電話局 関越道前橋インターを降り国道17号に入り前橋市内中心部に向かって行くとマイクロがいっぱいなっている紅白円形の鉄塔、NHK前橋放送局の白い鉄塔など幾つかの鉄塔が目に入ります。国道17号はそのまま市内中心部に向かって行き、利根川(群馬大橋)を渡ってまもなく左折交差点になります。この付近は道路両側にビルが並んでいますが道幅があるのでそう圧迫感は感じません。そのうちビルが途切れ、進行方向正面に左図の様な存在感のある鉄塔が目に入ります。

 地図にはNTT前橋支店とありました。国領ビルと書かれた看板もありました。とりあえずこの建物の前をさりげなく通過し、ちょっと先のサティ(という、立体駐車場のあるスーパー)に車を停め、件の鉄塔をみてきました。サティの屋上駐車場に停めると左図の背後から鉄塔を見ることができます。塔頂に並んで設置してあるアンテナの上面に錆びの様な模様が見えました。年季が入っているみたいです。

 塔頂には左図で見えるところに左側にカセグレンアンテナ、右側に2つ並んだホーンレフレクタアンテナがあります。下の段にはオフセットアンテナがあります。またステージの間にはレドームで覆われた垂直アンテナが幾つかあり、自動車電話(携帯電話)基地局も兼ねている模様です。


後姿… 今まで街中で大き目の中継局を見てきましたが、ホーンレフレクタアンテナがどっしり搭載されている物件はあまりありませんでした。ところが少し前に土合方面に行く際に前橋市内でこれを見て再訪して見ておこう…と思い立ち実行してきました。道路から見た時はある意味威圧感があったのですが(塔頂にでかいのがデン、デンとあったので…)、サティの屋上から見るとこのアンテナの天井カバーに錆びの様なものがあったのでなんか疲れてるなぁ…と感じました。

 この天井カバーの裏側、つまりアンテナの内側は反射鏡(放物面)になっています。給電部は本体の下側に、この反射鏡に向かって電磁ホーンが開口しています。形状がでかいので電磁ホーンの開口寸法が波長に比べ十分大きくとれます。またホーンテーパー部が長いのでこれにより広帯域の特性が得られます。4,5,6GHz帯の回線を一つのアンテナで賄える優れものです…

 鏡面反射波が給電点に戻らないのでインピーダンス特性に優れています。また開口面上に散乱体(ステー等)がないので水平面内で優れた広角指向性を示します。更に開口面電界分布が一様に近くなるため開口効率も高い…とでかいなりの特徴を有しています。

ここでホーンレフレクタアンテナの特徴をまとめると次の様になります。

(1)
 反射鏡の鏡面による反射波は、電磁ホーンへ戻ってこないので周波数特性が良く、また、開口面上に電波を乱すものがないので、すぐれた放射特性を持っている。

(2)
 ホーンレフレクタアンテナの開口効率は、ホーンの形状にかかわらず、ホーンの開き角が大きいほど良くなる【*】劣化する。

(3)
 円すいホーンレフレクタアンテナは、直線偏波で励振したとき、交さ偏波成分が現れる。

(4)
 円すいホーンレフレクタアンテナを円偏波で励振すると、ビームの方向が、偏波の旋回方向によって中心から互いに反対方向にずれる。

(5)
 角すいホーンレフレクタアンテナは、多くの周波数を共用することができるが偏波の共用はできない【*】偏波の共用が可能である。


 上記は平成10年1月期一陸技工学BのB-3問題(文章の正誤判定)からの引用です。【*】の部分が誤記となっていました。このフォントが正しい様です。



ホーンレフレクタ ホーンレフレクタアンテナは大形で重く、製造・建設・輸送費も高価となる欠点を有するが、広帯域・高開口能率の特性のため多周波帯を共用し、干渉条件も厳しい大容量公衆通信用基幹回線に数多く使用される…とあります。

 しかしながらアンテナの保守等にかかる費用の低減、更には通信基幹回線が光ケーブルに移行している昨今、このテのアンテナは消え行く運命にあるのでしょうか?


撮影:2004.08.21 15時頃

初出 2004.08.30
追記 2004.09.09【ホーンレフレクタ】

ひとつもどります