DASACON4
─今回は書店と出版とネット書評と─



<<はじめに>>
俺、9月11日に倒れて、翌日緊急入院(会社の病院なのでできる荒技だった)。
最初スタッフの士気にも影響するかとMLに流すかも悩んだのだが、「当日俺がいない!」という事態もありうるわけで、前日に知らせるよりは、とMLにて事情を説明。対外的にも公開すべきか相談したところイカス文句(総統が居ない場合、面白みが若干減る可能性がありますが、ダサコン自体はなくならないので安心してね、みたいな)も添えてトップページを更新してくれたので精神的にはまずは一安心。
総統はなるべく仕事を持たないように、という方針が幸いして最悪参加できなくても済むような布陣にしたものの、もし参加できた時のことも考えていたのだが、入院中はほとんど頭がはたらかず、企画に関しては殆どなんの準備もできないままの参加になった。
『ジャンル分けの功罪』の担当だったため、ほとんど方向性の見えない進行となってしまい、依頼者の角川春樹事務所所属のバード中津さんには本当に申し訳ないことをしたと思って大反省している。とほほ、である。
また森さんに後押しされてやることになった『SF者って実はもてない男なんじゃないか』企画も当初進め方のプロットみたいのが頭の中にあったのだが、その準備も出来ずだらだら話し始めたらなんか俺の個人的恋愛観話に終始してしまって予想以上にウケは取れたものの企画的には「成功」とはいえずやっぱ反省すべき内容であった。
というわけで、体調不良による準備不足から来る反省はしょっぱなにかまして一応おしまい。これからは当日俺の目から見てきたダサコン4のレポートをつらつらと書いてみる。

<<開始前>>
病院を昼に出て、いったん部屋に戻り荷物の整理&ダブリ本の袋から使えそうなやつを引き抜いて持っていく。うーん、今回のラインナップじゃ愛のある売り込みはできねぇな、とか思いつつま、何もないよりはいいっか、という程度の冊数を持ってゆく。
会場である宿は1年ぶりであったが迷わずたどり着くことが出来た。『歓迎 ダサコン様』の文字もまぶしい。到着したのは15時頃であった。
買い出しはほぼ済んでおり、飲み物類は配達を頼んだそうで、おお、毎回進歩しているぞ、と感心する。溝口さんは古本にとりかこまれて値付けをしている。ほとんど古本屋のオヤジである。
「今は時間も人手も足りているので、総統はおとなしく休んでいてください!」と何かしようと腰を上げるたびに森さんに怒られるので、体が疲れているのも事実だったのでぐったりと横になっていた。のださんも寝てないらしく、「あなたもおとなしく寝てなさい!」と同様に森さんから叱責が飛んでいた。ああ、森さんなんてあなたは理性的な人なんだ。
読むのを忘れてしまうという、非常に失礼なことをしてしまったが恒例の「電報」も今回喜多さんから届いておりしばしその附録のドラえもんとたわむれたりしているうちに刻々と時間は過ぎてゆく。森さんに大部屋を見せてもらい、今回は前後が入れ替わってますからね、という説明をうけ、また横になってリポDなんかを飲んで夕食を食べたりする。
今回は開場からオープニング開始までが今回は30分と短縮されている。18時前に着たのは米田さんくらいで「なんか入り悪いなぁ、大丈夫かな?初参加者が多いんで道に迷っとるんと違うんか?」という疑念が渦巻くが、18時を過ぎてからは着々とお客が到着。なんだ、みんな時間に正確だったのね。
俺はスタッフ部屋の奥に陣取り、寝部屋へ通される人々に顔見せしながら挨拶。思ったより元気そうな俺の反応を見て皆安心してくれたようだ。
永江さんの到着が遅れているのだけが気になる。担当のおおたさんは事前打ち合わせが出来ていないので所在なさげにうろうろしながらも雑務も着々とこなしている。

<<オープニング>>
永江さんが来ないのだが、客の入りは充分であるコトを確認したので、開始を15分ほど遅らせ、オープニングをその分短くして開始してしまおうということになった。オープニング中に永江さんは到着するであろう、と。
で、開始時間になった時、永江さんが予想より早く到着。ほっと一安心して俺の挨拶からオープニング開始。例によって何も考えて来なかったのと、森さんが「早めに済ませて総統は休むように」と云ってくれたので本当に簡単な挨拶だけですませ、恒例の参加者の紹介は森さんにまかせる。
ダイジマンさんから「明日、安田ママは早くに帰るから、受賞とかあるなら早めに」という助言があったのでここでダサコン賞授賞式をやってしまう。あの『書評に関する大型アンケート』「もっとも参考にしている書評ページは?」は実はダサコン賞を兼ねていたのだッ!!というわけで受賞は安田ママさんとタニグチリウイチさんのお二人。<Dasacon4>の金箔押しが入った本皮製のブックカヴァが副賞として送られました。拍手!!!
さてさて、ここまでは万事順調。

