送信所遠景 左図は長野電鉄須坂駅前にあるJUSCO須坂店の屋上駐車場から長野市方を見たものです。画面下側約1/4あたり、画面左から右に線(高架線)が見えてますが、これは工事中の北陸新幹線です。その線は置いておいて、画面の中央やや下側に紅白の鉄塔がかろうじて見えています。

 ここから約4.5キロほど向こうにある、その鉄塔を見に須坂駅から長電(長野線)に乗って3駅めの柳原駅まで行って見ました。


送信所(鉄塔)全景 長電は千曲川を渡り国道18号をくぐり程なく柳原駅に着きます。ここで下車、北側に向かって歩くと山を背景に紅白の鉄塔が視界に入ってきます。当日は快晴雲ひとつない状況で、しかも支線も白く塗装されていましたので紅白の鉄塔と併せ非常に目立っていました。


案内看板 放送所敷地の門のところに設置してある案内看板です。ここの海抜高は東京タワーより少し高い335mで、周囲を高い山に囲まれているイメージのある長野県にしては意外と低い感じもしないではないですが、そのグランドレベルに95mの鉄塔が設置されています。第1と第2放送共用で、低い方(R1)が819kHzでλ≒366mとなり、鉄塔に頂部負荷が必要な気がしますが、上図ではパッと見それらしいものがありません。

電話番号の一部を消去していますが、現地ではキチンと表示されていました。

基部と最上段支線接続部 鉄塔上部を拡大して見ました。塔頂がフレームアウトしてしまいましたが、最上段の支線接続部はなんとか写っています。鉄塔と支線が直結されている様です。またボンディングワイヤーの様なものも観察され、鉄塔最上部と一番上の支線が電気的に接続されています。これより最上段支線の一部(鉄塔から最初に挿入されている碍子まで)が送信アンテナとして動作していて、この部分が頂部負荷として動作している様です。わっかの代わりに支線の開いた部分で容量冠を構成し頂部負荷になっているこの型式の空中線は傘形と称する様です(*)。


鉄塔基部 鉄塔基部を観察して見ました。鉄塔に中継回線のアンテナが設置されていますので、そのアンテナへの導波管も中波の給電線と同じ様に椀状碍子を経由して局舎に引き込まれています(局舎内にここで見た様な中波フィルタが設置してあるのでしょうか?送信電力が1/20なのでもっと小振りでしょうが…)。


鉄塔基部その2 上図と反対方より基部を観察して見ましたが、よく見かけるわっかがありません。基部碍子のすぐ上に左手方からのパイプが接続されています。これは上図で書いた中波の給電線ですが、鉄塔との接続部分の少し左側に下方に向かってケーブルが引き出され、これが梯子の陰に隠れつつ鉄塔上方へ向かっています。これが航空障害灯の電源線とすれば給電用のトランス(オースチントランス)も局舎内にあるのでしょうか?

 この他、導波管から鉄塔に向けての平べったいボンディングがあったり、中波の給電線の鉄塔接続部にワイヤ(これもボンディング?)があったりでいろいろ仕掛けがあるものだと思いました。


STL用マイクロ 鉄塔の2/3程の位置に案内看板に明記されている番組中継用のパラボラが設置されています。レドームがあるので型式とか不詳ですが、そのレドームには局のロゴがペイントされていました。アンテナからの導波管は鉄塔に直付されずに、10センチ程度の離隔をもって基部方へ降ろされています。

マイクロ背後・中段支線接続部 パラボラアンテナ設置部を横から観察してみました。アンテナから引き出された導波管が90度ベンドされている箇所が銀色でしたので良く目立ってます。アンテナを固定しているボルトは上下左右にアンテナを振れる様な構造をしていますが、演奏所が引越した時など、この作業台に乗ってアンテナ方向を調整したのでしょうか?

 作業台直下には上から3段目(下からも3段目、ちょうど真ん中)の支線が接続されています。鉄塔と直列3個の碍子によって絶縁されています(最上段の支線以外は左図と同じく鉄塔との接続部に直列3個の碍子が挿入されていました)。パラボラ上方には航空障害灯があります。これへの電力線は鉄塔に直付けされていました。

撮影:2009.09.21 10時頃〜11時頃
初稿:2009.09.23

参考:
(*)放送アンテナと電波伝搬(放送技術双書11 日本放送協会編)
   第4章 中波送信アンテナ 4.7支線式アンテナの構造
   頂冠の代わりに最上段支線の一部を利用して傘形アンテナとして使用することがあるそうです。

余談:
 案内看板に「富竹」とあり、どこかで聞いた地名と似てるな、と思いだしたらここでした。こちらは「宮竹」で似ているのは「うかんむり」の1つ目の文字と竹でしたが…


ひとつもどります