元祖「せつなさ炸裂!」

同窓会の感想

そう、俺がToHeartを買いにソフマップシカゴ館に行ったとき、(中古は売ってなかった)山積みになってる白いパッケージがあった。エロゲーらしからぬ清純な雰囲気。そう、それはF&Cの反則技『同窓会〜原画&ドラマCD〜』 だったのだ。ゲーム本体は一息ついていたはずなのになぜこんなに大量に?とか思ったんですけどねー。今考えると某「せつなさ炸裂!」ゲームの甲斐智久センセのキャラデのゲームだったんで、きっと2匹目のうなぎというか、便乗商法だったんでしょうねー。でもいくらCD2枚組みとはいえゲーム本体と同じ値段じゃ売れなかったんでしょうねー。もうゴミ屑同然に特価品コーナーに山のように捨ててあったのを私の貧乏根性が無駄遣いしたい衝動が拾わせてしまったんですねー。おお、いける!いけるやんか!あっれー?でもなんかキャラクタ原画「水谷とおる」先生って書いてあるなー。おっかしーなー?ま、この業界、似たような絵柄の人はたくさんいるしねー、俺キャラデでどーこー言わない人だからー。気にしませんけどねー。
って訳だけど、SS版ゲーム「フレンズ」としてこの同窓会がリメイクされるらしいと聞き、「うげ、せっかくセングラと同じキャラが脱ぎ脱ぎしてるのにまた18推加工されてしまうのはイヤー!入手可能なうちにGETよー!」というわけで速攻中古屋にてGET。「中古ソフトの売り上げは1円も我々ソフトメーカーに還元されない」という某団体の言葉を「将来は俺もあちら側に付くかもしれん。だが今はこちら側の人間なのだ」とか自己弁護しつつプレイしてみたのだった。

1.これはF&Cのゲームなのか?
F&Cとは言うまでもなく「フェアリーテール」と「カクテルソフト」の両ブランドを持つエロゲーメーカーのことである。「亜希子」とかゆーちょっとエログロ入ったハイブリッドCDのシリーズも出したりして、98ゲーから脱却するのには色々苦労していたようである。マーク3曰く「車のディーラーみたいなもんですな」というように、扱っている商品が違うだけで「バーチャルコール」「きゃんきゃんバニー」と二つ並べてもどこに違いがあるのかわかならい製品を柱にしている2ブランドである。
カクテルソフトの主力「きゃんバニ」「Piaキャロ」に対してフェアリーテールの「バーチャルコール」「Natural」と見るとややFブランドのがH濃い目かな?とか思ったんだがこの『同窓会』は間違いなくFブランドの製品なのだ。
だが、エンディングのスタッフロールでは ide's co.ltd のロゴが。取り扱い説明書の真摯な作り(Naturalではなんか作り手の買い手に一種の馴れ合いがすごーく感じられた)とか見ても、「全然別のスタッフ、ってゆうか会社」が作ったゲームなんだろうと思いました。そう、F&Cはエロゲーマニーと仲良しの会社です。「きゃる〜ん!Hしちゃお!」って感じの明るく能天気H系です。この同窓会はなんとなく、エルフが『同級生』を作ってたころに目指していたものの雰囲気が感じられます。(最近は『遺作』、『臭作』とかで鬼畜路線に走っているようですが)そうです、エロゲーのくせに「せつなさを出したい」という作り手のそんな意気込みが伝わってくるのです。
(きっとキャラデの人だけがNECに見初められちゃったんだね)


