U-kiの読書日記(99/10/8～99/10/31)

U-kiの読書日記(99/10/8～99/10/31)

ヤングキングＯＵＲＳ１２月号、読む。ってゆうか「ドキ・ロコ」に痺れまくる。 - 99/11/01 00:00:00
本日の調子: ロボ子萌え、再び…。ってゆうか大正浪漫再燃！

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＃１０月３１日
ミンナ！今月のアワーズは全地球人類超緊急課題図書に決定だ！読めッ！
というのも新連載巻頭カラーの『ドキドキ・ロコモーション』が最高にキュートでイカスからだっ！
う、迂闊だった。気がつかなかったよ。スチームパンクで大正時代のハイカラさんの格好でロボ子をやるとは……。ツボだ。ツボに入りすぎている。かつて「学天測」とかに入れ込んで最後の自爆シーンとかで涙ぐんでいた俺にこれはちょっとピンポイント爆撃すぎるぞ。いうなれば「さくら大戦」で真宮司さくらが１００万馬力ロボ子って云ってるようなもんじゃん。しかも名前は「マサコ」だし。マ、マサコｫ～～！（ほら、俺のリビドーに呼応するこの響き！）お姉さん「フミコ」さんだし。絵柄もアニメ調の整理されたすっきり型で好感がもてますな。『蒸気探偵』なんかより１００万倍好み！
ああ、しかも金槌でツッコミ入れてるよ～。マルチもこれくらいの芸はこなして欲しかったッスよ。
やべっ、もうストーリーなんかどうでもいいって感じッス。設定の勝利でしょう。マサコの声は横山智佐で超決定！広井王子とあかほりさとるに買収されてゲーム化されてくれ～。
もーＨＥＬＬＳＩＮＧもトライガンもジオブリもうさちゃんでＣＵＥ！もどーでもいい感じッス。ってゆうか、この連載陣がちゃんとそろったのって何ヶ月ぶりだ？（苦笑）これらが毎月欠けることなく掲載されていれば文句なしなんだけどねぇ。
エクセルサーガも密かな楽しみだったんだけど、もはや「実験」の名のもとに好き放題やるアニメになっちまってるらしいし……。（ナニがトゥなハートがトキとかメキとかでラブへな！だよ！！）アニメが始まっても漫画のノリは変わらなかったりするんでいいっか。あと、ちょっと気になってた「迷彩くん」漫画が３回目。うーん、やるじゃんアワーズ編集部！さすがにコミックマスターＪが血涙流してる雑誌はひと味違うねぇ。ってゆうか、もう俺の魂のキーワードはマルチなんぞを離れて以後６ヶ月はマサコに超決定！ウサピーにも教えなくっちゃ……。

