局舎全景 新千歳空港の近くに居ると対空通信設備を見かけることが多いですかったです。左の設備は滑走路から約7km離れた位置に設置されるアウターマーカーと言われるものです。新千歳の滑走路はほぼ南北に伸びてますのでこの設備は千歳市北部の牧草地の中にあります(すぐ近くに道東道)。

 マーカーは滑走路末端までの大体の距離を知らせる装置であり、アウター、ミドル、インナーの3つのマーカーがあります。モノの本によるとアウターマーカーサイトにNDBを設置することもあると記載されています。この付近のNDBは長沼にありますが、ここからさらに北方です。

 また計器着陸システムはILSからMLSに移行、とありましてこれがアウターマーカーそのものズバリかどうかは自信がありませんが、75MHz帯水平ダイポールアンテナという点で注目しましたのよ、ちょっとワケありで…


空中線部拡大
A-14 次の記述はILS(計器着陸装置)用アンテナについて述べたものである。【 】内に入れるべき語句の組合せを下の番号から選べ。

 ILSは、航空機を電波で誘導し、滑走路へ安全に着陸させるための装置であり、グライドパス、ローカライザ及びマーカービーコンから構成されている。

(1)… 略 …
(2)… 略 …
(3)マーカービーコン用のアンテナは、2素子の【 】半波長ダイポールアンテナを、滑走路の延長線上でそれぞれ決められた距離にインナーマーカ、ミドルマーカ及びアウターマーカ用として設置される。

(FB401)

…という問題があったです。グライドパスやローカライザのアンテナはなんとなく覚えており、マーカも南千歳駅のすぐ近くにあったりしてこのページの図の様な構造であることも覚えてました。で、最後の詰めであるところのマーカのアンテナで「2素子の【垂直】半波長ダイポール」と勘違いしてしまい、あと1問というところで辛酸を拝することになってしまいました。

 正解は「2素子の【水平】半波長ダイポール」で、左の図を見ると確かに2素子のエレメントは地上と水平に張られています。ここに初めて行ってアンテナを見た時に「へー、並んでエレメントが張ってあるわ」なんて思ったことを今更思い出してしまいました。

 マーカは周波数75MHz、水平偏波を使用し、地上施設のアンテナとしては通常20ft×20ftのカウンタポイズ上方λ/4に設置された2個のダイポールを使用し垂直面内扇形のパターンを放射する。この他左図に示すような2素子のアンテナも使用される…とアンテナ工学ハンドブックに記述されていました(記述には「図8.38に示すような」とありますが、この図が左図と同じ形式のものでした)。


戯言:
 空間、周波数、偏波の各ダイバーシチ方式の問い(A-13)もマイクロ中継局の観察の中でもう少し深いトコまで突き詰めておけば…と思ったり。もっとも計算問題での失点の方が影響大なので勉強不足ということになります、はい f^^);;;



撮影 1998.06中旬、フィルムスキャンです。

本稿は次の書籍を参考にしました。
・航空電子入門(社団法人日本航空技術協会;1994.11.10 第1版第4刷)
・アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992.12.30 第1版第7刷)


【追 補】

どこ行ったんでしょ? 過日千歳に行く機会があり、レンタカーにて千歳市〜長沼町を走行してみました。記憶を頼りに道東道脇を走行し、雪の中にあるものを見てみよう…と思ったのですが、どこかに行ってしまった模様です。

 フェンスと航空局の立て看板はありましたが…雪の積もり具合から降雪時期以前に撤収されていたみたいです。どこか別の場所に移ったか、別の進入システムになったか…?は不明です。場所の記憶違いという可能性も否めません…どっか別の場所に移ったとしたら、何故なのでしょうか?すぐ裏手の道東道(盛り土ないしは高架区間)を走行する車両の影響とか(反射したりとか)??

※ここより北方の長沼NDB局、快晴の下の白い絨毯の上にありました。

ひとつもどります