##俺が勧めるSF##

*第三弾は出版社の気まぐれでもないかぎり、もう書店での入手は不可能と思われるが、あまりにも内容的にバカすぎる(俺的に最高の誉め言葉)ために紹介せずにはおれない作品を紹介する。
実は第一弾、第二弾とも結構自信をもってオススメできる馬鹿なSFをあっさり紹介してしまったので少し後悔している。後に再構築するとしよう。
SFはストーリーではない。「ディティール」だ。スタイルが作品通り緻密な可動しないガレージキットのロボットと、スタイルはくずれているが完全変形合体が可能な玩具メーカのロボット、どちらも一長一短ではあるが、俺の個人的な好みでいえば後者を選ぶ。
スタイルはストーリー、ギミックはガジェットやディティールである。俺の好みは精密機械のように驚くべきギミックが組み合わさって完成された一つの作品である。遠目には不格好でも細部の一つ一つが楽しめる・・・
ま、余計な講釈はここまでにしよう。では秘められた馬鹿さ加減を披露することにしよう。
ちなみに、俺はラファティ、ブラウン、ブラドベリなどの作品は認めていない。彼らは意図して書いているのであり、俺は限りなく本人がまじめなのに内容がお馬鹿になってしまっている作品に愛を感じるのである。作者がだぶりがちなのはあくまで趣味に走った結果なのでご容赦。
オススメ本のラインナップがとり・みき著『SF大将』の収録作品に似てしまったのは単なる偶然Death!

*(早)はハヤカワSF文庫、(創)は創元SF文庫。




第3弾##『もう買えない、でも読め!バカSF』##


『スターシップと俳句』ソムトウ・スチャリトクル(早)
そ、ソムトウ〜!いやぁ、のっけから友達みたいに呼んでますが、まったく面識ありません。挙げ句に彼はタイ王国30番目の王位継承権を持つ王子様&おぼっちゃまです。日本人のお友達のリョーコさんに日本全国を案内してもらって大変満足した感動をそのまま小説としてしたためたものがこの作品と思われます。彼はローラーコースターマニアで富士急ハイランドのスーパー・グレートなシャトルループコースターもたいそう気に入った様子。帰りに日本の料亭で食べたクジラの龍田揚げもおいしかったのでしょう。だから彼の部分部分の日本の描写は比較的正しい。しかし、金閣寺に自殺用の飛び込み台はついていないし、いくら悲しい思いをしたところで、日本人は誰もセップクしたりしない。ってゆうか、『アルタイルから来たイルカ』みたいな設定で強引にクジラと日本人が同じ精神構造を持つ先祖−子孫関係にある、という部分だけでもぶっ飛びだが、どうしてそこで「すみません、ご先祖様に申し訳ないので切腹します。黒サムライの皆さん、介錯おねがいします」とかになっちゃうんだよ!挙げ句に「四国」=「シコク」=「死国」で、いわゆる自殺専門遊園地(ディズニー・ランドみたいなもン?)になって、クジラが絶滅する歌舞伎みながら涙をながして落差3776mもあるジェットコースターに乗って死ななきゃならないんだよ!ってわけで完璧に間違った日本の解釈をしているが、半分くらいのアメリカ人は信じているのではないかと思われる。紀伊国屋書店の洋書「JAPAN」のコーナーにさりげにこれが置いてあったらコワイナーとか思う。 国辱SFとかで有名ですが、われわれだってアフリカ人はまだ腰蓑いっちょで槍持って動物追い回してるイメージあるし、イタリア人は年中スパゲティーを食べてナンパしてると思ってるんだから(思ってないって?そりゃ正しい)スチャリトクル先生の作品は延長された知識・感覚、これぞまさにセンス・オブ・ワンダー!ってわけで私のマイベストSFです(笑)
作品中の俳句を是非原書で読んでみたいですな。私の中学時代の恩師が米国で俳句を教えてきて子どもが絵とそれに添えた俳句ってやつを見せてもらったんですが、すごかった(笑)。
・・・赤とんぼ、羽を取ったら、トウガラシ・・・
・・・トウガラシ、羽をつけたら、赤とんぼ・・・
この名句は冬川亘先生の編み出したものなんでしょうか?できすぎです。
(ってゆうか、俺の好きな小説って圧倒的に冬川センセの訳が多いのはなぜ?)
それから、そこの君、ハラキリしてる人に「痛いですか?」とか聞いちゃだめだよ!(笑)


