望月太喜之丞 Website/ タキノ庵 <暮らしのツケ帳>  
01.12.19更新


タキノ庵世界紀行<2001年11月 熱血!日本音楽集団 韓国ツアー編>


01.11.23◆金◆出発◆前日は日本音楽集団は千駄ケ谷で定期演奏会でした。その終了後に笹塚に行って夜遅くまでパッキングをしてたもんで、朝早い集合はこたえます。飛行機の中ではすっかり爆睡してしまいました。
●ソウル・タワーホテルの歓迎垂れ幕
◆ホテルに到着すると、メインビルディングの正面に「歓迎 日本音楽集団」の垂れ幕が。誰かが「オイ!記念に写真撮っとけ!」って、オイオイ、めったにこんなオモテナシを受けたことがないもんだからって、それはなんか悲しくないかい?◆日本から運んだ楽器類は国立劇場の方々が運んでくださいました。◆夕食>韓国国立民俗楽団のご招待で夕食会。プルコギ大会であります。◆パク先生のお勧めにしたがって「山(とうとう読み方を覚えられませんでした)」という焼酎をいただく。アルコール度数20度。まろやかでおいしい。焼酎というよりも日本酒感覚で飲めます。「眞露:ジンロ」なんか、日本でも売ってますけど、こちらでいただく「眞露」はあきらかにお味が違います。日本で売ってるものよりもまろやかなんです。◆夕食会のあと東大門市場(トンデムン・シジャン)へ。ショッピングをしたいという皆と9時半に待ち合わせをして別れ(私、あんまり興味ないんです)、一時間ほどあたりを歩き回りました。◆人がとても多いんですね。ぼんやり歩いていると日本のどこか地方都市を歩いているような、不思議な気分になってきます。◆特に見るものもないなと思っていると、デパートの駐車場の誘導係をしているお姉さんがすごく面白かいのに気がつきました。◆ビルごとに違うに制服を着たお姉さんが立っていて、ヘッドホンで「いらっしゃいませ、こちらへお進みください」みたいなことを喋りながら駐車場に客の車を誘導しているんですけど、どのデパートのお姉さんも無表情なんですね。それで買い物客の車を誘導しているんです。無表情で。◆彼女を注意深く観ていると、どうも決まった振り付けがあるようなんですね。まず右手を顔の横にあげておいてから、左手を右から左へ「ドウゾ」。今度はあげておいた右手を左の肩のあたりへ「ドウゾ」。でもって、両手を前で揃えて「オジギ」するんですね。その間、やっぱりずっと無表情、というかどっちかっていうとカッタルそうな顔してヘッドフォンで何か言ってるんですけど、このアナウンスだけは妙に威勢がいいんです。ですけど、無表情。韓国語(あたりまえか)なので私には判りませんでした。◆どのビルの駐車場のお姉さんもだいたいこんな振りなんですが、一件だけ、やたらに手をあげてヒラヒラヒラッて振るっていうデパートがありました。でも顔は無表情。これって専属の振付師とかがいてお稽古するんでしょうか...ね...やっぱり...。
01.11.24◆土◆練習初日◆朝食>ホテルのレストランにて韓国風お粥◆10時半からリハーサルです。民俗楽団の練習所は国立劇場の中にあります。窓の外には裏山の紅葉がきれいに見えていて、素晴らしい環境で練習ができる楽団の人達がうらやましいです。◆メンバー達とは初めて顔を合わせます。打楽器の中には知ってる人もいて一安心でした。パク・チュンジさんといって、彼は一昨年、日本音楽集団の打楽器定期の時にゲストで出演してくれたこともあります。
●練習風景
