函館空港はJR函館駅から直行の連絡バスもありますが、市内をこまめに回る路線バスで行く事もできます。函館駅前から乗ったバスは後者のもので函館駅前から市電通りを湯の川に向かい空港団地(住宅地)を経由して下図レーダサイト脇を通過してターミナルビル前に到着します。このサイトはターミナルビルに程近く、歩いて数分で行けます。

レーダー 航空管制レーダ(ASR:Airport Surveillance Radar)と思われます。この種のレーダは空港周辺の空域にある航空機に位置を探知して管制官に離発着のための情報を提供するものとされています。無線関係の本を見ると垂直面内の指向性がコセカント2乗特性となっており、同一高度の航空機からの反射波が距離に無関係に一定受信レベルになるそうです。コセカントという関数はどこかで聞いたことのあるのですが…

 同じ様な形状をしているレーダに航空路監視レーダ(ARSR:Air Route Surveillance Radar)があります。ただ、こちらの方は広範囲な探知距離が必要なことからLバンド(1.3GHz帯)を使用しているらしく、アンテナも結構大型なものだそうです。函館の近くに横津岳航空路監視レーダサイトがある、と地形図は教えてくれてます。

 この航空路監視レーダとの違いはアンテナの大きさもありますが、回転速度も倍以上の開きがあります。ARSRが1分間に6回くるくる回るのに対してASRは15回とのことです。これ(←)は結構な速さで回転していました。


レーダー拡大 ASRのアンテナ部分の拡大です。ホーンが上下2段に設置してあり、ホーンの角度が微妙に違うのが観測されます。下段の方は上段の方に比べ若干上向きになっています。これは給電ホーンを2つ用意して近い距離にある航空機に対してはビームが上向きになるように探知距離に応じて給電ホーンを自動切換えするためとのことです(デュアルビーム方式)。

 Sバンド(2.8GHz帯)を使用しているとのことです。また送信電力は近距離(60海里:約111km)で500kW、遠距離(80海里:約148km)で3.5MWといったとてつもない値です(広域レーダはもっとあるでしょうが…)。


NDBといっしょ 無指向性無線標識(NDB:Non Directional radio Beacon)も設置されていました。資料によると送信周波数は388kHz、呼出符号はHWでした。空中線は札幌NDBと同じ(モノレールから見える羽田NDBとも同じ)形式のT型アンテナです。また5本の線が平行に張られていますが、これは中波送信アンテナでよく見かける頂部負荷(わっか)と同様な働きを得るためにしてあるとのこと。この容量によりアンテナの垂直部の電流が均一になる場合は実効高が実際の高さ(5本の線の設置高)に等しくなるそうです。

 その他、後方には対航空用のアンテナ群、管制塔と見え函館山の稜線も見えます。近くでレーダーがぶんぶん回ってる割にはそれほど騒がしくなく、離発着機の無い時は意外に静かでした。




ひとつもどります