『獣ハンター”エミ”』（ソノラマ文庫）松浦秀昭、読了。 - 99/10/23 00:00:00
本日の調子: まぁ、俺もビーストといえばビーストなんだが…。

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＃１０月２２日
うーん、これもタイトルがなんだかなぁ。損をさせている気がするな。どう考えても読みたい、と思わせるタイトルじゃねーよな。ま、動物を保護しようとしてる側の女性がなぜ「ビーストハンター」なのかは読めばわかることなんだけどね。
『虚船』の時に書いたかもしれないが、この人の文章うますぎる。そう、うますぎてしまって物足りないの。良くできた子ちゃんなのよ。すいすい読めてしまうのは文章がうまいからだ。無論、内容もそれなりでないと駄目なのは云うまでもない。『ファイナルジェンダー』の時の突っかかりようにくらべたら「さすが国内小説！」とうなってしまうくらいだ。
しかもこの人ちゃんとモノ書くにあたって調べモノをしているよ。その裏打ちされた正確さが物語をしっかりささえているよ。前作の時にも思ったが単に銃火器マニアなだけかもしれんけどね、好きこそものの上手なれ、だ。いいではないか。『虚船』の時も江戸時代の生活描写の正確さと「江戸時代のテクノロジー」の描写のそれらしさには感動させられたものだが。こーゆー人もいるのに「宇宙空間でルガーを撃ったあげくにそれでミサイルを迎撃」してしまう黒豹シリーズなんかが売れまくっているんだから、いかに「それらしくノリで描くか」はハリウッド映画同様、大衆向けの作品には必要なのかも、と思ってしまった。「アルマゲドン」の科学考証がおかしいっつて笑ってるのはＳＦ者ぐらいなわけでしょ？一般民間人はあれで感動しちゃうわけだからね。そこそこもっともらしい描写ってのが「マニアック」にならず大衆ウケする秘訣なんだろうとパラサイトイヴの時とかにも思ったけどね。本当のことを知らない、何事も中学レベルの思考の持ち主である読者ってのがイカンような気もするな。おっと、話がそれた。従ってこの作者みたいにきちっと正確な描写ができる人にはもっとがんばって売れて欲しいというのが俺の正直な気持ちだってこと。
今回は現代よりはちょっと未来の世界を描いているんだと思うが、最初極力「現在」と同じ描写をしておいてだんだん現在とか常識とかから逸脱していくうまさはなかなかである。自然破壊が進んで野生動物が貴重になっていて、主人公のエミはカメラマンで密猟者組織からは煙たがられていて……ってこれだけじゃなんら俺が喜ぶ要素なんてないじゃん、やっぱＳＦじゃないんだろーか？それにしては……と思っていたら出てきましたよ、ロボが！しかもえれー強くて高性能なヤツが！その名はＧＲ・ＫＡＧＡＳＥＯ（カガセオ）。やっぱ近未来のアクションだったわけですな。
思うにこの作者、『虚船』に出てきた蒸気で動く巨大大仏ロボの描写とかにも感じたことだが、横山光輝型ロボに偏愛を抱いてやしないかい？間違いなく「ＧＲ」にはガードロボットという意味の他に「ジャイアント・ロボ」への敬愛が込められていると思うんだが。その存在をこの作品の中で「とっぴで浮いている」と思わずに受け入れることができれば楽しめるでしょう。組織の密猟係もＢＦ団幹部って感じだしね。良くも悪くも古き良き国産特撮ヒーローものの世界を踏襲しているというわけですな。今時の若者にはこれが新鮮に映るのだろうか？それとも我々の年代に向けてのピンポイント攻撃なのだろうか？
虚船の浅葱同様、元気印の女の子が主役なわけだが、なんだがキャラが立っていなくて印象が薄いんだよね。いや、悪くないんだけど、印象に残りにくいというか。男のほうはさらに輪をかけた感じで。いわゆる「キャラ萌え」型の作品を攻撃したい俺ではあるが、キャラ萌えできない作品を見るとやっぱし「弱い」印象をうけてしまうのは何故なんだろう？ソノラマ文庫というところにやはり偏見があるのだろうか？
これも続編が書けそうな幕引きなのもちょっと消化不良気味。ってゆうかお約束すぎる。『椎名百科店』でギャグ漫画として描かれちゃうほどの紋切り型なんだもの。次回はもっと吹っ切った形の作品を期待します。うまいんだからさ。

『０１＜ＺＥＲＯ　ＯＮＥ＞１』（ヤングジャンプコミックス）奥浩哉、読む。 - 99/10/22 00:00:00
本日の調子: チェンジ・スイッチ・２！ジロー変身不能！

