3素子八木宇田 左図は平常時には市町村からの行政情報の連絡、災害時には地域住民に対して避難勧告などを伝達する防災行政無線局子局のアンテナです。3素子の八木宇田アンテナで、放射器は折り返しダイポール型式のものです。左図は大井川河川敷運動公園の陸上競技場前に設置されていたもで、親局(のある大井川町役場)からは直線で2キロほど、周辺も高層建築物のない宅地でしたので利得もそれほど要求されないためか動作利得おおよそ6dBのものが採用されています。

 中央の折り返し型式の放射器(Radiator *)、左手側に約0.25波長の間隔をもって放射器より若干長めの反射器(Reflector)、右手側に同じく約0.25波長の間隔をもって放射器より若干短めの導射器(Director)がありますが、見た目放射器〜導波器間の方が広い間隔になっています。

 各種参考書によると放射器〜反射器間の方が広いと記しているものが多いのですが、導波器の(波長に対する)太さなどとの関連もあり一筋縄には行かない様です。また(この種の指向性)空中線の性能である動作利得と前後比は、どちらかを優先すればどちらかが犠牲になる傾向もあり、利得をとるか前後比をとるかはその局での環境条件との兼ね合いもある様です。

* DE;Driven Element と称しているケースもあります。

通信機器が収納されている函 左図はアンテナが設置されているマストの下の方に取り付けられている無線設備が収納されている函で、上側から製造会社のロゴ、自治体のマーク、名称、自治体名がペイントされています。マストの太さとほぼ同じくらいの大きさで見た目コンパクトです。

 防災行政無線局の子局であることから、親局からの下り信号を受信してその内容を拡声器で流すある意味ラジオ受信機とも見れます。もっとも無線設備の性格から信頼性も要求されることから、単に60MHz帯のFM受信機+拡声アンプといった単純なものではなく、(自分に対する)親局以外の信号には反応しない仕組みやら、屋外の過酷な環境(風雨、温湿度など)にも耐え得る構成・構造のものと思います。


防災行政無線設備全景 この局は大井川河川敷にある大井川河川敷運動公園の事務所前(の駐車場)に設置してありました。マストの塔頂に拡声器が3つ(すべて大井川の方に向いています)、少し降りて3素子の八木宇田アンテナがあり、親局(大井川町役場;現 大井川庁舎)方に指向しています。


町営バスに貼ってありました 撮影日に大井川町役場前に停まっていた町営バスに貼られていたシールです。


参考文献
 焼津市ホームページ→便利検索→焼津市例規検索→旧大井川町例規集 より参照
  大井川町防災行政無線管理運用要領
  大井川町防災行政無線管理運用規程

 アンテナ・ハンドブック(CQ出版社)、アンテナ・電波伝搬(コロナ社)など

撮影 2008.10.18 お昼頃
作成 2008.11.09
訂正 2009.01.14(例規集リンク先)


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