ハルミデザインズ・ダッチ

「ゆうこ」とその仲間たち


ダッチワイフ。
その妖しげな響きに考えを閉鎖しがちだが、21世紀を目前に、
彼女たちはまさにポスト人造人間的な位置を占め始めたように思える。
かつて南極越冬隊に持ち込まれた『南極2号』。
極限状態での性欲処理に必要とされたそれはカツラこそあったが、
やはりただの空気入れる式のビニール風船にすぎなかった。
見た目も人間からはほど遠く、「手でするよりまし」な道具でしかなかった。


やがて、大人のおもちゃ、いわゆるオナマシンとして商品化されたわけだが、
使用前、後の手間、価格などのわりに得られるモノがあまりに貧弱なため、その他の商品に打ち勝てず徐々に姿を消していった・・・
このままでは絶滅か?こっけいな性玩具の記録としてその名を残すのか?と思われたがある業者の参入で息を吹き返す。


ハルミデザインズ。
原子力発電所で放射能が外に漏れないようにとコンクリートとコンクリートの間に装填される特殊なスポンジを素材に、一体成形型のダッチワイフを開発した業者である。
しぼまない、ソリッドステーツのダッチワイフ。
その第1号は1986年に発売された『さちこ』だった。
『さちこ』

ハイテクの結晶である特殊スポンジは、普通のそれと違い焼いた後でも縮まず、成形された時のままの形態を保つ。復元性が高くつぶれない。比熱が高く、体温で温まりやすい。
人畜無害だった。さらにさちこは化粧もOK、すなわち見た目のカスタマイズが可能だったのだ。
さちこは1万体以上も売れた。


1988年、さちこの姉妹品『みちこ』が発売される。
『みちこ』

「さちこ」が脚を閉じたデザインであるのに対して足を開いたみちこは、様々な体位に対応できた。
彼女らは立体解析法によって女子高生の体のサイズを正確に再現されている。(設定年齢16歳)
これはもはや風船ではない。そう、もはやセクサロイドの始祖になりうる製品だといえよう。

1991年。さらなるロリータモデル『あいこ』が発売される。
『あいこ』

スタイルはバイブ型のオナマシンによくみられるお座り型である。
造形は小学校中学年(8歳)に設定されている。当時一般対象であった女子高生から、小学生にモデルの年齢を下げてきたことから、商品の購買層をいわゆるロリータマニア向けに転向してきたと思われる。
ただでさえアンダーグラウンドな市場である。こうした特化が必要だったのだろう。


そして設定年齢はそのままに、さちこ型の立ち姿で登場したのが大ヒットモデル『ゆうこ』である。
ごらんの通り、シリコンコーティングされた彼女は人間と見まごうばかりの容姿である。
(ページ冒頭の画像)


いまではこのゆうこの姉妹品(設定年齢は12歳で年上だが、発売はあとなのでちょっと微妙な関係)の
『ようこ』が存在する。
『ようこ』

これらのモデルには、カツラ、パジャマ、下着のほか陰毛(シークレットヘア)がオプションパーツとして存在する。まさにジョン・ヴァーリーのSF「バービーはなぜ殺される」の世界である。
実際の使用例等に関してはリンク先のページを見ていただきたい。
とくに「おもらしゆうこちゃん」などはカスタマイズの最高峰といえよう。感嘆のあまり言葉に尽きる。


ここで紹介したハルミデザインズの製品の広告は「アサヒ芸能」などの、いわゆるおやじ向け週刊誌で確認できる。
今回は新宿アートセンターのカタログが非常に資料として役に立った。
このほか、国産のダッチワイフではEYECOMの「カオスだもんね」でも紹介された
『影シリーズ』などが有名である。



余談ではあるが、男性型(女性向け)のダッチ、
『伊集院健』なるモデルも存在するが、
いかんせん女性が使うには体位の組み方などに問題が多く、
もっぱらゲイの方に内蔵アナルで奉仕しているようである。



ダッチワイフはまだ、たんなるオナマシーンの「あだばな」に過ぎない。
だが、EYECOM11・1号「パソコンで快適になるコツ111」で紹介された
パソコンと直結できるオナマシンの登場、それを体内に装備することによって
さらなる進化をとげるかもしれない。本物のレプリカントが生きているうちに出現する可能性も
なくはないのだ。
トライアド『IKUユニット』
またこの『IKUユニット』や『KMCパッド』の進化は米国ではもっと急激だ。
ダッチワイフの替わりにこういった「性器ウォルドー」(私の造語)が発展すれば、
ヘッドマウントディスプレイ上でポリゴンのダッチワイフとまぐわう日が来るかも知れない。
我々は今、確実にサイバーエイジを生きているのだ。
文−ポリゴンオナニスト:U−KI



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