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＃１０月２１日
ナニが「チェンジ・ゼロワン！」だッッ！！！
やるじゃん奥浩哉、といった感じ。我々と同世代がクリエイター層に食い込んでくると、こーゆーピンポイントな攻撃にぐぐっとくるよねぇ。下手な奴のは勘弁して欲しいが使いどころさえ押さえておけば俺としては大喜びさ。
ヤンジャン連載分を読んだことがあったけど、小学校での話だったので全然何の漫画だか全体像がつかめておらず、そのタイトルと今回のペンタッチだけ心にとめておいたのだが、ポリゴンキャラの描かれた表紙で、タイトル『ゼロワン』で、この硬質なタッチならば、と思って買ってみたのだが超大当たり。くそっ、この巻の区切れも絶妙すぎるよ！早く続きが読みてぇっ！って感じ大。
すっかり漫画の道具として定着した感のＣＧだが、このＣＧも奥浩哉自身が作っているものなんだろうか？感心しちゃうなぁ。
A.D.2028。ニュー・コシガヤ・シティ。電子マネーが横行する近未来。
時代に取り残されたような貧しい家に幼い兄弟と暮らす少年ネロ。
３０年未来のキッズ達の描写の妙に心奪われた感じ。そう、１５年前に大友克洋の漫画に出会ったときに味わったような、崩れて汚れた「サイバー」という感触。ニュー・コシガヤ・シティですぜ？チバ・シティなんて目じゃねぇよ。ってゆうか、このゲーセンがある通りって池袋のサンシャイン通りのＧＩＧＯ前にクリソツなんだよねぇ。良い感じだ。
ネロの家庭環境はなんとなくつかめてきたが親父さんの意図がまだ見えないので気持ち悪い。なぜ「ゲーセンには行くな」なのか。「中学校へは行かずに才能を見つけろ」なのか。単なるうらぶれたプロレスラーの父というだけではなく、何かこの「世界」への反骨心のようなものが潜んでいる気がしてならない。ネロに好意を寄せる少女・咲と宿敵とみなされている孤高の天才児・八神はこれからどう絡んでいくのかがとても気になる。八神はあれで天然なのだろうか？典型的すぎるといえばその通りだが何かまだ裏があるような気がしてならない。咲の使い方も気になる。
この第一巻ではネロの近未来の小学生としての生活描写に力が置かれている。『ノーライフキング』の「リアルなサイバーエイジの子供達」の描写に痺れた俺であるが、ネロと周辺の小学生の心の描写も目を見張るものがる。ともするとネロの家庭環境では酷いイジメが発生しそうなのだが、それをさせない何か緊張感みたいなものをネロ自身が発しているのも感じ取れてなかなかＧＯＯＤ。
俺ってばドラクエもやったことないし、スト２タイプの格闘技ゲームもほとんどやったことない人で、つまりはあんまりゲームをしない人なんである。「趣味はパソコンです」って答えて「ゲームやってるんですか？」「いいえ、ちっとも」みたいな会話を良くしたもんだ。今はギャルゲーやってるし、もともとシューティングや拳銃のゲームをしにゲーセンへは出入りしてたけどね、流行のゲームってやらなかったんですわ。「非生産的だ」とか云って。（それが今ではギャルゲー大魔王かい……）
そんな俺を流行りゲームのゼビウスをやっていた中学時代以来、再びゲーセン通いをさせたゲームであり、初めて「対戦型」のゲームの味をしめることになったのが『電脳戦記バーチャロン』なわけであり、このゲームのおかげで今では格闘ゲームの「対戦」の雰囲気みたいなのを理解できているし、あまつさえ「拳で語る」ことも覚え、通信でメールをやりとりすることも覚え、オフ会みたいのにものこのこ出かけていくようにもなったんだから人の人生なんてナニがどう影響してくるかわからんもんですわ。
そんなわけでこの漫画のメインディッシュが「ＭＢＺ」という体感格闘ゲームである、というところに俺はいたく入れ込んでいたりする。体感の対戦筐体という「仮想空間」でいったいどんなドラマが生まれるのか、興味津々なんである。ＭＢＺのシステムは俺が待ち焦がれているシステムでもある。これに類似したシステムが導入されたロボットゲームが出たら確実にやるだろうねぇ。なんだかまた新宿のジョイポリスの体感バーチャロン・スペシャル筐体に潜り込みたくなってきたぜ。
そういうわけで最近たまたま短編集『黒』を再読していたところへ、この作品をひっさげた奥浩哉と再会ってことで期待しまくっている。格闘ゲームと近未来のコミュニケーション、サイバーと奥浩哉、この組み合わせにドキドキしまくっている俺である。「黒」を読み返すまでは本当に奥浩哉なのか？とさえ思った絵柄だったが、ＭＢＺのガイドのお姉さんを見て一安心（笑）。期待の一番株。とりあえず来月あたりに続刊が出てくれることを望む。

『打撃天使ルリ１』（ヤングジャンプコミックス）山本康人、読む。 - 99/10/21 00:00:00
本日の調子: だっしゃー！って一番食らわしたいのはビルです。