◆昼食>国立劇場のレストランにて、ミラネーゼ定食。本当はここの楽屋食堂のご飯が食べたいのに...◆お昼を過ぎてしばらくしたら、一日遅れの参加者、TNさんが無事に到着しました。着いたそうそう「ね、昨日は何食べたの?」だって。べつにプルコギなんて食べなかったよ!◆夕食>皆で街に出て豚カルビをいただきました。◆夕食後、24時間マーケットへ行くという皆と別れてМKさんと路地探索。私、МKさんとは5月のパリ以来、「ロジトモ」なんです。店からしばらく歩いて、よさげないい路地をみつけたので入っていくと、そこは坂道の住宅街。薄暗い道にはポツンポツンと黄色い街路灯が寂しげに灯っているのと、家々から漏れる蛍光灯の明かりだけです。ふと見上げると斜面の中腹に建っている教会の、赤いネオンで縁取られたクロスがそこだけ色が付いたように光っています。◆建物に沿ってクネクネと曲がる階段まじりの細い坂道を歩いていると、なんだか懐かしい気分になってきました。私の家の近くにもこんな路地があるんです。だいぶん坂を昇ったなと思ったら、突然路地を抜けてしまいました。◆明るくなったな、と見ればそこは丘の上の小さな商店街。それも昭和50年ごろの田舎の小さな街でよく見かけたような景色でした。商店街を歩いてみると、やけに貸本屋さんが多いのに気がつきました。私が子供の頃には東京にも貸本屋さんがたくさんあったもんです。でも、こんなにたくさんあって商売になるのかな?◆しばらく行くと突き当たりはこの辺にしては大きな建物が建っています。1階の通り沿いにはクリーニング屋さんとか、普通のお店が入っているのですが、その上はなんとモスクでした。そういえば周囲のお店にはいつのまにか、肌の色が浅黒い中近東系と思われる人を見かけるようになっていました。◆モスクの脇を抜けて下り道を降りてゆくと、今度は米軍兵相手のお店が多い通り。チョットいかがわしい空気が流れていて、昔、こんなのを見たことがあるようなって思ったら、日本でも横須賀とか沖縄の基地の辺りにはこんな街がきっとあったんですね。今はどうかよく知らないんですけど、私が子供の頃「アサヒグラフ」なんかでよく見ていたような風景でした。◆坂下のスーパーマーケットにてお茶を買いました。МKさんお薦めのバナナミルクと、これは珍しい栗ミルクを購入。
01.11.25◆日◆練習二日目◆朝食>ホテルのビュッフェ(この朝はお粥はなかった)◆朝食後、МKさんと近くの南山公園へ行ったのだが、坂道が辛くて途中で断念。公園の中にアスレチックの設備があって誰でも自由に使えるらしいのだが、この設備、そうとうヘビーな代物でした。なんていうんでしょう、命をかけたボディビルダーが使うような本格的な機材だったんです。
●練習風景その2
しかも物凄く使い込んである!ウーム...これはもしかして軍からの払い下げなのかもしれません。◆11時半に練習を開始。あれ?お箏のМHさんがいないぞ。聞けばお腹の調子が悪くて午前中は欠席とのことでした。◆パク先生の指揮は私には結構判りづらくて、辛かったです。何度も何度も譜面上で迷子になってしまって、WN君に助けられてました。◆昼食>日韓打楽器セクション昼食会(他の連中はサンゲタンを食べに行った)でカルビ焼大会◆韓国の打楽器セクションはとにかく元気!年齢が我々よりもお若いこともあるんですけど、とても礼儀正しくて、かえって恐縮してしまいました。◆彼ら、我々の団扇太鼓のセットがイタクお気に召したようで、楽団の団長を連れてきて、しきりに値段を聞いていまして、とうとう、東京に帰ったら楽器屋に見積もりを出させることになりました。来年にはきっとコレアン・カラーの団扇太鼓をゴキゲンでひっぱたいてることでしょう。◆夕食>初日にご招待されたお店でまたもカルビ焼大会。本日はカルビ焼大会2連チャンとなってしまいました。◆寒さのあまり本日はМKさんとの路地歩きは断念しました。
●ゲネ・プロ
