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記号の読み方(楽器別一覧)
このページでは大鼓、小鼓、締太鼓の3種類の楽器別に音色の表記法を表にしました。これらは全てではありませんが、ほとんどが本行である能楽の表記法を踏襲しています。
大小鼓はその音色を記号で表しているに対して、締太鼓は音符の長さによって、その読み方を表記しており、音色の違いはその中に含まれるのが大きな特徴といえるでしょう。大小鼓と締太鼓は表記の仕方も、考え方そのものがずいぶん違うのです。
小鼓
白丸。といい、主に「ポン」と読みます。ほかに「トン」。また、リズムによって「ポ」、「ト」と発音したりします。 |
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白丸に横棒。「乙の音」の仲間で「プ」と読みます。「ホドの音」という言い方を聞いたことがあります。「ポン」の小さい音だと思っていただいてよいでしょう。 |
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カタカナの「タ」。もちろん「タ」と読みます。高い音で、「乙の音」に対して「甲の音」ともいいます。本行(能楽)では大鼓と同じ白三角で表しますが、大小鼓を同時に記述する長唄囃子では紛らわしいのでこちらを採用します。 |
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小さな黒丸。これは「チ」と読みます。「タ」と同じく、「甲の音」です。厳密に言うと「タ」とは違うのですが、あまり考えなくていいです。 |
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*上記のほかに「ペ」という奏法が存在しますが、これはほとんど、というかまず使用しないので考えないことにします。 |
大鼓
白三角。「チョン」と読みます。長唄囃子(歌舞伎)系の演奏家の使う大鼓は調べのテンションが高いせいか、私には「カーン」と聴こえます。でも、「チョン」です。本行の舞台を観に行くと、そう聴こえます。 |
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黒三角。「ツ」と読みます。相対的に「チョン」より小さい音だと思ってください。この符号はお能の手順を説明するときか、相対的な強弱を表現するときにしか使いませんので、「こういうのもあるんだな」くらいに思っていただけばよいです。 |
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小さな白丸。これは「ドン」と読みます。ほとんど聴こえなくてもいいくらい、非常に小さな音です。この符号もお能の「三ツ地」という手のキッカケを説明するときくらいにしか使いません。 |
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*チリカラ拍子では大鼓のところを「ス」、「ツ」と発音することがとても多いです。同じ「ツ」でも上記の「ツ」とは全く別で、大小のリズムを唱う時の便宜上、使用しているものです。これは、小鼓を中心に手順を考えたためとも思われます。 |
太鼓
漢字の「天」。「テン」と読みます。「浮き撥」といって、打つときに打面をミュートしない音です。 |
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カタカナの「テ」。読んでそのまま「テ」と読みます。「天」と同じ音ですが、リズムによって書き分け、「テ」は「天」の半分の長さです。これは相対的なものです。 |
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カタカナの「ケ」。「ケ」と読みます。「テ」と同じですが、左右の撥で交互で打つときの左手で打つときにこう書きます。理由は「テテテテ..」よりも「テケテケ..」の方が読みやすいからです。 |
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カタカナの「レ」。読みも「レ」と同じ。「ケ」と同じ「浮き撥」の音でやはり左手にのみ、なおかつ次に来る音が「ツク」の時に使用します。例えば「テレツクテレツク..」というときに使います。 |
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カタカナの「ツ」。読みも「ツ」。「ツケ撥」というやつです。表拍であれば、右左、どちらの撥に使用してもかまいません。 |
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カタカナの「ク」。読みも「ク」。「ツ」と同じ「ツケ撥」ですが、左撥にしか使いません。 |
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カタカナの「コ」。読みも「コ」。必ず右撥の「テ」の後の左撥にのみ使います。これはちょっと特殊な奏法で、右撥に対して相対的に弱い浮き撥です。また、「レ」や「ケ」と決定的に違うところは右撥が打面を打つまで撥を上げない、ということもあります。 |
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カタカナの「ル」。読みも「ル」。これも必ず右撥の「テ」の後の左撥にのみ使います。「ツ」や「ク」と同様のツケ撥ですが、唱いやすいのでテンポが速いときに使います。 |
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*太鼓の音は主に「浮き撥」と「ツケ撥」の2種類しかないのと、両手で演奏するのでリズムが大小鼓より細かいせいか、記譜はリズムや撥の右左で変わるものが多いです。これはリズムを言葉で唱う時の利便性もあると思います。 |