社会保障制度と連帯の理念  
富士市西船津 特定社会保険労務士 川口徹
www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/nenkin2/shakaiho4.htm

社会連帯の理念と社会保障制度

年金制度改正に向けて  35兆円

公的年金保険を中心に私の考え
これからの社会保障制度 
shahosho.htm#21
社会保障・包含の原理と自己責任

社会保障制度の発展

個vs個 個vs集団 小集団から大集団  生存をかけての社会の制度仕組みの創意工夫がなされてきているわけです

それぞれの合理性
我が国の社会保障法学においては
憲法25条を根拠とする生存権原理が立法上法解釈を領導する基本原理として位置づけられている

1980年代半ば以降高藤昭が社会連帯原理
生存権原理と並ぶ社会保障法の基本原理と位置付けた

資本主義社会において 
労働者の連帯感が社会保険を生み 
更に生活者・人としての連帯感に発展し
公的扶助をも包含して社会保障制度に発展したのです

社会保障制度のために収入の一部を強制徴収しても国民的合意は得られます
社会構成員間の自然発生的なものから理性的自覚に基づく人間的愛情を前提とされる 
資本主義経済社会の進展に反抗し市民的原理を修正する社会法原理として法規範化が要請された

社会保障制度そのものには反対はない または少ないのです

企業の活動も
人間の利己主義(自己目的、自己利益)からの企業化組織化です 

営利追及の企業も
原生的労働関係を経過し 永続性継続性を意識すれば企業防衛として企業内福利から 更に社会の貢献を考えます 

イギリスの産業革命1850年ごろを端緒に生成された資本主義思想もその時代を特徴付ける命名であって
アンチテーゼの社会主義思想もその時代を良化発展させようとする手段としての一部の人たちの思想でありました

しかし手段にすぎない思想が人間の本質的な行動動機だと断定するあやまりが長く続きました

初期資本主義の安価な労働力の使い捨てが 
時を経て 労働力が高価に また良質になれば、生産力の確保のため大切にするようになり 
さらに産業平和策として労働者の保護 ・社会保険・社会保障へと変わりました

その理論的根拠が個別資本に対する総体資本としての合理性でした

 

目的集団・排除の論理(企業など)と 存在集団・包含の論理(国家等)
目的集団・排除の論理(企業など)と存在集団・包含の論理(国家等)

個人の自由から 私企業の自由 それが経済を活発化させ 人々の生活を向上させます

私的集団は必要な人やものを選択します 排除の論理・選択の論理が可能です

個人の自由な生活 企業の自由な経済活動 競争と選別から それぞれが存在目的を追求します

貧困 政治的不安定 教育 相続による不平等が生じます 競争 闘争 猜疑心

市場主義   教育 医療 就職からの排除 ⇒  不平等社会

国家は必要な人だけを構成員として選択できません 
全ての人を構成員として国民の権利(個人の市民権・教育・医療・保育)を保障します 包含の論理です 
国に対する権利は個人個人平等を原則とします 共生 信頼 安心 歴史的経験的原理です

地域住民の自治も包含の論理で思考しなければなりません ゲマインシャフト(精神集団)

会社においても株主平等の原則があります しかしこれは株式平等の原則で株主が平等という意味でありません 
この違いは大切です ゲゼルシャフト(利益集団)


国民国家は人間としての権利保護が目的です 
そのため個人私企業の自由な活動に合理的規制をします
 
近未来にはグローバル化して世界国家もありえます 
自由と規制のバランスをとります 両方の主張を止揚(いいとこどり)します 正反合 第3の道

しかし国の機関をつかさどるのが個人であり企業の影響を受けやすいことを考慮し 注意深い監視をしなければなりません

 

運用管理者責任に対する不信

集団と個の利害の不一致

集団の組織(統治を司る主体)は 
個々人の生活上の利害調節(コーディネーター)・規制 スケールメリットによる利益享受のためにあり、
個々の人たちの生活向上を目的とします 

しかし組織も成長発展してくると
独自の存立目的を持ち 自己目的のために 個の利益に反する事も生じます 

いわゆる思惟的補助手段・思考の手段として、
組織に法的あるいは社会的人格権を与えると
独立の権利〔組織の自己維持や自己拡大〕を主張するようになります 

 

