皮を守る<2>
1 | 意外と知られていません | 3 | 他にこんなのもありました |
2 | アテイタ | 4 | アテイタを作ってみる |
アテイタ
皮用の仕服に皮を入れる時には横調べ(よこしらべ)が邪魔になりますので、裏皮を下に、表皮を上にして袋の口から横調べを外に出した状態にしておいて袋の紐を締めます。このために皮の袋には少し長めのスリットが入っています。
裏皮の方は袋の底板ががっちりガードしてくれるのですが、袋の口の方にくる表皮は、紐だ横調べだがあるワリには無防備なんですね。
カバンの中に胴一本に皮一組のみをしまうのであればさほど危険もないのですが、私達プロはたいがい皮を二組以上は持って歩きますので、必然的に皮の入った袋同士を重ねて収納することになります。それに加えてカバンの中にはICレコーダやらボールペンやら大人のオモチャやらが散乱しておりまして、これが気分的にはけっこう怖いんです。
そこでどなたが考えたのか、表皮の袋の口に面しているところに当てて皮本体をガードするという小さな円板状の板が存在します。
こんな風に使います
↓
正式名称は私、存じませんのでとりあえず「当て板」とでもしておきましょう。浅草の楽器屋さんとかにいきますと、器用に削った円板状の板(フリスビーみたい。意外と複雑な形をしてます)を販売しておりますよ。
このタイプ、私はしばらく使ってましたが、フチのところが皮の金箔を貼ってるところを痛めるので、現在は使用をやめております。
オマケ
ウチにあった当て板を各種、並べてみました。
<右下>先にご紹介した、現在も楽器屋さんで売っているものです。ちなみに私は自分で買ったことはないんですが、古道具屋さんで小鼓を購入しますと、この「当て板」がオマケで付いてくることがあるんです。
<右上>だいぶん前にベニヤ板で自作してみたものです。頑丈なんですが、ちょっと重いです。
<左下>一度なんか紙の袋に入ったままの新品の「当て板」が入っておりました。紙袋には「本郷区湯島…」とありましたので、どうも戦前には東京は湯島の方にそういうものを扱うお店があった模様です。表面はこじゃれた柄の布が丁寧に貼ってあります。
けっこうペランペランでどう考えても中の芯はボール紙で、こんなんで大丈夫なのかと思うんですが、皮の裏側に置くとちょうど十六(内側の縫い目です)の折り返した部分がぴったりと当たって、その内側部分(皮の振動する部分ですね)の板の強度が驚異的に高くなって皮を保護するのです。
<左上>私の手元にあるもので一番よいものは、これ。ちょっとみると桐の板でできた厚さ4ミリほどの円盤ですが、よく見ますと板が反らないように木目を違えて張り合わせてあります。それもベニヤ板みたいに重ねているのではなく、ヨコ目の板の両サイドをタテ目の板で挟んで接着されているのです。おそらく接着してから物凄く丁寧にカンナで現在の薄さまで削っていったのでしょうね。とても軽いです↓
1 | 意外と知られていません | 3 | 他にこんなのもありました |
2 | アテイタ | 4 | アテイタを作ってみる |