送信所全景 小田急小田原線富水駅の東側約1キロの位置に酒匂(さかわ)川が流れています。酒匂川は鉄砲水が出ることのある荒れ川で、過去に幾度か堤防決壊を起こすことがあったそうです。画面左方奥に見える高架橋(東名高速)もこの場所から20キロ以上の上流側で酒匂川を跨いでいますが、この川を越える酒匂川橋は東名難工事箇所の筆頭に挙げられています。富水駅(ないしはその隣の栢山駅)は尊徳記念館最寄駅という方で著名かも知れません。酒匂川の堤防工事は小学校で良く見る二宮金次郎(二宮尊徳)が大きく関与しています(堤防上の松並木など)。

 さて、富水駅から酒匂川に向かって歩くと富士道橋に出ます。ここから上流方を見たのが左図です。荒れ川と言われる酒匂川ですが、普段は穏やかな表情をしています。その堤防の向こう側に紅白の鉄塔、よくよく見ると鉄塔に沿ってワイヤーが降りているダウンリード式の空中線でした。アール・エフ・ラジオ日本小田原放送局(JORL 1,485kHz 100W)です。


例によって… 富士道橋と称されますので確かに文字通り橋の上から富士山が望めました。その後、橋から少し歩いていかにも…なところをあたったのが左図です。堤防の向こうは川、手前は水田と接地が重要な中波送信アンテナとしては好条件なものではないでしょうか?


塔頂付近 塔頂の少し下側で6本全てのダウンリードが接続されているのが観察されました。この部分では特に碍子等の絶縁体が観察されず、これらのダウンリードと鉄塔は電気的に接続されている様です。


ダウンリード中間部 鉄塔の中間に同じ様なリングがありますが、ここでは各ダウンリードは碍子にて鉄塔と絶縁されています。


基部 下ってきたダウンリードのそれぞれの線条はすべて接続され、その接続点に碍子がちょっとカッコイイ整合函からの給電線が接続されています。鉄塔自身は絶縁されることなく、基礎部分がそのままコンクリート基台に搭載されています。基台のボルトにはアース線が接続されています。


整合函 整合函を正面から見たものです。左側に防雨ボックスが見え、中にブレーカらしきのが見えています。おそらく塔頂にある航空障害灯への電源と思われますが、基部絶縁型の空中線で見たようなオースチントランスがありません。また給電点にも銀球(ギャップ)が見当たりません。これらは基部接地型空中線の大きな特徴です(まだ見たことはありませんが、テレビ送信アンテナ鉄塔との共用が可能とあります)。


基部にあった銘板 鉄塔の基部にありました。標準放送局とあります(以前は中波放送のことを標準放送と称していました)。またこの空中線鉄塔の名称は基部接地型中波塔アンテナだそうです。


電柱にあった銘板 局舎に引き込まれていた電話線の電柱にありました。アール・エフ・ラジオ日本は1981(昭和56)年10月にラジオ関東から局名を変更しましたので、その名残かと思います。なおこの小田原局の開局も1981年7月です(空中線の製作は6月)。


局舎にあった銘板 送信機等が収納されている局舎に貼付されているプレートです。本局とは別の呼出符号を持っていますので小田原地域向けの放送も実施しています。



撮影:2009.05.04 午前9時頃
初稿:2009.05.06
追記・訂正:2009.05.09

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