上越市(にあったここ)から国道8号線を県境に向かって行くと糸魚川に着きます。糸魚川は松本からの国道148号(千国街道)との交点です。糸魚川の東西・南方は山に囲まれており中波放送も中継局が必要になる地形です。左図は糸魚川市内中心部を流れる姫川沿いに設置されている中波ラジオの送信所です。標題に特定の局を入れていないのはこの送信所がNHK新潟(第一)と新潟放送の共用となっていたためです。

 局舎にはNHKとBSNとペイントしてありました。局舎はこじんまりとしていましたが、鉄塔は普段見慣れない基部接地、ダウンリードのあるものでした。この形式のものは札幌テレビ放送苫小牧ラジオ送信所の次に山梨放送(YBS)ラジオ送信所(双葉、上野原、富士吉田)を見てから暫くご無沙汰でした。また2波共用の中波送信アンテナもNHKの第一と第二では良く見てきましたが、NHKと民放の共用はここで初めてです。


 送信所敷地は姫川桜つづみに隣接しておりかなり開放的な雰囲気がしますので局舎及び鉄塔基部もよく観察できます。左図は局舎から出てきた給電線がダウンリードに接続される部分です。図版にすると見難くなってしまいましたが、鉄塔基部には(よく見る)基部碍子やオースチントランスや銀玉(スパークギャップ)はありませんでした。


 基部付近のダウンリード部を拡大してみました。8本のダウンリードを太い(平らな)ワイヤーで短絡させて全てのリードに給電しています。この時点で鉄塔の機構的寸法はNHK側もBSN側も同じなので局舎から出てくる給電線を合成する際に双方の送信機とこの鉄塔(空中線)を整合させる回路があるのでしょう。

 また、2つの異なる周波数を(例えこの局の様に0.1kWであっても)お互いの送信機に向かっても出力していることになるため、2重給電をしている場合は相手の周波数に共振させた回路を挿入し、相手側の信号を阻止します(一般的には並列同調形を使用しているとのことです)。


 鉄塔の中間(2ヵ所)でダウンリードを固定しています。中間部では他のダウンリードとは接続されていません(鉄塔とも)。白いものは碍子…のカバーか何かでしょうか?


 左図は塔頂付近です。塔頂にわっかの様なものがありましたが、ここではダウンリードを吊り下げる機能のみでしょうか?ダウンリードは塔頂の少し下の所で給電部と同じ様にワイヤーで短絡されていましたし、同時に鉄塔にも接続されていました。鉄塔には基部で接続されておらず、ここで接続(=給電?)されています。でも鉄塔に接続されている線は8本でなく4本でした。


 鉄塔には支線もありました。この支線はこれまで見てきたのと同様、所々に碍子が挿入されており、一番高い所から張られている支線の碍子には左図の様なチョークコイルが設置されていました。


 送信所敷地は堤に沿ったやや細長いものでしたが、送信アンテナから少し離れた位置(一番上の写真で言うと画面奥の方)に左図の様なループアンテナが設置してありました。送信所内に受信用のアンテナを設け(支線の一部を受信空中線にしている例もあり)、送信波のモニタをしているのでしょうか?


 左図は送信所すぐ近くを流れている姫川河川敷より上流側を見たものです。送信所は左手方にあります。また背後に北陸本線姫川鉄橋、画面奥に見える橋梁は北陸道のものです。急流河川のためか河口まであと1,200mくらいなのに玉状の石がごろごろしていました。この河川が接地抵抗軽減に一役買っているものと思います。あ、上越市の国道8号沿い関川のすぐ近くに新潟放送の送信所がありました。これは別の機会に。


NHK糸魚川 999kHz(100W)
BSN糸魚川 1,530kHz(100W)

撮影 2008年5月17日 15時頃
初稿 2008年5月25日

ひとつもどります