2.シナリオについて
どっかのセングラとかゆー破綻したゲームに少しは見習って欲しい秀逸な出来です。
残念なのはAVGでもVNでもないゲームシステムの方でしょうか?
主人公は中学校の時のテニス部の同窓会に参加すべく、高原のペンションにやってきます。そこですごす一週間のうちに誰かと素敵な関係になれるでしょうか?ってゆうすげーシンプルなモンです。
で、ちょっとフツーのエロゲー(ギャルゲーにするか、なんかそぐわない)と違っているのは、男子と女子がちょうどつがいになれる人数登場することなのだ。フツーは同級生形式、というかときメモ形式といってもいいけど、主人公と同じ立場のキャラは女の子の人数に対して「悪友型」一体と「ライバル型」一体くらいしか登場せず、主人公はうまくいけばこの世のハーレム状態で登場する女の子すべてがターゲットになってくるのが常でした。主人公に対する他の男性キャラは女性キャラの対象になるにはキャラ設定等があまりに弱すぎてお飾りにしかなっていなかったといえるでしょう。ところが同窓会は中学時代のしがらみをひきずりまくりの男女5対5+aなのです。
最後の花火大会で「あー、こいつとこいつがくっつくのかな??」なんて予想がついてしまい、ヒロイン2人(幼なじみとマドンナ)以外を攻略するときに「こんなんでうまくいくのか?」と不安になってくる。が、そこが実にうまい!
主人公は一応、部のマドンナ的存在(病弱な美人。こんなやついねーしつまんねー女)にあこがれててなーんかむこうもちょっとはその気があるのかな?くらいの関係のまま別れており、その他のキャラ皆仲良しってわけじゃなくて中学生らしい様々なエピソードからくるしがらみや思いを胸に解散しており、ストーリーイントロで主人公からみた各人物のプロフィールは語られてしまうわけだけど、話の中で「実はあの頃」なんて形で色々な人物の色々な過去に残してきた思いが見えてくるわけです。それは一人一人について勝手な主観を持たせてべらべらしゃべらせてしまうのではなく、久々にあった人物どうしのとるちょっとした態度などで表現されていて、「やや、あいつらやっぱり中学時代からそーゆー感じだったんだ??」にみたいなのが見えてきて思わず応援してやりたくなったりします。(自分が攻略しようと思ってなけりゃぁね)当然マドンナは競争率が高いのですが、「やっぱ俺には無理ー」とかいって方向転換しても「ああ、ほんとはあいつと相思相愛のこいつを俺が無理矢理ー」って感じではなく「なんかあぶれモノ同士、仲良くね」的な雰囲気で非常に自然に別シナリオができあがってゆくあたりに関心しました。主人公が目標を変えたことで起こる「納まるサヤが異なる問題」が実にうまく進んで行くのです。「俺がこいつと仲良くなろうとしている間に、あいつとあいつは喧嘩したり仲良くなったりしてんのな」っていうのがこのゲーム中に起こるイベントです。結果的にはだいたい5組のカップルができあがって楽しい夏のひとときが終わるって感じになってます。
かわいそうなのはペンションのお姉さんと主人公の幼なじみ。主人公がこの二人とくっつくおち以外のときは絶対にあぶれてしまうのでとてもかわいそうです(笑)


3.光らない、回らない、音はキレイ
96年半ばのゲームですが、非常にキレイなBGM以外は音はなし。アニメもなし。
ま、グラフィックは256だけどね。
VNでもSEは非常に重要でした。(実際はリブで音無しでやってったけど)Piaキャロの時に「あっはん、うっふん」が音で聞こえるというのは非常に重要な機能だと書きました。こーゆーHおとなしめのゲームでもしゃべってくれたほうがいいという気がしました。VNのように小説形式で情景や心理描写がないのならせめて肉声で雰囲気を出すしかないんじゃないのかなぁ?と思った。声優が当てられていないほうが想像力が働く、という説も力説しようと思ったんだけどこのゲームはきっとしゃべった方がいい気がする。ま、ドラマCDやアニメも作られたので、SS版ではきっとしゃべるんだろうなー。
F&Cはゲーム用のトータルシステムとしてADM.DLLという16ビットのシステムを使って、Win3.1、95に対応させている。そのため画面解像度は固定でモードも256オンリーだ。最近はみんなでかいディスプレイで高い解像度出しているはずなのでいつまでも Display Fit ができないシステムを使うのはどうかと思うぞ。目パチ、口パクもしないのはきっとこのシステムの伝統だろうな。それが重要か否かは別問題だが。


4.ゲームの操作性
比較してみたいAVG『同級生』をやっていないんでふつーのAVGと比べてはっきりどう、と言えないのだが昔やったAVGに比べたら複雑で難しいし、ほんとにこれはAVGなのか?っていう気がしてくる。SLGでないのは確かだからま、AVGなんだろう。
主な一日の行動パターンは、午前中の自由行動、午後の団体行動、夜のミーティング、夜の自由行動で、午後の団体行動はすっぽかして自由行動にもできる。団体行動とミーティングは会話相手を選ぶ形式で移動はなし。問題はその他の自由行動で、なんと外12箇所、ペンション内14箇所がまったくシームレスに移動可能なのだ。で、基本的に時間軸が存在しないのか、何回目の移動で誰がどこにいるのかさっぱりわからない。一回の行動でこなさなければならないイベント数が決まっているのか、何回移動すれば終わりという動きにはなっていない。場合によってはずっと誰にもあえなくて夜の高原をうろうろうろうろし続けなくてはならないのだ。私が見た攻略ページも「この順にいけば」ってゆうその人がうまく行った移動順が列記してあるだけで、一歩間違えると自力で進まねばならず、非常に時間がかかった。攻略突きでやっても1週間を追えるのに3時間半かかったので、無作為にやった場合はいったい何時間かかるかわからないのだ。
それとデータのロードに頻繁にCDにアクセスに行くのも気になった。今のマシンの性能では気にならなかったが、ペンチ90程度の性能で4倍速CDROMとかだったらどうなのだろうとちょっと不安になった。
あと気になったのは思い出のアルバム機能。ときメモのアルバム同様、女の子と一緒に見てるかのような恥ずかしいキャプションがHシーンにまでつくのはちょっとなぁ。それとクリアした女の子以外は見られないのもちょっと悔しいかも。達成度がわからないし。


