グリッドパラボラアンテナ1 市中で良く見かけるパラボラアンテナ等は金属板の反射鏡形式のものが多いですが、左図の様に網状(グリッド)の反射鏡形式のものも偶に見かけることがあります。木更津市にあるニッポン放送送信所で見かけました。

 一般にパラボラアンテナの反射器は導体板(の代表例である金属板)が使用されていますが、波長に比べてその間隔が十分に小さい目の金網で代用できるとあり、その間隔は概ね0.1λ以下とされています。金属板を金網にすることによりアンテナの大敵、風圧加重を軽減できることになりますが、その一方で波長が短くなる(使用周波数が上がる)につれ金網(左図では鉄棒の間隔)が細かくなり、反射器の鏡面(幾何学的)精度が低下しアンテナの特性が劣化します。また寒冷地ではつららや雪による悪影響も出ますのでマイクロ回線などのアンテナとしては見かけることはなさそうです。

 このためUHF帯(で、1,000MHz程度)までのアンテナとして使われている様ですが、例によって大きさだけでは周波数が特定できない開口面アンテナですので、使用周波数は不詳です(→それでここのカテゴリに入れました…)。

グリッドパラボラアンテナ2 左図は中波送信アンテナ(鉄塔)に設置されていたグリッドパラボラアンテナです。上図の独立鉄塔上部の位置より更に高い(120m高の鉄塔の真ん中くらいの)位置に設置してありました。開口方向は見かけ同じ方でしたので2つで(空間)ダイバーシチなのかな?と勝手に思ったりしています。


 上側の写真で左側に支線と碍子、その上にチョークコイルが写っています。これは敷地内にある中波送信アンテナ(主アンテナ)の支線です。この写真にある鉄塔はSTL用鉄塔とあり、下の写真にあるアンテナはSTL受信用φ1.8mグリッドパラボラとあります。STL(Studio-Transmitter Link ; STL)ということから、東京湾対岸を向いているものと思います。また、ニッポン放送送信所については以下の書籍に興味深い記事がありました。バックナンバーや図書館でどうぞ。

放送技術 2007年11月号(兼六館出版株式会社)
 (1)中波アンテナ鉄塔および鉄塔基礎劣化調査
 (2)中波アンテナ鉄塔支線更新工事


参考資料(グリッドについて)
 (1)アンテナ・電波伝搬 虫明康人・著 コロナ社
 (2)放送アンテナと電波伝搬 日本放送協会・編 日本放送出版協会


撮影:2008.04.06 15時半頃
初稿:2008.04.23


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