パラボラアンテナ1 最近見かけるマイクロ波帯のアンテナはCSとかBS受信用を除きレドームで覆われているためその中身がどの様な構造になっているのかなかなか見る機会がありません。

 静岡の日本平は名勝地と言われるだけあってとても周囲の見晴らしが良く、(電波路でいう)見通しも良いのでテレビ送信所が集中しています。NTTの中継局は見当たりませんでしたが、テレビ局の自営でしょうか…各局の鉄塔にパラボラが多数なっていました。どの局も甲乙つけがたい容姿をしていましたが、じっくり見れるのはSBS(静岡放送)の様です。

 左図は静岡放送送信所に幾つか設置してある開口アンテナの中で唯一レドームのなかったもので、1次ホーンアンテナの構造が良く見えました。くるっと曲がっているのがなんか愛嬌があると思います。


パラボラアンテナ2 真横方面から見るとかなり前方までせり出しています。そのため放射部の4本のステー以外に湾曲を固定するステーが必要の様で、これらのステーが放射面に影を落としています。この種のパラボラ反射鏡アンテナは1次放射器が反射鏡の正面に存在するためステーなどの金属物や放射器自体が反射鏡の陰を作ることになり、限られた反射鏡の面積を食いつぶす格好になります。

 ここにも出てきましたが、この様な反射鏡に対する現象はアパーチャブロッキング(開口阻止)と言われ開口効率を低下させる原因になっています。しかしながら所望の利得(ないしは有効開口面積)を得るために十分な開口面積があれば多少の効率低下は容認できると思います。


撮影:2004.05.15 午前8時半頃
場所:静岡県静岡市(日本平) 静岡放送日本平送信所


パラボラアンテナ3 1次放射器が直線状に…スマートになっているものも見かけました。絵などで描かれているパラボラアンテナはこんな格好のが多いですね。左図はテレビ送信アンテナの鉄塔の真ん中あたりに設置されているもので、演奏所との回線用かと思います。同じ鉄塔にはちっこいパラボラ(右上にある、レドームのあるやつ等)が設置されていました。FPUでしょうか?

 パラボラアンテナの1次放射器は直線偏波、円偏波、偏波共用等の種類があり、必要に応じて使い分けている様です。例えば市外回線マイクロでは垂直・水平偏波を1つのアンテナで同時に使用するために偏波共用のものを使用したり、単行回線では直線偏波だけだったり、また給電も同軸ケーブルを使用する場合、導波管を使用する場合等で構造が異なってくる模様です。

 図鑑を調べるが如く左図のものを当たってみますと、同軸給電1次放射器で、先端部は保護カバーに覆われているダイポールと出ましたが実際はどうか不詳です。アンテナ設置部分を良く見てこなかったのが悔やまれますが、アンテナ左下の方に黒いケーブルが緩やかな曲線を描いているのが見えるので、これ同軸ケーブルではないかと思ってます。


撮影:2004.05.22 午前8時過ぎ
場所:山梨県東八代郡境川村(坊ヶ峯) 山梨放送テレビ送信所


 一般論ですが、レドームを実装すると約1dBほど利得が低下する様です(材質にも拠ると思いますが…出典:電力保安通信規定〜空中線・給電線の規格例の章より)。この1dBは値としては計算誤差に入ってしまいそうですが、この差でパラボラ直径を1つ上のものにしなければいけないこともあり得る…んでしょうか?もしシビアなところで1つ上のクラスの、例えば2.4mφ→3.0mφとしたら利得は2dB以上稼げますが同時に空中線の重量がおおよそ倍、受風加重も1.6倍となり鉄塔の構造にまで影響してきます…

 パラボラ品名2.4mφのものは7GHz帯でおおよそ41.0dB(min)の利得があります。重量は150kg、受風加重は2,120kgですが、品名3.0mφになると43.0dB(min)ですが重量は290kg、受風加重3,310kgとなります。一気に1,000kgも増加するんですね…自然相手というのはすごい、の一言と思います。


参考資料
(1)アンテナ工学 遠藤・佐藤・永井共著 総合電子出版社
(2)電力保安通信規定 JEAC 6011-1991 日本電気協会


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