<<メイン企画『書店と出版について』>>
永江さんの到着が遅れたため、おおたさんはたいして打ち合わせをしていないだろうなぁ、と思いつつマイクは永江さんに渡されいきなり書店・出版についての現状を簡単に語ってもらうこととなった。
のっけから云われた、「このまま行けば、まず、真っ先に皆さんの大好きなSFだのファンタジーだのの棚から書店から淘汰されていくのは間違いないでしょう」という一言でまず俺的にはつかみはOK!であった。「なんでなんスかァーッ!」と永江さんの胸ぐらにつかみかかりそうになったくらいである。
しかし、冷静に理由を聞けばなるほど納得。俺も実際この眼でハヤカワ青背や創元の棚がどんどん小さくなってしまいには消えてしまった書店というのを幾つも見てきている。うむむーという感じである。
ヒラノさんが特徴的なキーワードや数字的なことをホワイトボードに書き込んでいくが、俺はメモの用意をしていなかったので頼りになるのは脳内の記憶と他の方のレポートだけである。
さて、俺が覚えていることと云えば、

俺としては永江さんの企画では最後の締めとして「再販制度と委託制度を撤廃すれば金太郎飴書店が減って欲しい本が買えるような、そんな状態になるのか?」という超抽象的でつかみどころのない大型の質問をぶつけてみたかったのだが場の雰囲気も良かったことだしぐっとその質問を飲み込んで最後まで聞き入っていた。
当初、着地点がどうなるかはまず考えないようにしようといいながら、途中も話がどのように進んでいくのかのヴィジョンもまったく見えていなかったのでスッゲー心配していたメイン企画でしたが、本当に永江さんの進行具合に助けていただいた感じで感謝の気持ちいっぱいです。
永江さんは「40歳過ぎてから徹夜はしない」と心に決めているそうなので、惜しくもここでお帰りになられました。本当に有益な話をどうもありがとうございました。

<<ジャンル分けの功罪についての企画>>
ジャンル分けの功罪
、といえばたとえば『ノスタルギガンテス』はどこの棚に行けば買えるんじゃ?とか最近だと『エヴァンゲリオンの夢』はどこの棚に行けば買えるんじゃ?というったこととか、「なぜこの本がハヤカワ青背(SF)ではなくNVとかFTに?」とか「なぜこの本が創元SF文庫ではなく帆船マーク(冒険活劇)に?」とか廣済堂のSFはドコで買えばいいんじゃー?!とかしか思いつかなかったのでまぁ、仕方がないから最初は自分のそういった体験談から話していって、中津さんの聞きたい内容を引き出して周囲の人に答えてもらおう、と思っていたのだった。まぁ、俺が来られなかった時の予備として用意しておいたかつきさんもいるしー、とか思ってたらかつきさんの姿は何故かディーラーズの横に!「う、裏切ったな!(笑)」ま、横に森さんも安田ママさんもいるし大丈夫だろう、ということで企画を開始したのだった。
まず手始めに、角川ホラー文庫、学研M文庫、ハルキホラー文庫の平台を見てついついあのブラッキーな雰囲気に押されて買う気の無かった本まで買ってしまった、という俺の体験を元に、出版社ごとに並べないで「ジャンルでくくった棚」が非常に俺としては便利なので、書店営業の方に頼んでそういう棚配置をする努力は望めないだろうか、という切り口で話していった。
たとえば、中津さんが担当している「新世紀SFシリーズ文庫」はYA文庫の棚、あるいは平台に一緒に置かれるのがベストであり、またその平台は出版社に関係なく、表紙の雰囲気の似たものが寄せ集まって並べられてりしたら売上に貢献するのではないだろうか、という話をした。
安田ママさんのお店に行ってあの棚を見たときの感動を元に、そういうのはどうですか?とコメントを求めたところ、安田ママさんは、棚はやっぱり書店員がいかに勉強しているか、どんなスキルを持っているかで変わってくると云う。なかなかどの書店の平台も均一に、とはいかないのが現実らしい。
で、話がつまりぎみだったところに大森さんが「徳間デュアル文庫が鶴田謙二の表紙で『おもいでエマノン』を売ってきたよね。正直ハルキさんの方がやり方的には成功してると思うんだ」と助け船を出してくださって本当に助かりました。(^^;
そうかー、徳間デュアル文庫は今のYA作品を読んでる若い世代に梶尾真治のような古い作家を如何に読ませるか、という構造で、角川春樹事務所の新世紀SFシリーズ文庫は丁度我々よりちょっと上の世代にYA作品っぽいものをどう読ませるのか、という狙いになっているという大森さんの解説で思わず納得。唸ってしまいましたわ。
それを聞いた後半は自分としてはどうやったら中津さんの役に立つか=「新世紀SFシリーズ文庫」の売上に具体的に貢献できるか、みたいなのが念頭にあってずーっとその方面で話をしてしまった気がしますんで全然「ジャンル分けの功罪」の話にならなかったのは重々承知しています。装丁というか表紙をどうしたらいいとかタイトルやイラストをどうすればいいとか、書店営業の方にどういう努力をしてもらったらいいかとか……そんな話ばかりして時間が着たので適当に話をまとめることもできずブチンと企画は終了してしまったのでした。
終始マイクを渡しっぱなしにして最後までしゃべらせてしまった中津さん、どうもすみませんでした&ありがとうございました。
この企画が「新世紀SFシリーズ文庫」の今後の販売企画に多少なりとも貢献できたら幸いです。そしてよかったら懲りずにまた次回のダサコンにも参加してくださいね。