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＃１０月２０日
だっしゃーーっ！！！
この世にはびこる理不尽に怒りの拳を振るわせていた、そんな俺はもういないんだが、やはり姿の見えない「何か」に怒りの拳を固めていた、そんな時期が確実にあったことだけは覚えている。あの頃の「怒り」というエネルギー源と引き替えに、今ののほほんとした俺があるような気がする。イヤな話だがこれが大人になるってことなのなもなぁ。
いや、この人も『鉄人ガンマ』で認めて以来、変な漫画を書き続けている人だよなぁ。
間違いなくこの漫画も「変な漫画」である。いや、変な漫画といっては失礼かも。不思議な漫画と云えばいいのか……。
ただ云えることは漫画として間違いなくおもしろい作品である、ということだ。どこがどう良いとか云えないところが不思議なのだけど。吸引力とでも云おうか。吸心力とでも云おうか、不思議な魅力が俺の心をとらえて離さない。
これに比べたら一緒に買ってきた『火星人刑事２』（安永航一郎）が全然おとなしい漫画に見えてしまうんだからたいしたもんである。
理不尽を怒りの拳で打ち砕くという漫画のもつ不条理。そう、理不尽を打ち砕く不条理をこの漫画は備えているのである。ナンセンス、なんて横文字は不釣り合いである。安永漫画のもつアナーキーさやナンセンスさは軽く薄っぺらいがこの漫画はどっしりとした重みと質感を感じさせるのである。
現代人がかかえる「云うに云えないこと」「やむにやまれないこと」すなわち病んだ部分、ストレスの根にある部分をこの人は漫画という媒体を用いて暴き、粉砕してみせるのだ。そこが面白いのだと思う。
主人公のルリちゃんは美人なわけでもないし、いつもへんなポーズをとって踊りながら近づいてくるけれども、それは彼女が新体操をやっているからなんだと暗に説明がされているわけで、主役とはいつも美男美女という容姿が優れたものがなるというセオリーをも破壊しているわけで、「突然変異の打撃人間」という不条理を安易に出現させているわけではないところも恐ろしかったりする。うーん、やっぱり不思議な魅力が満載だ。
しかも第一話に出てくる貧弱な２９歳サラリーマン男子に自分を重ねてわななく。くぅっ、まったくもって俺ってばまだまだヌルイ男よのぅっ！！
これもたまたま掲載されていたヤンジャンをどこかの待合室かなんかで読んで覚えていたから買ったんだけども間違いなく当たりであった。いつまで買うかはわからないけれども飽きるまで続きを読んでみようと思う。

『創造者の罠（上下）』（ヤングジャンプコミックス）水穂しゅうし、読む。 - 99/10/20 00:00:00
本日の調子: 「バケツでウラン」の久保キリコなみ。

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＃１０月１９日
東海村原発事故からこんなにも早く月日が経ってしまったんだな、と思い知らされる。
Hasterさんが先月、この上巻の感想を原発事故のために自粛していたのがこの作品を知るきっかけだった。上巻が先月出て下巻が今月出た。両方そろってから感想を書こうと思っていたのだ。

主人公・宮代は夢を見ていた。幼い日より見る原子炉のプールで泳ぐ夢だ。青白いチェレンコフ放射の中を泳ぐ夢。原子物理学のプロである彼にＰＫＯのオブザーバーとしてチェルノブイリへ同行するよう依頼が来る。チェルノブイリ事故跡の「石棺」に立て籠もった核ジャックテロリストの鎮圧に自衛隊の精鋭部隊の派兵が決定。それに同行せよというのだ。原子炉内へ潜り込むオブセッション（脅迫観念）に取り憑かれている宮代は自分の心に正直にその依頼に応じる。
作戦遂行を託されたのは「書類の自衛隊」に疑問を持ち本物の「もののふ」を目指す防大出のエリート士官・森。皮肉にも彼と宮代は防大で確執のあった、まるで正反対の性格の学生であった。
同時に米国からはニコラス大佐率いるエリートフォースがチェルノブイリの現場へ派遣されていた。彼らとそして米国大統領だけがこの作戦の真の目的を知っていた。
途中ウクライナ人言語学者カリーナを加え、錯綜する情報。発生する異常事態。
数刻前、チェルノブイリ事故施設内に突入したＳＡＳ隊員が遭遇し、即刻全滅させられた原因。それは銃火器と融合した謎のゾンビ。米国エリートフォースは秘密裏にそれらを葬ることを目的に派遣されたのだった。
異形の怪物たちは果たして放射能が生んだ突然変異体なのか？
二つの国の精鋭部隊と異形の怪物との激しい戦いのさなか、その巨大な罠の全貌がしだいに明らかになってゆく。
チェルノブイリ原発の建設意図は？あの事故は仕組まれたものだったのか？原子炉の地下にある施設。あるいは遺跡。スラブ神話の黒い破壊神チェルノボーグとは？