『キャッチ・ワールド』クリス・ボイス(早)
人工知能AIというのはTVヒーロージャンパーソンの開発したもっとも偉大な用語だ。AIという用語はいま一般的だが、神林長平とか川又千秋のSFではAIはあたりまえすぎて、はずかしくて使えないらしく、MI(機械知性)という用語が使われてたりする。クリス・ボイスはAIという用語が一般化する前に、「機械による知性」を表現するためにこの言葉を用いたと思われる。これは「知能あるコンピュータ」ではなく、宇宙戦艦の乗員の人格をそのまま機械にコピーする、今風にいえばライフ・スキャンに近い技術である。このMIの概念や、恒星間宇宙戦闘など、非常にハードな描写を持った作品で書かれた年代を思うといかに先走った内容だったかがわかる。
「木星付近に現れた謎の結晶状生命体からの攻撃で絶滅寸前にまで追いやられた人類は核ミサイルを持った決死隊を送り込み、なんとかこれを撃退。彼らが最後に信号を送ったアルタイル方面に母星があると判断。40年後、人類は敵母星を破壊すべく、6隻の恒星間宇宙戦艦を建造。その中の1隻<憂国>号の田村邦夫艦長にはさまざまな試練が待ち構えていた」という燃え燃えのシチュエーション。で、それはいいんですが…
どうして田村艦長は「法華教団の僧兵」として暗殺訓練を受けたり、宇宙船の中でキモノを着ているのか、そこは追求してはいけません。ま、俺はこの作品、人に説明するときは「池田大作が更迭されて、暗殺者をかわしながら宇宙人と戦う話」と説明しています。(ああぁ、学会系の人、読まないでくださいね!)
ま、シチュエーションみると、「トップをねらえ!」のラストのほう、「日本が世界を制圧した世界。宇宙怪獣の母星を破壊するため、田代艦長率いる銀河中心殴り込み艦隊が射手座aスターを目指して…」というのとそっくりだということに気が付くと思います。ガイナックスって基本的にSF者のあつまりですから、エヴァだなんだと騒いでみてもネタはあがってるんですよねー。


『マン・プラス』フレデリック・ポール(早)
生皮はがれてサイボーグ。マンプラスの合い言葉はこれで決まり!
日本のアニメになれていると、サイボーグだの強化服だの、人型ロボット兵器だのがいかに海外SF小説に登場しないかという事実に驚きます。(あ、ソノラマだのスニーカーだのは別ね。あれ、アニメ文字にしただけだから)そんな中で、「サイボーグを作る」工程を克明に描いたのがこの作品です。しかし、その外宇宙作業用サイボーグ、まじめに考えるとおまぬけの極致なんだよねー。
たぶん、あとがきや書かれた年から推測するに、ポールは「仮面ライダー(旧1号篇)」見てこの作品書いてますね。(日本の怪奇映画を見てヒントを思い付いた、といっているがライダー最初の頃って、知らない外人が見たらホラーっぽいでしょ?)
マンプラス1号は視神経の入力過負荷で脳溢血で死んでしまい、この作品の主人公が2号になるわけです。「県立地球防衛軍」の「スコープ鶴崎」の話で、「赤外線スコープ!」「赤外線こたつ!」「ぐぉぁ!まぶしい!!」をまじでやってるわけですな(笑)。主人公がサイボーグの候補になるまでの過程は「アポロ13」とかを見た後だと涙なしには読めません。しかも主人公のなる「マンプラス・サイボーグ」が必要とされる理由がなんともインチキ臭い。「いろいろな危険指数グラフ」ってゆーグラフの値が上がっていってさっさと火星を開拓しなければならないそうで。俺はサイボーグ志願なのであてはまらないけど、ふつーの人は「ほら、このグラフ見て!早く君をサイボーグにしないと!」とかいわれてもすげー健康なのに人体改造承諾しないぞ。
しかも、実は4/5までまじめなサイボーグ小説と思わせておいて、残り1/5で火星についてからはギャフンおち!あまりにとーとつな展開なので驚いていたら一応続編があるらしいが日本では読めないのでギャフン!で終わり(笑)
ちなみにハードカヴァの表紙は『幼年期の終わり』のオーバーロード風(デビルマン)ですが、文庫版はもろ「仮面ライダー」です(笑)。


