コーナーレフレクタ 左図はここ(山梨放送富士山送信所)の鉄塔にあった、上部の送信アンテナの方を向いているアンテナです。おそらく(自局の)送信波をモニタする装置のアンテナだと思います。

 構造的にはV字型となっており、中央にダイポールが見えます。両翼(各4本)の素子は反射器として動作し、V字開口方向に指向性のあるアンテナとして動作することになります。無線呼出しシステムのアンテナ(金属すだれを反射板としたコーナレフレクタアンテナ)をもっと簡素化した同種のアンテナと思います。街中で見るUHFテレビアンテナの導波器部分をばっさり切り取ったものを上空に向けて設置している様な、一見面白い格好のアンテナでした。

撮影 2006.04.09 8時12分頃


ループ 左図はここ(大月市岩殿山テレビ送信所)の鉄塔にあった、おそらく上記と同じ目的で設置されたアンテナだと思います。この鉄塔は山梨放送とNHK甲府の共用なのでどちらの所有かわかりません。こちらのアンテナは4素子のループアンテナとなっています。この形状に似たアンテナにヘリカルというのもありますが、これは1本の金属棒をぐるぐる巻きにしたもので、わっかが並んでいる左図のものとは異なります。

 ループアンテナの場合、そのループ長はおおよそ1波長に設定されます。このループに給電する位置によって水平偏波か垂直偏波かが決定されます。給電点で電流が最大になる種のアンテナのため、給電点から90°の位置(電流の最小点)が地面と平行である時は水平偏波となります。アームの部分に給電点があり、このアームがわっかの下側にある場合は水平偏波アンテナとなります。なお、前出のヘリカルアンテナはその巻き方向によって右円偏波ないしは左円偏波になります。

 鉄塔上部にはテレビ送信用の(レドームに収納された)双ループアンテナが設置されているのが見えます。写真に占める割合はこちらの方が大きいのでこちらを主題にすべきでしたが、今回は鉄塔の脇にちんまり設置されていたループ状のアンテナを考察してみました。

撮影 2006.05.04 13時27分頃


初稿:2006.05.28



 放送技術6月号(2006年6月、第59巻第6号)の特集が東北地域の地上デジタル放送設備となっています。普段にも増して送信機や空中線、中継回線のことが記事となっています。また前橋・宇都宮・平塚デジタル中継局送信設備関連の記事(6ページ)もありますのでお勧めです。


ひとつもどります