っつー感じで、「バイオハザード」か「デスクリムゾン」か？というゾンビ対銃器の激しいバトルと原子炉と伝奇を無理矢理融合させた感触は、いうなればサイフィクト系な話ってことになるんでしょうか？
連載時、間があいていれば気にならないかもしれないが後半は同じ場所でずーっと銃を撃ちまくっているだけで最後の最後の大仕掛けが発動するまでは構図的に退屈な感じになっているのが残念。誘導しようとしている仮説や戦闘の描写、戦闘員達のトラウマの描写などは相変わらずうまい、とうなってしまうくらういなんだけどね。あとなんといっても原発に関するマニアックな記述がＪＣＯ不祥事のあとではなんともタイムリーすぎ。やっぱ地球人類に中性子を防ぐ手だてはないと、野尻掲示板あたりで思い知ったあとだとこの漫画もなんともヌルく感じられます。
水穂しゅうしは学生時代『ハイスクール仁義』という意味不明漫画（特に連載後半）で知ったのだが、オウム事件が明るみに出る前、「マントラ教」という真言密教ではなくインド神話風の新興宗教団を描いてインドマニアだった俺の心を奪っていったのだった。あとは何故か「涅槃が見える～」のパンクラチオン篇。これにつきますな。ってゆうかこれだけ読んでればＯＫ！！
この頃からの独自のセリフ回しは変わっていないことを再認識。
「あああぁ、××が○○して、まるで△△みてーに……」
という感じで人体が瓦解してたりします（笑）
絵柄でだいぶ損をしてるよなぁ。このタッチも慣れれば味があるんだけど「うまい」とはいいがたいもんね。荒木飛呂彦チックな「ヘタウマ」領域の一つと云えるかもしれん。
しかし今回、あまりにもギーガーと宇宙人グレイそのまんまなクリーチャーはなんとかならんかいな？と思ってしまった。絵の技巧とデザインセンスは別もんなんだからもうちょっとがんばって欲しかったところだ。単なる奇書として埋もれさせてしまうのには惜しいと思うも、Ａ級にはなりきれないバタ臭さがつきまとう。ハリウッドムービーのようなノリの漫画にはなっているが大衆受けはしそうにない、そんな上下巻である。

『ＭＭＲ１３─The Last Research─』（少年マガジンコミックス）石垣ゆうき、読む。 - 99/10/16 00:00:00
本日の調子: マガジン編集部「泣くよウグイス」担当者なみ。

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＃１０月１５日
突然ゴシック調の表紙になって最後を飾ったＭＭＲ。格好良すぎるぞ、キバヤシ！（ラブひな担当＞違うらしい）
いやー、俺が学生の頃から延々続いていたＭＭＲ。作者が「ゆうき」さんであることから散々遊ばせてもらいましたよ、当時（笑）。
いつのまにかモノホンの世紀末かつノストラダムスの大予言の１９９９年７の月を迎えることになろうとは……。長生きはするものよのぅ。さすがにＭＭＲがどう動くのか気になっていたので少年マガジン本誌でもチェックいれていて、
「スーパーモスキートなんだよ！」ズガーン！
「人類滅亡の時、それは８月１１日だ！」ドギューン！んで、その週はマガジンお盆休み（笑）。
で、何喰わぬ顔で「８月１１日から始まるグランド・クロスなんだよ！」ドドーーン！
で何事もなく８月が終わったとたん「ＭＭＲは活動を休止する！この決定はくつがえされない！」ズドバビューン！あんたらいったい何者やねん（苦笑）
少年マガジン編集部実在人物が跳梁跋扈するこの作品、云うなれば「マガジン版・幕張」といえないこともないわけで、その幕引きが本家『幕張』に酷似することになるのはある程度予想ができないこともなかったわけで。（本当に人類が滅亡してなければな）
９月のメモ帳で「キバヤシー！１０年以上もやっててそれで許されると思ってんのかよー！」と叫んでいるがま、どこにも「ノンフィクション」と書かれていないし（「この作品はフィクションです」、とも書かれていないがな）編集部と読者が一体になれるメタな作品企画と思えば成功だったのではないだろうか。
連載開始時、二十歳前だった俺も今や三十路寸前。キバヤシさんだってナワヤさんだって年取ってるはずだし、十年といったらプライベートでも大きな出来事が幾つかあったはずだし、それらが漫画のキャラになった時点でもう「虚構」なのかもなぁ、と思ってみたり。
小中学生の多感な時期にはこーゆー「ムー的なこと」に敏感になってしまうものだ。ずっぽりはまって不安定な状態になってしまう子だっているはずだ。そーゆー子が一人立ちできるまでの補助輪としてこの十年間がんばってきたＭＭＲには拍手を送ろう。そう誰も川口浩探検隊を責める者がいなかったように、ＭＭＲだって責められなくても良いのだ。
我々にハラハラドキッチョとかカックンとかギャフンとかを与えてくれた。それだけで良いではないかと俺は思うのだった。
そしてこれは俺からマガジン編集部への最後のお願い。『ガリベン番長』単行本化して！

