送信所全景 長野道松本インターの近くにある、信越放送(ラジオ)の送信所です。比較的市街地の中に設置してありましたが、水田もありました。設置された当時は広々としていたのかな?と思えます。鉄塔は3方7段の支線で支えられていましたが、ステーのアンカーが民家のまん前にあったりしてました。


門柱 送信所は左図の様ななんとなく由緒ある感じのする門の奥にありましたが、アパートもありました。この門柱に向かって右側にフェンスで囲まれた送信施設、左側と奥の方にはアパートでした。


鉄塔基部 給電点は見上げる位置にありました。雪国のアンテナの共通項でしょうか?基部にはオースチントランスと(NHK松本より大きい)銀玉が設置してありました。トランスの下側に(街灯で良く見かける光電式の)スイッチがありました。これで塔頂にある航空保安灯のオンオフをしているのでしょうか?


頂部負荷 松本局の送信周波数は864kHz、波長約347mですから純粋な垂直形アンテナだと80mちょいで済みますが、100mあるそうです(「放送用中波空中線六十年史」より)。λ/4より長い割には電気的長さを短縮させるために頂部負荷があるということは、0.53λ(約181m)のアンチフェージングアンテナとして機能させているのでしょうか?

 送信出力は1kW、エリアは松本盆地とその周辺と思われます。ものの本(「放送アンテナと電波伝搬(放送技術双書11)」)によると中波放送のフェージング現象はE層反射波と地表波の干渉がある、送信点から100km付近(E層反射波と地表波の比が1/2〜1/3になる地域)で著しく生じるとあります。1kWの局のサービスエリアがこの現象の生じるエリアを含むかは不詳ですが、周囲を山に囲まれていたりして地表波が不規則に広がったりするのか…近隣局との兼ね合いか…本当のところはわかりません。


碍子 3方7段の支線のうち、一番上にある支線の碍子にはチョークコイルが接続されています。近くのNHK松本局の場合はコイルの他放電ギャップもありましたが、ここはコイルのみでした。コイルの電気的特性は…と思っていたら一例として(*)インダクタンスが3mH、漂遊容量が20pFというものがあるそうです(左図のものはどれくらいか判りませんが…)。


撮影 2006.09.02 お昼前

初稿 2006.09.07

(*)放送技術 2006年9月号「高周波・高電圧試験装置による送信設備の信頼性評価」


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