<<オークション>>
オークションでは『緑色遺伝子』『レ・コスミコミケ』『ジュリアとバズーカ』だけねらっていたので、過去のオークションの時のようにそれらが競りに出されたら声をかけてもらうように頼もうと思っていたのに頼もうと思っていたかつきさんはいないし、なんどシッコのフリをしてジャンル企画を中座しようかと思ったか知れないのであった。というわけで、ジャンル企画終了後飛び込み。
『緑色遺伝子』が千円で落ちたと聞いた時は死ぬかと思ったが、倉阪さんは5千円までは出す覚悟だったと聞いてあきらめがつく。『ジュリアとバズーカ』はまさか有里さんが狙ってるとは思わず、相場は4千円だと思っていたので先に3千円を付けられた時点で敗退。2冊あった『レ・コスミコミケ』も5百円以上出す気がなかったので思いっきり敗北した気分で自分の本の売りにかかる。今回はあまり「愛」のある本のラインナップではなく、本当に家で余ってた本を十数冊もってきただけだったのでやる気はなかったのだが、いざ始めたらいつも通りの前口上炸裂でレポートを見る限りでは結構ウケはよかったようだ。これが愛のある作品の時はさらに加速するのよ、みなさぁ〜ん(チュッ)。
いや、まさか1巻ヌケの<野獣の書三部作>や百円で買った銀背も売れるとは思わなかったけど全部売れてよかったよかった、ですわ。(いや、百円どころか10円でもなかなか売れぬ本もあってそこはなかなか俺的に不本意だったがな!!売れれば良し。読んでもらえるんだからね)
で、最後にπRさんmutさんのディーラーズで買ったという『レ・コスミコミケ』を譲ってもらったのだった。ありがとうπRさん!!このご恩は三日間くらいは忘れないと思う。きっと(笑)。

<<オンライン書評企画は参加せずに寝る>>
この企画も最後まで参加していたかったのだが、スタッフ全員に「総統、睡眠までのタイムリミットあと5分ですよ」と病院にいるような監視を受けていたし、実際疲れて眠気もあったので資料だけもらって、スタッフ部屋に眠りに行きました。
指を蚊に喰われてすごく痛がゆくてなかなか寝付けなかったのですが薬のおかげで6時間きっちり眠ることが出来、寝覚めもスッキリ爽快だったのでした。
うわさによると、書評の話からbk1の話に流れていったらしいですな。ふむん。

