##SF研青年圏外協力隊第1陣##

SF研のほかのOBの方に応援要請!
とかいってますが、SF-Onlineさんからベスト5アンケートがきたとき相談にのってもらった時の回答です。NIFTYのPATIOから許可を得てオススメSFについての記述を掲載することにしました。
極めて我が部内で標準的な方向性といえるでしょう。(俺が異端児?)
すでに一部は私も借りて読んで読書日記に反映されていたりします。


IMAIさんのベストSF5

(国内)
1、戦闘妖精雪風        神林長平
2、火星鉄道一九        谷甲州
3、星界の紋章         森岡浩之
4、星は、昴          谷甲州
5、ネプチューン        新井素子

#国内作品
1、戦闘妖精 雪風(早川・神林長平)
地球防衛と駄目駄目駄目の人生ドロップアウト人間の有効活用をすべく謎の異星人との戦闘を繰り返すフェアリィ空軍・特殊戦第五飛行戦隊の物語。
...などとワケのワカラン紹介をしたが、実際は最高にかっこいい小説。
第五戦隊は情報収集専門の特殊部隊で、戦闘の記録及び戦闘時の電子情報の収集を主任務とする。また収集した情報を持ち帰ることが絶対条件であるため自衛以外の戦闘をせず、自己防衛の為だけに最強の火力と運動性を持った戦闘機「スーパーシルフ」を駆る。味方が危機に陥ろうが全滅しようが決して援護せず、ただ帰還するのみ。
そんな彼らを他の戦隊員達はこう呼ぶ、「ブーメラン戦隊」と。

2、火星鉄道一九(早川・谷甲州)
航空宇宙軍史の短編集「火星鉄道一九」の表題作。
ジオンよろしく地球圏に反旗を翻した外惑星連合軍(SPA)の軌道爆撃の危機にさらされた軌道射出基地M−RR−19、通称「火星鉄道一九」の奮闘を描くハードSF。
軌道要素や惑星の配置等、緻密な設定が光る。
表題作の他にも映画「眼下の敵」を彷彿とさせる仮装巡洋艦対哨戒艦の死闘を描く「水星遊撃隊」。
制空権なし、武装無しの単独飛行という絶対的不利な状況での強行偵察を命令されたタイタン航空隊・淵田少佐の運命は如何に?「タイタン航空隊」。
等の短編が光る一冊。

3、星界の紋章(早川・森岡浩之)全3巻
ある日故郷を侵略されたうえに、帝国貴族に祭り上げられてしまった少年ジントと侵略はするが地上世界に関心度ゼロの巨大星間帝国アーヴの軍人娘ラフィールの大冒険活劇。はっきり言って主人公達より激笑的に面白い脇役達がナイス。
(続編の星界の戦旗もお勧め)

4、星は、昴(早川・谷甲州)
またも谷甲州の短編集。表題作「星は、昴」は38光日隔てた2つの観測ステーションで孤独な仕事を続ける科学者二人の悲しい物語。
(極真面目なハードSF集なのだが、「ホーキングはまちがっている・殺人事件」などのお笑いSFも収録有り。)

5、ネプチューン(早川・新井素子)
中編集とでも言えばいいのだろうか?表題作の「ネプチューン」と
「今はもういないあたしへ」の2作で一冊の本。
「ネプチューン」は環境汚染の進んだ近未来の海洋都市に生活する男女と身元不明の少女の交流と「生物は何故こんなにも多様で急激な進化をしなければならないのか?」と言うことをテーマに描いた話。ちょっと切ない物語。
(学校の国語の教科書にも載ったことがある。ビックリ。)
「今はもういないあたしへ」は交通事故で瀕死の重傷と重度の現実感喪失症に苦しむ少女の話。一見、単なるリハビリ話かと思いきや...。
医療業界の人間としては、ここまでやらなくても良いから実用技術として確立・認知して欲しい医療技術が出ている点がグッド。
(実用化の最大の障害は某国大統領っす)


(海外)
1、星を継ぐもの        J.P.ホーガン
2、楽園の泉          A.C.クラーク
3、スタータイド・ライジング  デイヴィッド・ブリン
4、バーチャル・ガール     エイミー・トムスン
5、ニューロマンサー      ウィリアム・ギブスン

#海外作品
1、星を継ぐもの(J.P.ホーガン 創元文庫)
核戦争の危機が去りスタートレックの地球並に楽園化した時代。
月面で一人の宇宙飛行士の死体が発見された。しかしそれは死後5万年を経過しているものと推定された。彼は一体何処から来たのか?
ご存じホーガンの「巨人たちの星」シリーズの第一作。
お調子者の物理学者Dr.ハントと超合金Z並の石頭で偉そうな生物学者ダンチェッカー教授の漫才コンビ及び科学考証がとっても素敵な作品。

2、楽園の泉(A.C.クラーク 早川文庫)
軌道ロープウェイだのオービタルリングだのの元ネタ小説(笑)。
軌道エレベーターの計画から建設に至る話を描いた物だが、舞台がクラークの住んでいるスリランカなのはご愛敬。
話の合間に挿入されたスリランカの昔の物語の一節が印象的。