『リアルヘヴンへようこそ』（廣済堂文庫）牧野修、読了。 - 99/10/15 00:00:00
本日の調子: Piaキャロット店長なみ。

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＃１０月１４日
一瞬、新手のファミレス小説かと思わせるタイトルであったが、表紙のイメージ通りのグログロなホラーでした。かわいいウエイトレスさんとかも出てこないのでその時点で失格。
うーむ、ホラーがＳＦに代わって元気な昨今。やはり俺はホラーに向かないのだなぁ、と思った。
前にもホラーと呼ばれる作品の感想を書くにあたって、ホラーの作家さんやファンの皆さんにすげー怒られそうな辛辣な意見を何度か書こうと思ったのだが何故かそのつど気勢をそがれて書けないまま今日に至っている。この小説を読んだときもまったく同じ様な事を再び書こうと思ったのだが、最後の最後、牧野氏自身の手による付記を読むにつけやはり気勢をそがれてしまったのでやはり書けずにいる。駄目だよ、自分で超常現象の説明をすることを反省してちゃ（苦笑）。
小説的には物語に筋道が見えてきた第六天あたりからおもしろくなってきて一気に読めたけどね、それまでの舞台造りにいそしむ前半は「なんだかなぁ」な感じ。いや、ホラーなんだからＳＦやミステリのような筋道通った伏線ってことにはならないんだけれど。いや、これも幕張まで電車で揺られてなかったら途中で投げ出していたかもなぁ。
今ふと思ったんだけどジョジョってホラーの要素がたっぷりだったのね。映画の影響もあるけれど、視覚的・感覚的な恐怖の手法が盛り込まれていたんだなぁって気がする。
「徹底的に怖がらせようと思って書いた」そうだが、ジョジョの時と同様、視覚的イメージのグロテスクさがとっぴすぎて怖いと云うよりは「なんじゃこりゃぁ」的な驚きで思考が停止している間に次の展開が来ている感じ。これはこれで面白い要素だと思うのだが、作者の意図通りではないって時点でなんだかなぁ、である。
古い田舎の怪談話を現代の新興都市に置換したらこうなるってことで、浮浪者の扱いや電話やコンピュータや「毒電波」の使い方は面白いとおもうも、ＬＥＡＦのエロゲーの方が面白く思えてしまうあたり俺的には食い足りない感じだった。
『ＭＯＵＳＥ』以来、本格的に読んだ牧野修であったけど、うーむ、読み捨て用のやっつけ仕事に思えてしまったというのは色々評判を聞きすぎた俺の期待過剰だったんだろうか、という気がしますな。うむむ。

