鉄塔全景 NHK菖蒲久喜送信所のある菖蒲町(と久喜市)から少し北側に進み加須ICから東北道に入ります。羽生を通過し、続いて埼玉・群馬県境の利根川を通過し、うどんの館林、そして群馬・栃木県境の渡良瀬川を通過するとラーメンの佐野(佐野藤岡IC)に至り、ちょっとカーブの多い区間に入ります。この付近も片側3車線の東北道、90KP少し先に鹿沼IC(次が餃子の宇都宮IC)があります。この鹿沼ICのランプウエイを走行していると真正面に左図の鉄塔が見えます。

 左図は鹿沼市にある、栃木県の県域放送である栃木放送の送信所です。宇都宮市の西側の位置にあり、ここから1,530kHz・5kWで送信されています。かなり以前、千葉で受信してべリカードをいただいたことがありますが、送信点に来たのは今回初めてです。

 以前北海道にいた時、車で帰省する際に八戸から陸路上ってきて夕闇の頃宇都宮付近を通過したことがあり、それを含めると2回目になりますがその時はこの位置にあるとは思いませんでした(…というか、あと200キロ程先のゴールが気になってましたので…ここから送信された電波は一瞬で届きますが)。左図だけ見ると長閑な田園地区の様に見えますが、左図の右手方に東北道、奥手方にJR日光線、左手から背後は工業団地となっていました。


 鉄塔は塔頂にリングのない、ストレートなものですっきりしていました。送信波長は約196mですので、アンチフェージング型0.52λだと約102mになります。目測ではそれより低そうでしたが、3方7段の支線で支えられていました。最上段の支線には碍子の部分にコイルが挿入されており、避雷・帯電対策がなされていました。支線は下側3段が局舎のある敷地内のアンカーに、上方4段の支線は道路をまたいで隣の敷地内のアンカーにて固定されていました。合計21本の支線が展張されている様はいつ見ても圧巻です。


鉄塔塔頂部 左図は塔頂部を観察したものです。鉄塔には中波送信所で良く見かけるリングがありませんでしたが、鉄塔最上段から、一番上の支線(コイルのある支線)にかけてジャンパ線が布線されています。このジャンパ線は最上段の支線と鉄塔の間にある3連接碍子の鉄塔と反対側に接続されています。

 このため最上段の支線は次の碍子(左図で玉子碍子にコイルが実装されている箇所)までが鉄塔と同じく空中線の一部として動作するものと思われます。傘型アンテナの一形態でしょうか。


基部 左図は鉄塔基部です。基部絶縁形であることから、大地と鉄塔を電気的に分離する碍子・放電ギャップ・航空障害灯への給電のためのオースチントランスの3点セットが観察されました。

支線基部 左図は鉄塔を支える支線基部です。7段のうち上方4段と下方3段に分かれてアンカーにつながっています。左図は上方4段を纏めているアンカーで、最上段(いちばん左)の支線にはアース線が接続され、ターンバックル経由の場合より電気抵抗が低くなる様にしてコイルでパスした電荷を効率良く大地へ導くようにしている様です。

基部・反対側から  上図を見た位置から反対側方より基部を見たものです。局舎からの給電線が見えました。それと、あまり見かけない函が鉄塔に取り付けられていました。上下に電線が接続されていましたが…正体不明です。


鉄塔中間付近  左図は鉄塔基部にあった謎の函と電線で接続されている、これまた謎の函です。この函は上下でなく、横から電線が引き込まれていました。梯子の左側に沿ってある電線はオースチントランスからのものの様で、鉄塔最上部にある障害灯へ向かっていました。


碍子+コイル  7段支線の最上部の支線碍子(鉄塔に直付けされている連接碍子を除く)には碍子を高電圧から保護するためにサージ電圧(直流分)をバイパスさせるためのコイルがこれを跨ぐ様に実装されています。

 支線は鉄ワイヤーなどであるため、送信アンテナの動作に影響を与えない様におおよそ0.1波長程度の間隔で碍子を挿入し、いわゆる電波が乗ることを回避させています。一方、鉄塔への落雷時や砂塵等により発生した摩擦電気を大地に逃がすためには電気的に接地されている必要があります。このため高周波(送信周波数帯)に対してハイインピーダンスになるコイルが利用されている様です。


局舎  局舎敷地内には送信空中線以外(謎の函をのぞき)ありませんでした。演奏所からのプログラムは有線で届けられている様です。左図は近くの電話線から局舎に向かって引き込まれている電話線の電柱です。なお、画面左方には同じく近くの電柱から電力を引き込んでいる柱上変圧器が乗っかった電柱もありました。

表札  電話線は道路沿いにある電力線との共架柱から上図の様な電話線のみの電柱を用いて局舎まで引かれています。共架柱から別れた電話線の最初の電柱に左図の様な表札が貼り付けられていました。あっさりとした、それでいてストレートな表現…だと思いました。

表札参考  左図の様に局名まで具体的に表記されている場合もあります。これはKDDI八俣送信所付近で見かけたものです。上の方にある表札は文字が消えているのですが(それともA2だけ?)、電電公社のマークが残ってましたのでなんか懐かしい感じがしました。


撮影:2010.03.06 12時頃(一番下のものは 2010.02.07 撮影)
初稿:2010.03.07
追記:2010.03.08

ひとつもどります