NTT木更津 ここのページであった平面レフレクタアンテナが設置されているNTT木更津の鉄塔を遠くから見たものです。この付近は木更津駅西口方になり、東京湾もすぐ近くです。かなりアンテナ満載の鉄塔になっていました。

 左図は木更津市役所の直ぐ近くの(県道90号を跨ぐ)歩道橋からです。この辺りは公官庁街でもあり、消防・警察・保健所などが集まっています。画面左端中央に白い円形物(パラボラアンテナ)が見えますが、木更津保健所に設置してあったものです。同じ様なのがNTTの前の道路(県道90号)を挟んで反対側にある土地改良事務所にも設置されてました。対衛星用です。

 そんな街中にある、ちょっと前までは大き目の街ではしばしば見かけた鉄塔の典型例だと思います。アンテナは見慣れたタイコ型のオフセットとNTT富士吉田や袖ヶ浦RS等で見たカセグレンがこちら側(南方面)と右手側(東方面)に向いて設置されています。塔頂部にはまた別の垂直系のアンテナが設置されています。


塔頂部拡大 塔頂付近を拡大すると左図の様になります。別のページで拡大してあった平面レフレクタアンテナが画面左下に見えています。手前にあるカセグレンアンテナの1次放射器、4本の支持柱に支えられた副反射鏡がそれとなく見えます(主反射鏡はおわん状のもの)。ここでカセグレンアンテナと記述しましたが、ものの本によると副反射器の形状でカセグレンアンテナ、グレゴリアンアンテナと分類されるともあります。前者は副反射器の形状が凸面、後者は凹面のものをそう称する様です。写真から見る限りでは前者の様な副反射鏡と見えますので、ここではカセグレンとしました。

 カセグレンアンテナについてはここで記述してみましたが、このアンテナの特徴として1次放射器がアンテナの指向方向(通信方向)を向いていると言う点が挙げられます。パラボラ(反射鏡)アンテナの様に1次放射器が通信方向の逆側を向いていると通信に使用する電波とは無関係な、つまりは雑音を拾ったりすることがありますし、送信アンテナの場合だと意図しない方向にも放射することもある様です。

 1次放射器が通信方向に向いているカセグレン(ないしはグレゴリアン)アンテナの場合はこの問題(スピルオーバー;spillover)が改善されている様です。またアンテナの指向方向に小さいながらも反射鏡があるのでその分主反射鏡に影を与えてしまいます。この問題(アパーチャブロッキング;aperture blocking)により開口効率が低下することになります。一方主反射鏡と副反射鏡の距離を調節することで副反射鏡の偏心率を大きくとることができますので偏心率を大きくした場合副反射鏡の開口直径を小さくすることができる様で、結果としてアパーチャブロッキング(開口阻止)を低減することができるとあります。

 カセグレンの右上、最上段に設置してあるオフセットは開口面がレドームで覆われ反射面とかが見えませんが、構造はアンテナ取り付け部(架台部)に吹き付けホーン(放射器)が設置してある模様です。反射面の下側に1次放射器を設けることにより開口方向には障害物がなく、カセグレンであった開口阻止の影響を最小限に抑えられ、開口効率の低下を防ぐことができるとあります。



撮影 2003.10.05 午前11時頃、フィルムスキャンです。

【参考事項】

これらのアンテナでサイドローブ特性をまとめると以下の様になります。

 反射鏡アンテナは反射鏡面への電波の照度分布を変えて開口周辺部への照射レベルを小さくしたり、主反射鏡の回りに吸収材を用いた遮蔽板を取り付けて、スピルオーバーによるサイドローブを軽減できる。

 オフセットパラボラアンテナ及びホーンレフレクタアンテナは、一次放射器及びこれらの支持柱などが電波通路上に無いので、これらによるブロッキングや散乱が無く、サイドローブ特性が良い。

上記の記述のうちこのフォントの部分が穴埋め(語句組合せ選択)問題として出題されていました(2001年1月の一陸技工学BのA-12)。選択肢の中にグレゴリアンという語句がありました。



参考図書
・電波・アンテナ工学入門(築地 武彦 著、総合電子出版社 2002年3月 第1版)
・アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992年12月30日 第1版第7刷)
・IU-67形オフセットアンテナ(NTTテクニカルリクワイヤメント 電気通信協会 1998年8月 初版)


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