『レキシントンの幽霊』（文春文庫）村上春樹、読了。 - 99/10/14 00:00:00
本日の調子: おじゃま！ユーレイくんなみ。

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＃１０月１３日
村上春樹はやはり長編向きの作家なのだろうと思う。というか、俺の好みからいえばそうなるかな。
しかし、高級なビーフジャーキーのような感触があった。孤独とか恐怖とか不安とか、人間の感情のうまみだけをパックしたような、そんな味である。
あるいはフルコース料理の中の肉料理を単品でしかもいくつも食わされているような気がした。部分的には間違いなくいつもの村上春樹テイストなのだが、やっぱり前後がないとなぁ。ものたりないというか、中途半端で「感想」すらろくすっぽ云えないような感じ。飽きもくるしね。
人間の孤独とか恐怖といった感情を文章でいぶしだすという器用なことをやってのける作家だということに変わりはないんだけどねぇ。そーゆーわけで薄味でも長編の『国境の南、太陽の西』の方がいいなぁ、なんて思ってしまった。『ねじまき鳥クロニクル』ほどくどくない、『スプートニクの恋人』級のお話をもう少し量産してくれればなぁ、と思わされた一冊。でもなぁ、文春から出ている他の短編集２冊を未読だと認識してしまうとやっぱり読んでみたいと思ってしまうんだよな。
全体としてはこの前読んだディーノ・ブッツァーティの作風を思わせる短編集だった。嫌いじゃないけどそんなに好みではない、といったところ。ブッツァーティの「コロンブレ」や「スカラ座の恐怖」に似たテイストだと感じたけれど彼の作品で俺が好きなのは結局「戦艦”死”」だったりするからねぇ。
・レキシントンの幽霊…こーゆーエッセイだか虚構だが区別のつかない奇譚は結構好き。
・緑色の獣…一時期この手の寓話を書いてみたい時期があったが、どんな寓話より真実の一編の方が遙かに威力のあることを知った今では村上春樹の文章といえど評価は低い。
・沈黙…うん、やはり高校時代の孤独とか焦燥とか窒息感を生々と思い起こされるこんな文章が大好きです。村上春樹はこーゆー描写が何カ所か読めればそれで良いのです。そう、「イイ」と「良い（よい）」を使い分けたくなる、そんな気分が味わえれば。
・氷男…「緑色の獣」と味わう感情が違うだけで云いたいことは一緒。そーゆー意味ではかぶってます。
・トニー滝谷…こーゆー作品は人生の含蓄といったことについて考えさせられるな。
・七番目の男…さっき引き合いに出したブッツァーティの作品の読後感に一番近いものをもっている。ただ、うーんと唸ってしまう、そんな作品。せめてもう一番前の男だったら！（苦笑）
・めくらやなぎと、眠る女…そーなんだよ、こーゆー話がなんだか「感情を逆撫でされる感触」がして村上春樹らしくてやっぱ好きなんだよね。だからもっとこーゆーのばんばん書いておくれよぉぅ。

『トゥルーラブストーリーfrom君子─もう一度あの場所で─』（ファミ通文庫）玉井豪、読了。 - 99/10/13 00:00:00
本日の調子: 森下茜狙いでバッドエンドこいた直後なみ。

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＃１０月１２日
き、君子！お兄ちゃんは、お兄ちゃんはなぁ、、ＨＥＲ、ＨＥＲ、……
あー、やばいやばい。俺は妹属性ないんだから実際にはこんな状況でゲームしたことはありません。（って、他のキャラではやってるんかい？！というツッコミが入りそうだがあえて否定はすまい）
「トゥルーラブストーリー小説新シリーズ開始！」いったいこれはどうゆうこっちゃ？と思ったらなんと二人の妹キャラ、君子とみさきのお話だというではないか。二人とも一部の妹マニア（苦笑）には異常な人気があったからねぇ。
ＴＬＳ２はレギュラーギャルのパワーというか、平均値が低いのが難点で季節限定ギャルのポイントが高かったりするのでゲームバランスとしてはＴＬＳＲの方が良いですな。そんなんだからおのずとかわいい妹である君子のポイントも上がってしまうのだ。前作の妹みさきは容姿がやっぱしイマイチだったからなぁ。君子はその点をクリアしちまってるところが恐ろしい。どう考えても俺は深山早苗や波多野葵よりは君子と帰る方を選ぶぞ。しかも今回は「お兄ちゃんと一緒に寝る」というどう考えても妹属性を直撃するためのイベントとかも入っているので作り手のあざとさが見えてしまってなんともいやんな感じだったんだけどね。
そう考えると前作の妹、みさきは真っ向正面勝負で妹属性野郎を開拓し、あまつさえ「Ｒ」ヴァージョンで会話やデートのヴァリエーションを増加させることに成功しているのでやっぱすげぇのでは？とか思ったりする。新シリーズの次回はみさきちゃんの話のようなのできっと次回も買うのでしょう。いや、小説になったら俺的にネックなみさきの見た目がスポイルされるので結構楽しみだったりする。
あ、で、肝心の本作品の感想。
せつなさ大炸裂！！！
ご、合格だ！やるじゃん玉井、さすがＡ級射手！だてにマイ☆マイなどというポエミーなペンネームを持ってるわけじゃなさそうだな！今すぐにでも『ＭＹ☆詩集』でナンバーワン・ポエットになれるぞ。
いやぁ、ＴＬＳ２ではどうしてもヒロインになれないお笑い宝塚系少女、波多野葵というのがいるんだが、まじめに波多野の視点に立つとたいへんやるせない感じになるのだが、その生来のお笑いキャラ属性ゆえ、なかなか同情できなかったのだが、今回君子と同級生の早苗との関係をかすみと葵の関係と置換して描いているので素直に君子の切なさに同調、はうあう、これはりぼん漫画なのかぁ！という気分になる。
バカ！ばかばかばかぁ！男も女も鈍チンは嫌いよぉ！アタシの気持ちはどうなるの……。恋ってナニ？
まじめな君ちゃん悩みまくり、悶えまくりｄｅａｔｈ。しかしその裏で兄とかすみはうまっくいっているような雰囲気。恋愛はなぁ、悩んだら負けだ！くぅ、読め。読んだってください。

