太喜之丞整理法その後

 前回「太喜之丞整理法」を書いてから、はや3年の月日が経ちました。

 その間にも附や譜面はだいぶん増えましたし、音資料も増殖しつつあります。整理の仕方も、今ではいろいろと変わってきたこともあります。

 これは昨年PowerBookを新しくしたので、処理能力も保存できるディスクの容量も飛躍的に向上したからなんですね。以前は夢のようだった整理方法も、簡単に実現できるようになりました。

 そういうわけで、続編として新たに整理法について書いてみたいと思います。

2004年4月 太喜之丞

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附や譜面の整理について

 封筒を使っての整理ということで基本的に変わりはないのですが、量が増えてきたのであまりやらない曲など一部はデジタル化しつつあります。

 具体的にはスキャナでスキャンして、ハードディスクに保存しておく、ということなのですが、デジタル化しても人情として附は捨てられないので、新しい収納場所を作らない限りは結局元の場所に仕舞ってしまいます。蒐集してアーカイブにしておけばという声もあるのですが、手間を考えるとこれは私の仕事ではないように思います。

 モニターも画質が意外と荒いのでそれを見ながら演奏というのは、まだまだ考えられません。ですから、画像にした附や譜面はプリントしないと使えないのでまだ実験のつもりで試しています。

 デジタル・データの名前のつけ方は基本的に封筒と同じにしていますが、どうしても重複するので作成した日付をシリアルナンバーとして付けて「曲名の冒頭のひらがな3文字+曲名+日付」にしておきます。

 最近ですが、ネット上で長唄や浄瑠璃の歌詞を公開してるサイトを見つけました。これはとても価値があると思います。できれば譜面もあれば、とも思うのですが、これは夢のまた夢でしょう。

 五線譜の現代曲などで新しくできた曲はスコアで譜面をいただきます。今まではこれを切り貼りしてコピーし直して、パート譜を作ったものですが、最近ではスキャンして自分のパートのところだけ画像として保存し、それを編集して演奏用の譜面をこさえています。元のデータはハードディスクに保存してあるので、修正も編集も簡単です。

音資料について

 音資料に関してはまったく劇的に変化しました。

●日付で並んだフォルダ●

 現在、カセットテープで保存した古い音資料は徐々にMP3に変換して保存しています。カセットテープくらいでしたら結構ビットレートを落としても音質はあまり変わりません。保存し終わったテープは心をオニにして捨てることにしています。

 デジタルだと映像の資料も同じように整理できるので、結構便利です。某放送協会の古典芸能の番組も録って保存しておくことだってできます。

 作成した日付を名前にしたフォルダを作って、その中にサウンドファイルも映像も一緒にしまいます。場合によってはプログラムやチラシをスキャンしたものや、会場やクルーなどのデータをテキスト形式にしたものも放り込んでおきます。

 ファイルの名前のつけ方はもちろん「曲名の冒頭のひらがな3文字+曲名」が基本です。ワタシ、面倒なので長唄には付けませんが、同名の曲もあるので、曲名の後に「_清元」とか「_常磐津」など、種目を付けておくと曲名で検索した時に見つけやすいです。掛け合いのものは「_長唄x清元」みたいにしておきます。

さて今後の方針は…

 コンピュータの処理能力の向上、ハードディスクの保存容量の増大、そして音声ファイルの圧縮技術の進歩… これらのことがすべて、音資料をデジタル化せよと私を駆り立てますが、その労力はタイヘンなものになることでしょう。そのうち、弟子達にオケイコして手伝わせることにしましょう。ウチの弟子達は一人を除いて皆、マックユーザーですからきっと話が早いでしょう。

 みんなでそれぞれの資料を共有すれば、より多くの資料を持つことができます。

 昔から資料や知識は自分だけのものにして門外には出さない、という風潮があります。著作権のあるものはともかくとして、そうでない資料は多くの人で共有した方が邦楽の発展のために善いのではないか、と思うのは私だけでしょうか。

04.04.23 UP

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