『鉄の夢』ノーマン・スピンラッド(早)
アドルフ・ヒトラーが書いたSF小説を復刻!という冒頭の解説から作品が既に始まっているということに気がついたのは、読後かなりしばらくしてからのことだった。ひ、ひでーよ。純朴な田舎の青年だった俺はすっかりだまされまくっていたよ。だって本物の作品解説には西ドイツでの発禁騒ぎとか書いてあるしー。表紙はちょび髭はやしたナチ風の男が鋼鉄のゲバ棒振りかざしてる絵だったし。とにかく、「アドルフ・ヒトラーの著作一覧」を見て、当時創元推理文庫のSFなぞ存在も知らなかった俺は「ああ、どっか翻訳してくれないかな、全部」とか思っていたのだった。
##お話##
核戦争後の世界。そこはミュータントが徘徊する異様な世界になっていた。地球人類の純潔を守るため、一人のカリスマがミュータント撃滅のために立ち上がった!光輝く『鋼鉄の指揮杖』をふるい『ドム』どもをなぎ倒す。男の名はジャガー。フェリック・ジャガーだ!
あぁあ、間違っても地球人類→ゲルマン人、ミュータント→ユダヤ人、なんて置換しちゃだめよ!(苦笑)
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<バーサーカー>『星のオルフェ』フレッド・セイバーヘーゲン(早)
遥かな過去、いずことも知れぬ星間帝国の戦争で生み出された究極の破壊兵器軍「バーサーカー」。その大きさは衛星ほどもある要塞から昆虫型の偵察機械まで。彼らは戦争の終結後も「すべての生命の破壊」を目的に機能し続け、ついに人類星域に侵入してきた!恐るべき武器を備えた戦闘マシーンと人類の壮絶な戦いが幕を開けた…。
というのがこの<バーサーカー>シリーズである。バーサーカーの基本型のデザインは宇宙家族カールビンソンや究極超人あ〜る、最近では3Dモデリングソフトの教本などで見ることができ、ちょっとは有名なことがわかる。
で、この設定だけ見て「戦闘野郎の血が騒ぐ〜」とか言って読んでみると、実は恐ろしい破壊兵器を持っているが人類を知らないアホな機械知性をいかに騙してやりすごすか、ってゆうなんともなさけない話の集合体なのだ。はっきりいえば一休とんち話bySFって感じなのだ。まー、笑えるからいいんだけどねー。『赤方偏移の仮面』『皆殺し軍団』とも、ある星域の継続した戦闘の短編から成り立っている。で、この2作からだいぶ間をあけて刊行された『星のオルフェ』はセイバーヘーゲンという作家がばらばらと発表した「バーサーカーもの」の短編を集めたような形式になっている。それゆえ馬鹿なアイディア満載である。たとえば以下のような感じ。
・『かぼちゃに負けるバーサーカー』
・『エビに負けるバーサーカー』
・『百科事典に騙されるバーサーカー』
・『数え歌が歌えなくて負けるバーサーカー』
といった具合である(笑)この本では復活した『レッドバロン』リヒートフォーフェンに負ける話が秀逸でしょう。
「私の機体を赤く塗ることを希望する!!」