組織から離脱の自由 雇用の流動化

営利を目的とする会社でも社会の一員として社会活動をすることが期待されている
(最高裁大法廷70年6月)この判決は不評です


そして組織に支配力ある個人が
一般の人たちと違った発想で組織の力を利用して 一般の人たちに支配者として現れ 
自己保身の手段として一般の人たちの権利を侵犯し利用する事が生じます 
(戦前・戦中の行政官僚と軍部 戦後は官僚と特定企業 企業の政治献金 圧力団体 90年代の日本経済崩落の課程での金融既得権益の保護)

国会と内閣によってコントロールされる機関である官僚組織としての各省庁が実態は優位の官僚内閣であった 
少なくとも選挙で主権在民を主張すべきでしょう

最初は人々の有益な組織が侵害者に変身するわけです (権利を守る規制が侵害する規制になる)

組織を利用した独断的・利己的行為 あるいは価値の押し付けが恐ろしい
このような事がないように何時も直接監視しなければなりません  参考例 ○○事業の破綻  信頼は悪の素になりかねないのです 

神奈川 新潟 警察局長 県警本部長の不祥事 職務を遂行しない職務給 マージャン手当 組織内の社会通念 常識???
周囲の人も見て見ぬふり こっそりしてたわけであるまいに 
セイフティーネット悪用・モラルハザードの実践者は警察キャリアの代名詞

国家と言う単位での所得再分配や規制に限界 集権的な行政国家の転機

国民が政府の活動を如何に民主的にコントロールするかが重要 
情報公開 住民参加 合意形成の選挙制度

社会保障制度も 
個々人の生活向上を目的としていますが 
個人より国の繁栄 社会の安定などという標語の基に
個人個人が特定の人の道具とされ 
個人個人が下部構造の構成員としての評価に成り下がる事が生じます 個人が矮小化されるのです 

それを避けるために 
制度も個人個人の権利擁護のため 
わかりやすいもの、透明性の高いもの、
反論しやすいものにしなければなりません 発言の自由を尊重

それが自由主義社会の社会保障制度なのです 
わかりにくい年金保険・社会保障制度は危険ですし 
歴史的に認知されていません 21世紀は個の時代です

 

日経2000/02/08より
仕事をする官も政も 他人のカネ(税金)を使って他人(国民)のための仕事をしながら 
実は自分の利益を追求しようとする人間に過ぎない (成蹊大某教授 経済思想史)

 

個人に保障されている自由思想には
善 徳などの倫理観は願望として期待されていますが内在していません 

IT革命時代には 大切なのは知識でなく 倫理観であり 
それを育むのは 学校教育か家庭教育か 社会教育か 政治の問題として話題に上がっています

行動の行き過ぎに歯止めをかけるのは やはり自由を保障されている個々人です 無関心は悪ということになります

 

倫理で(企業)選別の時代にと 高 巌早稲田大教授 2000/05/15の日経に見出しがありました 

三菱自動車リコール事件 ブルータスおまえもか?信頼は裏切りを生むのでしょうか それともお互いさんでしょうか

行政の積極的介入
http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/nenkin2/shakaiho5.htm
http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/nenkin2/shakaiho5.htm
社会保障制度は 
人間としてふさわしい生活を求めての行政の積極的介入でしょうが

介入は自由の規制を意味します 
多数派価値観の強制を意味します 
行政は人間の量的把握をします マイナーの価値観の持ち主にとっては不正義な制度です 

従って方向性を示す範囲か 
規制や負担は可能な限り少なくしなければなりませんし
あるいは個々人の自由を守るための規制として 国民の充分な理解を求めなければなりません
 (国家には基本的な仕事だけを任せる) 

参考のため 
公務員は共済年金です 厚生年金より有利です 
排除の論理の実践者です しかも相互扶助方式助け合いの理解を国民に求めます 不思議な精神構造です  自由人としてでなく組織の機関としての発言でしょう

しかしいかなる思想も 
人として生きるための手段ですから
現在の社会保障制度が自分たちの幸福に繋がると思えば協力します 
情報公開と国民への説明責任が大切なのです

