#あらすじ#
西暦2028年、滅亡の危機に瀕した人類は最後の技術力を振り絞り、ある実験を行う。没落しつつある人類の姿を映像として過去の世界に送り込む、タイム・テレパシー技術の実験だ。過去の世界の人間に警告を与えることで人類の運命を変えようとしたのだ。
6世紀のイングランド、盲目の少年エイリオンだけがこの未来からのメッセージを受け取った。彼はそのイメージを人に語り始め、吟遊詩人として知られるようになる。しかし、当時のアーサー王の宮廷魔導師マーリンはそんなエイリオンを、人々を惑わせる存在として警戒するようになる…
'96年?の作品。オランダのVENGENSというバンドに在籍したギタリストのソロプロジェクト「エイリオン」。国内盤CDではルカッセン名義になっている。自らロックオペラを名乗る、今時珍しい大仰かつ壮大なハードロックアルバム。複数のヴォーカリストを使い分けているので70分超の長大なストーリーもダレずに聴き通すことができます。次作「アクチュアル・ファンタジー」も同傾向ながら、各曲が独立した短編集的な構成でこちらもおすすめ。
#あらすじ#
中央監視官なる、音楽の非合法化を謀るロボット役人によるレポート。音楽による人間の堕落の一例として、ジョーという男の行状が歌われていく。
ジョーのやっていたバンドはそこそこうまく行っていたが、マネージャーにだまされて解散する。ガールフレンドのメアリーは愛想を尽かして別のバンドを追っかけになり、彼らの「専属の女」になってしまった。やけくそになったジョーは、商売女に手を出し「とても口には出せない病気」をもらってしまう。困ったジョーはキリスト教原理主義の新興宗教の教会に悩みを相談に行くが、イカした神父に大金をふんだくられた上に「潜在的機械フェチ」と断定され、原子力両性対応型ロト・プルーカーXQJ-37(緑の髪の女の子を想像しないように^^;)を紹介され仲良くなるが、あまり激しくやりすぎたために破壊してしまい、音楽関係者を収容する特別刑務所にぶち込まれる。その中でジョーは、今度は元レコード会社の重役というハゲおやじにホられてしまうのだ。
刑期を終え、ようやくシャバに出てきたジョー。彼を待っていたのは、もはや音楽が完全に非合法とされた世界だった。頭の中でギターソロを想像しただけで近所のおばさんに怒られてしまうのだ。呆然とするジョーの頭にかつての彼女メアリーの声が聞こえてくる…
自分で書いてて頭痛くなってきますが、これでも控えめに書いてるんです(^^;ザッパ'79年発表の大作。こんなもんSFだなんて言ったら怒られそうですね。平野耕太のロック版と思って間違いないありません。
本来は、選挙目当てにろくでもない法案をさせようとする政治家連中に対する批判が込められているとか言われてるんですが、とりあえずザッパが女の子に水をかけてイヤーンな「びしょ濡れTシャツコンテスト」はただの趣味だとしか思えない…世の中の、ふんぞり返って調子に乗ってる連中を下ネタとギャグでおちょくりまくるのがザッパの芸風です。今の時代に生きていてくれればゲイツは間違いなく標的になっていたであろうと思うと残念でなりません。
音楽的には、黒人音楽をザッパ流に解釈したバカテクだけどノリノリ、頭でなく腰で聞ける楽しいものです。お試しあれ。
宇宙の果て、重力の狭間といったこの世ならぬ場所における、肉体が破壊され引きちぎられていくイメージ。地獄巡り。科学実験・哲学・錬金術・神秘思想・バロウズ・東洋哲学・UFO体験といった様々な文章からの引用。魂の上昇と下降、やがて収縮、そして仏教的平安の世界にたどり着く…自分でも書いててよく分かりませんが、歌詞カードはこのような無秩序なイメージに満ち満ちているのです。
スウェーデンのテクニカル・スラッシュメタルの雄、MESHUGGAH(メシュガー)のメンバーのソロ。SOL NIGERは「黒い太陽」の意味で、土星の別称だとのこと。29の断片からなる、40分超の曲が一曲。曲展開も歌詞や語りや様々な文章の引用もあまりにもとりとめが無く、普通のメタルファンでは手に負えないでしょう。ヘヴィメタルの突然変異的怪作です。これは文字からその世界に入っていけるSFファンにこそ聴いてもらいたい。「百億の昼と千億の夜」(漫画は読んだ)の音楽版と言っていいほどのものです。
サウンド的には基本的にはテクニカルなスラッシュメタル。精密かつ複雑に構成されたフレーズを怒りのパワーで押しまくる、非情なサウンドで聴くのに体力がいりますが、常に緩急・動静の対比があり単調に感じる事は無いと思います。
本家MESHUGGAHの方も歌詞がなかなかサイバー感覚でよいのですが、こちらはかなりゴリゴリのエクストリームプログレッシブテクニカルスラッシュジャズデスメタルなので免疫が無いと拒絶反応があるかも…でもストレス解消にはもってこい。
#あらすじ#
実の母を亡くし、父親にも見捨てられた「しんとく」と継母、撫子の愛憎物語。継母は元々は見せ物小屋のヘビ女だったが、見せ物小屋が不景気のためしんとくの父親に身請けされ後妻として迎えられた。
継母は自分の産んだ子であるせんさくに家を継がせるためしんとくを呪い、そのためしんとくはライ病にかかる。精神にも異常をきたしたしんとくは亡き母の姿を借り、継母に復讐しようとする。
日本のアーティストの作品でストーリー性のあるものは?ということで思い至ったのはこの身毒丸(しんとくまる)。これはちょいと特殊な作品です。
まず、天井桟敷とはバンドではなく故寺山修司の率いていた劇団のこと。ストーリー性が強いのも当然、このアルバムは天井桟敷の'78年紀ノ国屋ホールでの公演を実況録音したものなのです。オリジナルのアナログ盤は中古盤専門店でもなかなか見ることすらできない状態が続いていましたが、近年ようやくCD化されました。
身毒丸は寺山修司がJ.A.シーザーの曲のために書いた芝居だと言われています。天井桟敷の芝居の中では音楽の占める要素が非常に大きく、結果日本ロック史上に残る作品ともなりました。
J.A.シーザー。たぶん日本人。劇団天井桟敷の音楽担当。寺山修司の死後は実質上天井桟敷を引き継ぎ、劇団万有引力を結成。近年、アニメの「少女革命ウテナ」の決闘シーンでシーザー作のケッタイな合唱曲「絶対運命黙示録」が使用され、古くからのファンを卒倒させたのは記憶に新しいところ(^^;。
琵琶の弾き語りによるオープニング、主人公しんとくの語り、突然ハードなロックをバックに「南無阿弥陀仏」とオペラが大合唱という、ロック一筋でやってきた人には考えもつかないドグサレな組み合わせで、導入部からインパクト爆発です。
台本はSFというよりは伝奇ものというのが適切でしょう。実は寺山修司自身の思いが相当込められていると思われる壮大なマザコン物語でもあります。
見せ物小屋・奇形・女相撲・五寸釘に藁人形・なぜか発明家の柳田国男・どろどろの心理描写にエキセントリックなセリフまわしなどアングラ演劇ここに極まれりという毒々しい原色の世界。もう20年も前の音楽劇ですがこれを上回るほどアクの強い作品が出てくることはないであろうとまで言われています。大槻ケンヂファン必聴。母親が恋しい人も必聴。ウテナのファンで好奇心の強い人も一応押さえておきましょう。大型のCD店で「プログレ」又は「プログレッシブロック」というコーナーがあれば、そのあたりを探せば見つかるはず。