01.11.26◆月◆本番◆朝食>ホテルのビュッフェ◆昼食>国立劇場のレストランにてピラフ(焼き肉にパイナップル添え)◆昼食後はゲネ・プロへ。◆夕食>劇場の楽屋食堂にて定食◆「オドローズ」のFМさんにフリーズ事件。本番前に男性楽屋で私と尺八のKさんとS君、それに三味線のN君の4人でダベダベしてたら、突然白塗りのFМさんが飛び込んできたんです。で、「ハイ!!ここでクイズです!私はいったい誰でしょうっ!」......しかも大きな声で...そして重苦しい沈黙が15秒ほど。男衆、全員まんじりともいたしません。「先に動いたほうが負けだ...」と思ったその刹那、彼女は何かご用でも思い出されたのか、楽屋から飛び出してゆきました。あとに残された私たちは全員、そのままフリーズしていました。「いいかい、今僕らは何も見なかった。何も聞かなかった。すべてなかったことにして、3分前に戻そう。わかったね?」
●元気なコレアンの太鼓
◆1曲目は「新八千代獅子」。いつものように太鼓の刻みの中で演奏者が舞台に入場する演出です。私の小鼓の音でライトがパッと...着かない!?ハテ困ったな、と思ってると3拍ほど遅れてパッとつきました。ウ〜ン、これも困るんだなぁ...こんな中途半端なところで照明がついても...いたたまれない気持ちのまま、八千代獅子はスタートしたのです。演奏が終わって外に戻ったら監督していたH君が落ち込んでたこと!ま、長い人生、そういうこともあるさ!
●打ち上げにてゴキゲンなTAKI
◆「SOUL」は日本音楽集団の打楽器のSSさんのアレンジでカデンツァを入れたのですが、結局打楽器コンチェルトになってしまいました。最初はサムルノリのエッセンスを取り入れただけのカデンツァを練習してたんです。そこは火よりも熱い韓国の打楽器セクション、「オレタチにちゃんとヤラセロ」とばかりにカデンツァの改造を要求してきました。それじゃあ、ってわけでお任せしたら、スゴイことになってしまいました。本場のサムルノリでもってガンガン盛り上がってしまうんですね。もうお客様は大喜びです。私たち、日本人勢は「ヒエ〜!」って必死に追っかけるだけで精いっぱいでした。◆それにしても当地でのパク先生の人気はもの凄いんです。とにかく舞台に出てらっしゃるだけで熱烈な拍手に迎えられちゃうんですから。日本でこんなの、見たことないなあ。◆公演は大成功に終りました。公演後、ロビーにてレセプションがあり、私は紋付きのまま出席しました。立食パーティー形式だったのですが、アルコールは無し。漢方薬のような味のするジュースを飲みました。◆パッキングを終えて3階の練習場にて国立民俗楽団主催の打ち上げパーティー。ここでやっと焼酎にありつきました。◆打ち上げ終了後は一旦ホテルに荷物を下ろしてまた街へ。最初の店ではドブロクとチヂミを、次の店では牛の血のスープをいただく。もう、ベロンベロンになって部屋に帰ったのは朝方の4時過ぎでした。
●出発の朝の記念撮影
01.11.27◆火◆帰国◆さすがに朝食はいただけず。◆ホテル前に集合したときに「オドローズ」の皆さんの増えた荷物に私、目がテンになりました。これ、どうするの?っていうくらい、荷物が増えてらっしゃいます。ソエちゃんがこれ見たら、目を回すだろうなぁ...◆昼食>空港の韓国料理屋さんにて「ユッケジャン定食」◆帰りは偏西風のため飛行時間が短かったです。1時間半!そうだよなぁ、地図で見ると東京から鹿児島くらいの距離だもんなぁ。なんか、国際線って感じしないよなぁ...映画も観られないんだもん。◆夕食>御徒町でカレーをいただく。久しぶりに赤くない辛い(!)ものをいただいて、私の韓国ツアーは終わったのでした。

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