ゆうきのスタンドなエッセイ

##自己診断は恥のモト〜病院へ行こう〜


先日、俺は真剣なおももちでクリニックの扉を叩いた。
先生、俺、おかしいんです。こんな症状生まれて初めてなんです。めまいと頭痛とだるさと眠気がずっと続いていて仕事になりません。俺ってこのままじゃ廃人デス
とスゲー勢いで医者にせまったものの、医者はさっぱり顔色を変えずにフツーの手順で診察をしたあげくに、
「今日、体温計ってきたかね?」という。
違うよ、風邪とかそーゆー感じじゃないの!
「計ってません」
「じゃぁ、計って」と電子体温計を渡される。
ピッ!
37.3度。

俺はトカゲ人間なのでフツーは36度以下。アレ?
風邪です
すみませんでした。でもだって、普通の熱じゃんこんなの。(自分で云うな!)くそぅ、こんどこそ重病な予感がしたのに。
俺は体温計で熱があると知るととたんにだるくなる、とか薬を飲むととたんに元気になるとか、まさに「病は気から」の人なので一人暮らしをしてから体温計を持っていないのだが…。さすがに今回は反省した。
数年前、扁桃腺とっちゃったので熱=喉腫れじゃなくなったんだよな。長年、扁桃腺に苦しめられてきた俺はまだそのへんに慣れていないのかもしれない。37度じゃあんま熱っぽいって感じもしないしさ…。

そこで思い出した。恥さらしついでに昔の恥をもう一つ。
朝、トイレから出て猛烈に腹部に痛みが走った。そりゃーもー動けないくらい痛くて
「こりゃー救急隊員の皆さんに救助をお願いするしかない!」
と生まれて始めて119番通報する決意をする。国際救助隊でもいいぞ。
が、自分の部屋の乱れ淫れ?)具合を目の当たりにしてそれを断念。
「どうして、どうして!?こんな時に限って、親が旅行に出かけてやりたい放題の男子高校生のような状態に?!一人暮らしの男の部屋とはいえ、限度ってものがあるだろー?」
そう、本当に忙しくてろくに部屋に帰らない時というのは風呂入って寝るだけなので一人暮らしの男子の部屋としては比較的キレイな方であると自負する俺だが、その時期はたまたま人生の怠惰さをエンジョイしているような時期だったのだ。レンタルビデオでHな物を借りた翌日には必ず徹夜かそれに近い状態でしかリカバリ不能なトラブルが発生し、必ず延滞してしまうという意味不明なジンクスがあったのもその頃でそれゆえ俺は深夜1時で閉店してしまう近所のビデオレンタル屋の会員をやめたという嫌な経緯があったのだ。
悩んだところで痛みの引くわけでもなし、俺はまさに涙を流し、はふはふ(古語で「這うように」の意)しながらアレとコレとソレだけは見えない場所へ〜とかやってるうちに時計を見ると、
「ひょっとして病院が開いている時間では?」
となって、もー上着はおって、根性で這うように病院へ。(近所なの)
受付をドンドン叩いて、
「すみません、なんか俺、盲腸みたいなんですけど、お願いします」(病名の正解は盲腸炎)
しかし、応対したオバさんは冷徹だった。
「はい、診察は8時半からですからそこで待っててくださいね」
「馬鹿野郎!俺は盲腸だぞ!(俺はウナギだ!と同じ用法だネ!)死ぬほど痛いんだ、急患なんだよ!さっさと医者を呼べ!」
と暴れるもさっぱり相手にされず、しかたがなくソファの上でふてくされて死人になる。
で、ようやく診察が開始されたときには不思議とだいぶ痛みもおさまっていた。おお、これが脳内麻薬の威力デスカ?
で、医者に会うなり開口一番、
「先生、俺、盲腸なんです。早く、手術してください」
「うーん、君、まずは落ち着きなさい」
医師は冷静だった。これだから老人は!大先生・おおせんせいのこと。若先生・わかせんせいと対で用いられる)などと俺は怒っている。
さっさと俺に麻酔を打って手術台にしばりつけてくれ!そしてジョッカーに捕らえられてもがき苦しむ木梨ノリタケのよーな状態にしてくれ!
サイボーグフェチ自損マニアの俺の頭にはそんなことしかない。
「うーん、しかし君、まずそれは盲腸と反対側だよ」
何!俺としたことが、迂闊!
「いや、世間には逆さ盲腸というのもあるそうじゃないですか」
そうだよ、「北斗の拳」に出てきたサウザーみたいに体中の秘孔が左右逆の人だっているじゃんかよー!
どうあっても猛烈に腹が痛い=盲腸から思考が離れないらしい。
で、その後、医師の質問に順々に答え、色々検査をした結果、
「それは尿管結石だね」
はっはっは。
採尿したコップにリトマス試験紙みたいのつけて、
「ほぉーら、尿の中に鮮血が混じってるよーん」
確かに数値はマキシマムだった。
えー、だってしっこ赤くないじゃん!わかんないよそんなの!
なるほどね、朝しっこした時に石は尿管にスッと刃物で切るように傷を付けていったらしい。確かにそういう痛みだわな。時間が経つにつれて痛みがひいていったのも炎症じゃないんだから納得である。
で、会社に電話すると
「なーんだ、いいよ無理して出てこなくても。ここにいる連中みーんなやってるからどんなに痛いかわかってるって!」
と上司は明るく答えてくれて、挙げ句にその場にいた人がかわりばんこに電話に出てきて「でしょでしょ」というような反応をしてゆく。なんて嫌な職場だ。
ちなみに聞いたところによると石が外に出る時、スッゴク痛いらしい、とか便器に当って「カチッ」と音がしたとか云うのだが、腹痛だと思って何度かきばっているうちに俺は外に出てしまったようで、その痛みは体験していなかったりする。(ちなみにレントゲンでは腎臓にあと2個、お星様の様に小さな影が映っていました)
というわけで、自分で勝手な診断を下して医者に迫る、というのは初犯ではないのでしたー。ってでもね、病気の時って思考が死んでるじゃん。しょうがないよね。

皆さんもカラダの異常に気がついたら勝手な判断をせず、まず病院に行って医者に見てもらいましょう。

終わり。

(でもね、うちのばぁさんは医者の誤診で手後れになったので100%信じちゃいないんだけどねー)

1999.9.13 wrote.