『住めば都のコスモス荘２─ゆーえんちでドッコイ─』（電撃文庫）阿智太郎、読了。 - 99/10/12 00:00:00
本日の調子: 改造中の仮面ノリダーなみ。

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＃１０月１１日
ほとんど漫画の代りに読んで笑いを得ている阿智太郎の電撃文庫である。結構刊行ペースも良くて楽しみにしてるところがある。
うーむ、やはり最初のシリーズ＜僕の血を吸わないで＞の方が「演劇部」ネタが板に付いていたせいか、「お笑い」のパワーはあったような気がするな。「マサルさん」と「武士沢」の関係に似ている。そう、俺はコスモス荘の方がネタ的には好きなんだけどね、作者のノリがイマイチ生かせない設定であるような気はする。まぁ、吸血鬼もヒーローものも「何でもアリ＆お約束で決まり」な点では同一と云えるかもしれんけどね。
とりあえず「ダメダメくん」な主人公が意味不明にもてる、というラブコメの定石は守っているんだけど、『らぶひな』や＜僕の血を……＞と決定的に違うのが、年頃のお姉さんの出演数である。朝香だけじゃなぁ。たぶん阿智太郎の趣味で「きれいなお姉さん」は出て来るんだけど、やっぱ同級生とかじゃないと萌えないだろっ？！（苦笑）
しかも今回最後で吸血鬼ネタ、おそらく無意識に展開してるし～(^^; まぁ、ここらへんの天然さが阿智太郎の魅力なんだろうけどねぇ。
腹抱えて笑える文章って結構貴重なんで、世間一般的な評価を抜きにして阿智太郎センセにはついていきたいと思う俺であった。

『おじさん以上恋愛未満』（ホットミルクコミックスＥＸ）鬼魔あづさ、読む。 - 99/10/09 00:00:00
本日の調子: おれはロリータ入っていないと主張する奈良なみ。

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＃１０月８日
ヤングキング・アワーズで連載中の『夜の燈火と日向のにおい』がおセンチ極まっていてちょっぴり俺のハートをつかんでいた鬼魔あづさだったが、まさかこぉーんなまっとうなエロ漫画も描いていたとは。みんな通ってきた道なのか？！（苦笑）
「ホットミルクに拾われて初めて書いた作品」とは書いてあるが、一体何年くらい前の作品なのかもわからんな。カヴァ絵に比べるとその稚拙で貧相なこと！初出が欲しかったところだ。
カヴァ絵のようなおセンチな感じを期待していたんだが、所詮「ホットミルクコミックス」ってことか。単なるお安いエロ漫画以上のものではありませんでした。近年の『夜の…』の絵柄でちょっぴりＨって感じの作品を期待していた俺が悪かった、ということであろう。エロ漫画の嗅覚は鈍いからねぇ。
でもショックだったのは後ろの方にある単発のエロ漫画の一つを俺はしっかり読んだ記憶があり、たぶん学生頃だよなぁ、と思うと絵が稚拙なのも無理ないっか、と思う。でもこの漫画は好きだったので覚えていたんだよね。まさか今こんな風になっているとは思わなかったよ。
でも結局『夜の燈火と日向のにおい』のコミックスを買いそろえる気はないんだよな、俺。アワーズで読んでいるだけで充分なんだもん。まさに雰囲気再生機って感じでストーリーだのなんだのって不要なんだもんね。

過去の日記(99/9/17～99/10/7)を見る

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