『禅<ゼン・ガン>銃』『カエアンの聖衣』バリントン・J・ベイリー(早)
バカSF、カッコイイ言葉で言うとワイド・スクリーン・バロックというのだそうである。大仕掛けで語られる「いかにもSF」な描写の連続は確かに「ワイドスクリーンなバロック調」なんだろうけど、それにしたって限度ってものがある。限度超えたものは単なる「お馬鹿」でしかない。そのお馬鹿を大量に生産してくれた作家がこのベイリーである。外れると限りなく脱力感に襲われるが、結構テンション保ったまま終わった作品はえてして深い味わいがあるもんである。
この2作品はベイリーの作品の中でも有名かつ間違いなく当たりの作品である。って人に薦めるに当たって色々書いてみようと思ったんだが・・・うーむ、細部の変なディティールばっかり覚えていて両方とも話の大筋&オチが思い出せないではないか!ううむ、やるなベイリー!
『禅銃』は退廃進む銀河帝国に現れた伝説の武器<禅銃>ってゆーか、サイコガンってゆーか、コスモ・ドラグーンってゆうかをめぐるお話。でも、その<禅銃>持って現れる伝説の戦士の名前が<小姓>じゃぁねぇ。<武将>と間違えちゃったのかしらん??ってゆうかコードウェイナー・スミスの下級民をそのままの動物に置換してしまった宇宙船の司令室とかはもう激烈!しかも、「退廃」のしかたは見事に『未来世紀ブラジル』してるしー。もうおサルのバウト君とマイケル・ジャクソンの漫才見てるだけで話はどーでもいい!って感じです。
『カエアンの聖衣』は「服は人なり!」って、コスプレーヤーみたいな考えで宇宙を乗り切るタクらしいカエアン宇宙人を相手に四苦八苦する外交官のお話(だったと思う)。ま、カエアン製の衣類=スタンド、カエアン星人=スタンド使い、と置換すると非常にわかりやすいでしょう。しかし、そこはそれ。最も重要なのは宇宙に進出した日本人=カエアンサイボーグ、ロシア人=機械化歩兵、とそれぞれ勝手に進化して今も宇宙で戦い続けているというあきれた設定!己が目で見ろ、そして感嘆せよ!!


『天使墜落』ニーヴン&パーネル&フリン(創)
今回唯一入手可能と思われる作品。最近読了したのだが、すごくお馬鹿だったので殿堂入り!
環境保護グループ(グリンピースみたいなの)が偉くなって、科学が迫害された、 とても寒くなった地球。科学の権化、宇宙ステーションの人々は、いぢめられる ので地球に降りられません。お腹なんかすいたら空気を吸ってガマンするため、 命がけで空気を取りに行ったら「ロシア語で考えなかった」為、撃墜されました。
「ああ、体が重い、友達も居ない。寒い。死ぬ」そう思ったとき!
「天から天使がやってきたダヨ!俺、友達ダヨ!助けるネ!」そう、熊が出た。
ちがった、それは革丸派なみに迫害され地下にこもった科学信奉者「SFファン」だ!
「よーし、天使、まずは『波紋の呼吸』だ!それで1Gで立てるようになるネ〜!」
なるか!(笑)だが、追手にも隠れSFファンが居たのだ!まさに偽装亡命者キリル!はたして「天使」はおみやげもって帰れるか?
『降伏の儀式』よりも露骨に実在SFが出てきてたいへんな事になってます(笑)
あとで解説読んで、「登場するファンダムおよびコンベンションはすべて実在です」だって。うーむ、あまつさえ「コードウェイナー・某」という作家のモデルはハーラン・エリスンだというし…プロの所業とは思えませんな。要反省!!


『コンピュータ・コネクション』アルフレッド・ベスター(サンリオSF文庫)
いやー、こりゃ是非、原書を読んだネイティブ・アメリカンの人たちに感想を聞いてみたいですな。(多分)バロウズなみにめちゃくちゃに「英語じゃないアルファベットの羅列」が並んでるんだろうな。しかもディレーニィなみの意味を一語一語が含んだ挙げ句に。
奇才アルフレッド・ベスター、『分解された男』→『虎よ、虎よ!』→『本作』と確実に段階追ってむちゃくちゃな話になってます。ディレーニィの緻密さで、バラードの濃縮ぶりで、バロウズのトリップぶりで、ゼラズニィの博識さで、書き上げられた『ウルトラ・スーパー虎よ、虎よ』だ!(解説でけして「ウルトラ…虎よ!」ではないと書かれている故になおさらそう思えてしまう)
インターネットの古本屋さんで最も高価な買い物だったが、金払っただけのことはある。この俺がひるむぐらい意味不明・ってゆーかガイキチなSFです。たった3冊しか訳されてない長編がコレかよ。スミスもゼラズニィも一応英語は使ってたからな。訳す人も楽だったろうよ。この話では20世紀英語は今のラテン語みたいな扱いで教養のない人には話せない設定です。
だからって、スパングリッシュとか勝手に作ったあげくにそれで話書くな!
訳者の方、かなり苦労したらしく、原文そのままやカタカナ表記が非常に多いので逆に読者である俺がサブ・コンテクスト介入させて判断し読めるので頭の体操にもなる。あまり浅倉久志的超訳をされても平易になりすぎて「原文どうなの?」と気になるし、ちょうどいいのかもしれない。コードウェイナー・スミスも伊藤・浅倉コンビでなかったらこんな風味になったのだろうか?
「R(right、正しい)」、「N(no、いいや)」「すばらしい」の替わりが「F」(おそらく、fuck)。うーん、まさに現代の「超MM」あたりの先取り感覚。
キリストからエジソンからネモ船長までノーマルキャラとして登場し、電波人間、補助脳、人格コンピュータ、タイムトゥルーパー、スタンド、なんでも1行以上の説明無しで登場してます。白人に追いやられるインディアンの物語であり、人類の進化の話であり、人間対コンピュータのディストピア小説であり、まったくもうどうしてこう、これでもかってくらい詰め込むんだろうこの人ときたら!(笑)
ナトマとフィーという2人の女性が超魅力的でベスター先生どうしたの?って感じです。これも読了は最近です。まさに井の中の蛙でした。