<<SF者って実はもてない男なんじゃないか企画(脱線編)>>
大部屋に戻って復活宣言。座布団を枕に川の字になっているサイトウマサトクさん、ひろくん、mutさんの横に腰掛けてコロコロ談議。なんであの雑誌の話ってこんなに盛り上がっちゃうんだろうねぇ。(前は【RIKI】さんとその話で盛り上がったのだった)
でもって、『SF者って実はもてない男なんじゃないか企画』は充分な構成の準備が出来なかったこともあって簡単にその場にいる人たちに「本当はこんなことが話したかったんだよ」と軽く説明して終わりにしようと思っていたのだ。が……、、、
朝っぱらから俺のゾクフー・エクスプロール話が炸裂!すまん、これは計画外だ。意識が朦朧としていたんでつい下半身に制御されてしまったんだ。って感じで始まって、なぜか俺の恋愛談議に突入。のださん、犬さん、森さんらのハードな突っ込みを受けつつ理想の婦女子について語る俺。犬さんあたりはどうも、日記の9月27〜28日のネタが気になってるらしくて、「潜水艦」だの「BB弾」だののキーワードから離れてくれない。俺は別にそんなんだけ求めてるわけじゃないっつーの。
実は俺の人生に於ける上から3番目くらいの秘密、『実はお見合いを複数回したことがある』が大勢の聴衆の前でばれてしまって(っていつもどおり自分で話したんだけど)とても恥ずかし&悲しかったのだが、レポートを見るとかなり大ウケだったらしい(苦笑)。
「趣味がウインドゥ・ショッピングだなんて云ってる無趣味で無個性な女がお見合いせにゃならんようなふうに売れ残るんよ。『ウインドゥ・ショッピング』って聞いたら『なんや、<スロー・ガラス>でも買うんかい!』ってツッコミいれたくなるよなぁ」
「もしくはWindowsショッピングだったら大喜びでしょ?」
デート場所はやっぱ秋葉原がいいなぁ。あ、趣味『ウインドゥ・ショッピング』でもいいんだぜ、みてるのがCPUクーラーとかだったら(笑)」
という話題が炸裂!!
加藤さんのおかげで俺の年収から毎月の手取りの金額までがつまびらかに。ミンナ!細かいことは忘れてくれーっ!!
あと『花京院サマ』女子ネタは俺の深い古傷なので話題にすること超禁止!!!
あと周辺女性に累積ポイント制度を採用しているとかも忘却しろ!!
気が付いたら、20人くらいの聴衆を前に俺の生き恥を語っていたので穴があったらマジで入りたくなりました。ちょほほ〜。
みんな!いつもなら『おジャ魔女どれみ#』とか見てるだろ!少しは気を逸らせよ!(泣)

<<エンディング>>
さて、ダサコン賞の発表は最初にやっちゃったし、今回はダサコン大将もないのでエンディングは本当に俺の挨拶だけというシンプルなものになった。次回、東北になるのか、熱海になるのか、名古屋になるのか、はたまた再び関西遠征か、それともまたココ朝陽館になるのかは全く未定だが、春頃、必ず「5」を実施することを堅く約束して幕を閉じたのであった。

<<事後のコト>>
個人的にはダサ2で俺達が背中を押したばっかりに道を誤ってしまった涼元さん『AIR』関連のお話が出来てレアなグッズなどをいただけたのがかなり大収穫。ダサ3の時、既に涼元さんはKEYにおり、大阪のかなり近いところにいたのだそうだ(苦笑)。
オークションの会計が随分手間がかかってしまったみたいですな。ダサ3のシステムが一番洗練されていたのでアレに戻るのが吉でしょう。
そういえば、やりくりもだいぶうまくなってきたことだし、サービスの意味をこめて参加費を8千円に値下げしようと云う話は前からあったのだが、お釣りの千円札の数が倍必要になるという非常に単純な理由からなかなか実施出来なかったのだが、アリガトウ小渕さン!2千円札の登場でそれが可能になったのだ。意外とこの2千円札のお釣りは好評であった。
さて、今回は俺も飲まなかったのだが、お酒を飲まない女性陣が多かったのか、みんなしゃべるのに一生懸命だったせいか、ビールが12本と酒類、ソフトドリンク、お菓子などが結構余ってしまった。コレは毎回消費量が違うのでなかなかうまくいかないことの一つだったりする。
今回私は15時までに病院に戻らねばならないので恒例のルノアールでのだべりには参加せずまっすぐ家に戻って支度を済ませて病院に戻りました。
「久しぶりの栃木はどうでした?」「結婚式はどうでしたか?」という看護婦さんの質問に後輩の結婚式と妹の結婚式の様子をフュージョンした内容を思い浮かべてやりすごし、やっぱ体がヘトヘトになったのでそのまま夕飯まで寝てしまいましたとさ。
というわけで、アポロ13なみに困難だったミッション、DASACON4は今回も一応無事終了したのだった。めでたしめでたし。


2000/10/4.