5.ゲーム攻略
あんまり攻略ページ行ってないのだが、古い雑誌の端の記事とかも参考にすると、
最初の2日間の自由行動でターゲットにする女の子を決める。(でもね、どこに行けばいいのかはわからない。こりゃきついよ!)
そうすると残り、女の子固有のイベントが発生する場所、タイミングは決まっているのでそこを探り出し、間違いなくイベントを起こして正しい会話選択をすること。
そうすれば、自分以外の人物のシナリオも、自分のシナリオも決められた通りに進んでいく感じ。
ToHeartみたいに「いつ・どこに・誰」が作れないと思う(いや、違う場所で同じ会話をしたりするので法則性はあるはずだが)。またトゥルラブのように「よくいる場所・好きな場所」がキャラごとにあるのだが、それは最初の2日間には役にたたない気がする。
誰とも仲良くならないと地元の女子高生に好かれたり、ペンションのお姉さんと仲良くなるおちが用意されています。が、それは無論、このゲームの本意じゃないよねー。
シナリオがいいだけにこのシステムは残念だ。ただ、こうしないとなーんかさくさく進みすぎてあんまり選択肢のないゲームになっちゃうんだよね。そう、そうするにはVN形式にしてもっと文章量を増やさないと無味乾燥になってしまうのだよ。ゲーム性をだすか、完全に「ノベル(読み物)」とわりきっちゃうかだよな。東鳩はまさに絶妙なバランスだったわけだ。痕のコンセプトに比べたら「博打」といわれていたのもうなずけるね。


6.キャラについて
文句ないッスよ〜。皆いい娘ばっかりですよ〜。しかもせつなさ炸裂と同じキャラですよ〜。最高ッスよ!獣みたいなHシーンも1カットくらいづつだけど存在するしー。
男女とも性格的に「イヤ」なやつがいないのでちょっとさわやかすぎかな??
まだ全キャラ解いていないので個人的な入れ込みはまた後で。
アニメでは主人公は声:岩田光夫の『同級生』型になっているはずで、きっと出てくる女の子に無条件でもてまくりできっと全員とうまいことやっちゃうはずです。そんなの嘘だ!でも見たいかも・・・(複雑)
ゲーム中ではなーんかぼやぼやっとした感じの「いいひと」になってますけどねー。


7.ダブルヒロイン、「若林 鮎」と「小早川 瑞穂」
瑞穂は典型的マドンナ型&深窓のお嬢様&病弱&悲劇のヒロイン型。主人公と密かに相思相愛のままだけど思いが伝えられずに・・・って話だけにしとけばいいのに、年上の男にあこがれて振られて云々という俺の大嫌いなトレドダーク路線まっしぐら。実際にここまで弱々だと「いったい彼女の見た目以外、どこに惹かれるの?」って感じになります。でも時折ちらちら見せる「うっふん、ホントはあなたのこと・・・」的思わせぶりな態度に翻弄され気持ちよくなっている俺ってやっぱり「高橋しん:いい人」?って感じだよな。かたやずっと幼なじみで「女として意識したことなし」というま、「あかり」タイプなんだけど、なまじ仲良くやると「あー、昔みたいで楽しかったね」で終わってしまうので、とことん土壇場ぎりぎりまで瑞穂狙ってるフリして鮎に転ばないとラブラブにはなれません。しかし!けっきょくそうすると主人公狙ってた女の子や瑞穂狙ってた男子が皆幸せになれずに結局鮎ちゃんだけ楽しいエンドになって俺的には後味が悪い。他のキャラ攻略時、自分を殺してけなげに主人公を応援する鮎の気持ちを考えるとこれでいいのかもしれんけど・・・ちなみにシナリオ担当の女性の初恋は見事鮎ちゃんBADなので、やっぱ特別扱いなんだろうなーとか思います。
そういえば、取り扱い説明書のスタッフの初恋に関する一言のコーナーがすげーいいです。フィクションだとしてもなんかときメモスタッフの愚痴なんかよりもはるかにせつねー感じにさせられました。・・・みんな色々あってギャルゲー作ってんだよネ!!!


8.男子について
脳みそ筋肉の部長、東大現役入学のちょっと嫌みなインテリくん、ロンゲでたらしの親友、お金持ちのぼんぼんでストーカー、楽しい輩です。ここまでやったんならマルチサイトで「今日は進君の視点でプレイ!」ってのもいいんじゃないかなー。(難しいか?)
SLG型だったら、決めたスペックでストーリーが決まる、ってのもいいんじゃないのかな?


結論として
「せつなさ炸裂!」
以上だ。