社会国家・福祉国家 
国民の福祉と社会的な平等を実現するには、経済的な自由などを規制する事は憲法は認めており 
国が積極的な役割を果たした方がいいと考えた結果 何をもたらしたか 
官僚主義 裁量行政 つまり行政がでしゃばることを許し 強い政府 大きな政府をつくってしまった 
行政がうしろに退き 市場原理が働く自己責任 自己実現の経済社会に変えていく必要がある 日経1999. 7 30より

生きる意味を理解  如何に生きるか
元気な高齢者gennki.htm

しかし 生きる意味を理解しなければなりません 人はどのような生き方を望んでいるか 
それは人の数だけあるでしょうが 
共通するところは少なくとも生きて良かったと思う 
より良き生を送る生き方でしょう (教養教育 リベラルアーツ)

人間はまず 衣食住の充足 自由 自己実現 社会に貢献(即自己存在の主張・アピール) と前者を充足しながら次の充足を求めていきます  

判断の視点も 
自己 家族 地域社会 自然の中の人間 国家 世界のなかの自分の位置 グローバルな視点  
視点の置き場所を変え 前者を包摂しながら価値判断評価を変えていきます

現在では生きる手段の一つとして 社会保障制度が 最大多数の最大幸福の近道だとの認識があります

制度は手段であって目的ではありません 個々の国民に生存の安心を充足した社会保障制度でなければなりません

生きる価値の根源は国民1人1人の心の中にあると考えるのが出発点です

衣食住がある程度安定すれば 
如何に生きるべきか 
個々人の生き方の自己決定権を保障するための社会保障制度だとも考えられます 
いわゆるセイフティーネットです  
そのため政治に関心を持とう

ここに現代的意義の社会保障制度の萌芽があります 
それには大きな政府・小さな政府の選択もしなければなりません

自由にも限界があります 自己決定の範囲にも限界があります それを議論して決めましょう

自由はベターですが 徳 真 善 美を必ず保障するものであるとは 私は思っていません

自由と自己責任 精神の緊張が続くと
そのうち思考疲労を起こします 思考停止を自ら求めます 
問題が起きるのはこのときです 要注意です

はじめに

 

6 自己責任と助け合い

老齢年金の場合は 現役世代が先行していますから その間老後の心構えがあれば そのための蓄えも可能です 
わが国は自由社会を基本としていますから 老後も自己責任が基本になります 

第1段階として老齢年金も自己の積み立てが受給額の基本になります 

第2段階として 生存権確保の年金は同世代(高齢者世代内)の助け合い 同世代の拠出金を基本にします 

最後に異世代間(現役世代)での調整 との考えの方が拠出と受給の関連が、より具体的、直接的で理解しやすい 

 

介護保険  日経1999.0724より

数十年後には人口の3分の1以上が65歳以上の高齢者になる 現行の年金 医療 公的扶助の社会制度の中で 
介護は各分野に関与し さまざまな不効率を生んでいる この問題を解決するためには 介護を制度的に独立させる必要に迫られたわけだ
家族で老親の介護をするという習慣は 急速に薄れつつある 
女性の社会進出もあり 要介護老人の増加とあいまって もはや家族ではどうしようもなくなった 
となれば
社会が連帯し みなで協力し費用も負担しあって 高齢者を介護する制度を構築せねばならない 
いわば家族による介護から 介護の社会化への転換である 
介護の費用は国民の負担になる 必要な介護費用を積極的に受け入れる姿勢を社会的に作る事である 

 

介護保険の疑問 

社会が連帯し みなで協力し費用も負担しあって 高齢者を介護する制度を構築せねばならない」 
立ち上げ期の賦課方式の保険であれば このようになりますが 
積立方式であれば 費用は自分の(または同世代の)積み立てからとなり介護サービスは契約の履行に過ぎない 

参考 介護保険

401k確定拠出年金401k.htm

企業に従業員が毎月一定額を個人勘定に拠出して積立 自己判断で運用する確定拠出型の年金

給与から天引きされた積立金が所得控除 運用収益も非課税

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