから鉄塔とダウンリードが並列になる並列励振方式となる折り返しアンテナとして動作する基部接地形アンテナとなります。

 鉄塔に沿って降りてきた導波管は地上に近い部分でダクトに収納され埋設されています。塔中心部にある整合函からも給電線が埋設され、道路沿いの三角屋根の局舎に引き込まれている様です。


背景あり 富士宮市郊外に設置してありますので富士山が見えています。ちょっと曇り気味で残念でした…。


撮影:2009.03.21 お昼すぎ
追加:2009.04.04 9時頃

初稿:2009.03.22
追記:2009.04.04

ひとつもどります