3、スタータイド・ライジング(デイヴィド・ブリン 早川文庫)
「さあ間抜けなベム公ども、悔しかったらあたしを捕まえてごらん!!」
とばかりに逃げ回るイルカと宇宙人の鬼ごっこ話。
宇宙中で流行の「知性化」によりイルカとサルを人間並みにした挙げ句宇宙船の船長だの科学者だのにしている点が興味深いが、時々知性化に失敗してジョーズみたいなイルカやまさに「毛が三本足りません」みたいなサルの科学者を作ってしまうところが面白い。
イルカ専用の宇宙船「ストリーカー」は圧巻!(だって手のないイルカが飛ばすんだよ)
しかしベムとの駆け引きよりも仲間割れの話の方がページ数多いというのはいったい(笑)?
このほか共通の世界観で作られた「知性化シリーズ」として「知性化戦争」とか「サンダイバー」とかがあるが、そちらもおすすめ。

4、バーチャルガール(エイミー・トムスン 早川文庫)
とっちゃん坊やでオタクで人間嫌い、おまけに女にもてない人間のクズみたいな浮浪者技術者に作られた天使のようなアンドロイド「マギー」の心暖まるお話(なんだかワカラン紹介)。
「ぼくのマリー」という漫画があったが、あれの元ネタか?と一瞬思ったがずっとキチンとしたSF。
アンドロイドの人工知能の問題点の説明が興味深い。
しかし、アンドロイド同士のえっちシーンなんか書いた小説って世界でもこれくらいだろうな?
データとバルカン人がえっちするとこうなるみたいな....。
「論理的に言うならば、こう攻めた方が。」
「大変興味深い行動の様に思われます。」
などという台詞は微塵もない(当たり前じゃ!)。ああ、最近なんか下品(笑)。

5、ニューロマンサー(ウィリアム・ギブスン 早川文庫)
SF研で日常的に使われている「サイバースペースカウボーイ」「ジャックイン」などの言葉の元ネタ小説(全然日常じゃないと言う意見も有るが...)。
ストーリーは簡単に言えば、「手癖が悪すぎて神経焼かれた挙げ句にポイされたクラッカーと神経を直すという餌をちらつかせてやばい仕事をさせようとする謎の人物のドツキ合い。」かな?
まあそれはいいとして、おいギブスンちょっとまて!
「背徳と悪徳の都、千葉シティー」ってのはなんだよ(笑)?
映画のJMはこれの世界観で作られている。興味のある人は読んでみよう。


IMAIさんのオススメSF

##蒼いくちづけ(光文社・神林長平)
愛した男に騙せれた上に命を奪われたテレパス少女の復讐劇。
死者がテレパス故に可能な復讐と言う点が面白い。
正しくはSFというよりホラーなのだが妙に気に入っている。
全体的にもの悲しい作品。

##タウ・ゼロ(創元・ポールアンダースン)
バサードエンジンの加速システムにより幾らでも光速に近づけるが減速システムが事故によりお釈迦のため、永遠に亜光速航行する羽目になった恒星間宇宙船のお話。壊れた減速システムの修理のため彼らが採った方法とは?光速と時間の関係を使ったアイデアがグッド。
しかし、IMAI的には馬鹿な!(笑)と思わず吹いてしまう所もあり。(全然紹介になってない。)

##天翔ける十字軍(早川・ポールアンダースン)
地球侵略に来た悪の宇宙人が中世の英国騎士団にコテンパンにやられた挙げ句、逆に征服されてしまうと言う超お間抜け話。
「剣は核兵器に勝る!」と帝都物語の中で三島由紀夫が主張するシーンがあるが、この作品はそれを地でやってるところがミソ(笑)。



ひみつさんの5分で考えたSF長編ベスト5

国内
1位 終わりなき索敵 谷甲州
2位 復活の日    小松左京
3位 戦闘妖精・雪風 神林長平
4位 マイナス・ゼロ 広瀬正
5位 惑星CB-8越冬隊 谷甲州

海外
1位 神の目の小さな塵   ニーヴン&パーネル
2位 暗闇のスキャナー   ディック
3位 宇宙の戦士      ハインライン
4位 渇きの海       クラーク
5位 グラス・ハンマー   ジーター


ひみつさんの最近読んだ本

#ブレードランナー3 レプリカントの夜(早川書房)K・W・ジーター
ジーターによるブレラン小説の続編。
なんと、デッカードの活躍が映画化される!その名も「ブレードランナー」!
(小説の中での話だよ)しかもその映画の監督は、「グラス・ハンマー」に出てくるアーベントンだ。
他にも影タイレル社とか、影タイレル社の親衛隊「ロイヤルガード」とか、
アタッシュケースに入ったロイ・バティの意識「携帯バティ」とか、
J.S.セバスチャンの意識を粉末化した「飲むセバスチャン」とか、
いかにもディックが書きそうなガジェットが満載だ。

#タイム・シップ(ハヤカワ文庫)スティーヴン・バクスター
なかなか面白い。バクスターが書いた、ウェルズのタイムマシンの続編である。
エロイ族のねえちゃんに惚れてしまった主人公は、ねえちゃんに会うべく、再びエロイとモーロックの未来へ旅立つ。しかしそこは微妙に異なる未来であった。エロイはおらず、モーロックは金星軌道上にリングワールドを建設していた。タイムトラベルにより、未来が改変されたのだ。捕らわれの身となった主人公はタイムマシンを取り返し、19世紀へと戻る。タイムマシンを建造中の自分に会い、マシンの建造を止めさせようとするのだが....
この時間軸では、第一次世界大戦が1938年の時点でも継続中。英軍はタイムトルーパーを編成し、過去からドイツを倒そうとする。
小型兵員輸送車型のタイムマシン、そしてそれを収容する陸上戦艦型のタイムマシン、いわば「タイム母艦」が登場する。「タイム・ボカン」の「ボカン」とはいったい何か疑問だったのだが、やっと謎が解けた(笑)


以下続く(予定)....(98.6.17)