『ロードマークス』ロジャー・ゼラズニィ(サンリオSF文庫)
「細菌から惑星まで破壊する能力を秘めた、異星のテクノロジーの結集した殺戮兵器」マンダ・メイ(推定2万歳)さんが主人公のお友達でいい味だしてます。普段は陶器焼いてるしー。
車で道を走ってるとヒトラーさんとすれ違って「おまえが焼けてるところ見たぞ。注意しな」って声をかけてきてくれるし、『悪の華』『草の葉』の2冊の詩集は実はミツビシ財閥の作った人工知能の結晶、マイクロドットコンピュータアレイだったりするし、サド伯爵はティラノサウルス型のウォルドーで遊んでるし、ドラゴンは火吹いたあげくにティラノに恋するし。「魁!男塾」の塾生みたいな暗殺者は次々と襲ってくるし、主人公はだんだん若くなるしでてんやわんやの大騒ぎです。
しかも、ゼラズニィお得意の「話を線形に進めない」が炸裂しまくりで、いきなりページ開くと『2』とか書いてるのはなんとかして欲しい。あと、「SFボディスナッチャー」の原作と間違えちゃうあの表紙はなんとかして欲しい。(苦笑)
とにかく、かっこよさ炸裂!でも話にはなってません(笑)好きなことを好きな順にならべるとこうなるのかな?訳者の方は「緻密に計算されたプロット」って書いてあるけど……ま、おもしろいので許します!間違いなく、ゼラズニィの「娯楽長編」の最高峰。


『第三次世界大戦秘史』J・G・バラード(福武文庫)
「仮面ライダーブラックRX」を放映当時関東地方で見ていた人には次の字幕スーパーに思いあたるはずだ!<体温・・・血圧・・・脈拍・・・呼吸数・・・>かっこいいRXの主題歌に乗ってそれらのデータが全国放映される……そう、それは昭和天皇のご容体だ!国家の象徴である老人のデータが全国ネットで放映される。しかも子供向け番組にスーパーされている。SFだ!ティプトリーとかバラードが大好きな世界だ!しかも現実だ!と大喜びしていた俺だが、バラードの野郎、ほんとにそれを小説化しやがった。昭和天皇の代わりに選ばれたアメリカの象徴・ヒーロー。そう、それは大統領。しかもカリスマを持った大統領。レーガン。SDIレイズナーの替え歌も歌えてしまう俺は即納得!で、お話はというと、皆がテレビにかじりついて「今日のレーガン速報」とかを前にHER、HER、してる間にソ連からの核ミサイルがアラスカに落ちてアメリカも報復攻撃をする。それで戦争はあっというまに収束するんだけど、
主人公:「なあ、アラスカにソ連の核が落ちたってよ!」
妻:「うるさいわね!今、レーガンの脈が下がってピンチなのよ!それどころじゃないのよもう!」
というわけで、大半のアメリカ人は第三次世界大戦が始まって終わったことにすら気が付きませんでした、というのが表題作。
個人的にはハードカヴァの時の表題作「ウォー・フィーバー」のようなまじめな作品も大好きなんですけどね。福武もほとんど書籍から撤退して「ベネッセ」になっちまったのでこの本も入手が難しいけど、在庫があるかもしれないから即注文だ!


以下続く(予定)...(98/5/13)