エミレーツ・フライト・インスピレーション

純子さんの
『エミレーツ航空・フライト・インスピレーション』

エミレーツロゴ
これはアラビアが大好きな純子さんが、97年12月24日〜98年1月2日にドバイ、イエメンに行かれたときに、無理にお願いして書いてもらった物です。

成田〜シンガポール、シンガポール〜ドバイ、ドバイ〜サナアという経路でイエメンのサナアまで行って来ました。 さて、今回、採れ野さんから、エミレーツに乗るなら、エミレーツのフライトインスピレーションを書いて欲しいと頼まれたのですが、何せ、私は、飛行機関係には、とんと疎い輩なのです。
でも、何でもいいから書いてと彼にお願いされたので、頑張ってみます。


エミレーツを利用したのは、シンガポール〜ドバイ、ドバイ〜サナア間でした。
成田から、シンガポールまでは、狭く、スチュワーデスさんが怖い、ユナイテッドを利用したおかげで、シンガポール以降のエミレーツでは快適な思いができました。
エミレーツは何でも、ドバイの首長が経営している航空会社の為、そのサービスの良さには定評があるらしいという噂を聞きつけていたので、それが本当かどうかを確かめたい衝動に駆られました。

エミレーツのチケット成田でのチェックインの際に、航空券を渡されたのですが、その航空券はエミレーツという英語の周りにアラビア語がのたくっているもので、テーマカラーである?ベージュ色の表紙でした。
なんだか、いよいよ、アラブに行くんだという気にさせてくれるものがありました。

シンガポールの綺麗な空港で、トランジット待ちで2時間程過ごした後、いよいよ、飛行機に乗り込む時間になりました。

スチュワーデスさんは、ベージュの制服に身をつつみ、頭にはワインレッドの帽子に真っ白のスカーフを巻いています。
飛行機に乗ると、その国の民族衣装が堪能できる会社もあるので、制服を眺めるのも一種の楽しみです。
しかし、アラブ女性で、スチュワーデスとして働く人はいないらしく、アラブ人は一人もいなくて、主にヨーロッパ系の美人のお姉さんだったのがちょっと残念でした。

座席に座ってみて、驚いたのは、エコノミーでも充分に、座席が広いのです。
私の隣には、太った、アメリカ人らしき人が座ったのですが、こちらに悪影響を及ぼすこともなく、快適な空の旅を送れるなんてことは、実はすごいことかもしれませんね。
もし、これが、別の航空会社だったら、隣に太った人が座った場合の悪影響を受けたことが誰しもあると思います。
そして、足には、フットレストが付いていました。
いつも足の置き場に困る私にとっては、とても嬉しいものの一つでした。
それに、一番の目玉は、おそらく、前の座席に備え付けてある、パーソナル・ビデオの存在でしょう。
それで、映画も何本もみることが出来ますし、他には音楽や、ドラマなどが上映されていました。
画面の下には、電話のような形をした、スイッチが備え付けられており、これを使っても操作できるし、ただ、画面を指でタッチするだけでも、チャンネルが変わるしくみになっています。
ふと、その電話のようなスイッチの裏をみてみると、驚いたことに、裏は、ホントに電話になってました。
これを使って、国際電話をかけれるのです。
一度、試して見たかったのですが、料金をどのように請求されるかが心配な為、止めておきました。

そして、他には、何か変わった設備はないのかと、初めて飛行機に乗る子供のように、あちこちをいじくりまわしていましが、何も発見できずにふて寝を決め込もうとしました。
枕も各座席に置いてあったのですが、なんと、座席の上5分の1ぐらいの両側が動く仕組みになっていて、寝たい時は、その両側の部分を自分の角度に合わせて調節できる仕組みになっていました。
いつも、枕では、首が痛くなる私にとっては、これは感動に値する代物でした。
この座席備え付け枕で、らく〜に眠りに入ることができました。
そうそう、寝るために、かなり座席を倒しても、後ろの人には、影響がないのです。
よく、前の座席の人がかなり座席を倒すと、こちらのテーブルを広げたくても広げるのに苦労する苦い経験をしてきたので、これはいい〜!と思うぐらい隣の座席との間隔だけでなく、前後の間隔も広くとってあるのでした。

起こさないでおまけに、私がその後、またまた発見した、これは、いい〜!ってものを紹介しましょう。
イヤホーンの袋の中に入っていたのですが、ホテルに泊まったときによく、部屋のドアのぶら下げておく、 ''Don't disturb!''って札があるでしょう?
まさにあの札と同じ様な役割の、シールが入っていました。
そこには、'' 今、寝ているので、食事がきても起こさないで!'' というバージョンと''寝ているけど、食事の時に起こしてください''というバージョンのシールがあって、前の座席にそのシールをはっておけば、寝ている時も、食事だよ〜〜って起こされないようなシステムになっているのです。
いやはや、良く考えられているものだなぁ、とやたらと感心してしまいました。
アラブのホスピタリティの奥の深さを感じさせる、快適な空の旅でした。

面白かったのは、ドバイ〜サナア間のフライトでした。
シンガポールから、ドバイまでは、アラブ人と他の外国人が半々の割合でしたがドバイ〜サナア間は、アラブ人ばっかり(恐らくイエメン人)、とヨーロッパ人、そして、日本人のイエメンへのツアー客という構成でした。
乗った飛行機は、ジャンボではなく、エアバス?みたいな小さな規模の飛行機でした。
私の周りに座っていた、イエメン人は英語が判らない人が多く、食事の際に、「ラムと卵のどっちにしますか?」というスチュワーデスの言うことが判らないようで、そのスチュワーデスと、しばらく押し問答を続けていたのですが、ついに、そのスチュワーデスは、「羊よ、羊、メェ〜メェ〜メェ〜」と羊の鳴き方まで披露しているのには、笑ってしまいました。

そんな和やかな雰囲気の中で、2時間程のフライトで、サナアにいよいよ到着です。
私の前の座席に座っていた、イエメン人が、飛行機がまさに、陸に到着したときに、「アルハムド・リッラー、アルハムド・リッラー、アルハムド・リッラー!!!」と叫んだのです。
アルハムド・リッラーとは、アラビア語で、「神のおかげだ!アッラーの讃えあれ!」という意味です。
この言葉は、滞在中に何度も耳にしました。
これは、「お元気?」というのに対して、「おかげさまで」という風にも使われるし、「お仕事はどう?」というのに対しても、「おかげさまで」と使われます。
また、食事の後で、ごちそうさまの意味でも使われるものです。こういうのは日本でも使われているので、案外すんなりと受け入れられますよね。
飛行機が無事に地面に着いたときは、誰しも内心ほっとするものですが、こうやって、声高く、叫んでいるのを聞いたのは生まれて初めてでした。
何というか、妙な、感動を覚えてしまいました。
彼らにしてみれば、普通のことなんでしょうが、私にとっては、言葉に言い表すのはちょっと、難しいような気分でした。
ここにここうやって、無事に飛行機が到着したのは、アッラーのおかげであるから、アッラーを讃えようとの意味なのでしょうが、人口の多くが出稼ぎ労働者を占めるドバイから、人口の殆どがムスリムのイエメンにやっと着いたという感激もひとしおに感じさせる印象深い言葉でした。

終わり


エミレーツ航空日本支社のホームページへのリンク