U-kiの読書日記(99/2/7～99/2/26)

U-kiの読書日記(99/2/7～99/2/26)

『七夕の国全４巻』（小学館スピリッツコミックス）岩明均、読む。 - 99/02/27 00:00:00
本日の調子: ヴァニラ・アイスと戦うポルナレフなみ。

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＃２月２６日
ありゃ、４巻がでてる、と思って購入すると、な、なんとこれで完結ではないか！
というわけで急いで読むも、なんだかつなぎ目があいまいなので前の巻を引っ張り出して結局読み直した。
結果、ううん、なんとも残念というか、期待がでかすぎたのだなぁ、という感じ。
全体としては『寄生獣』のまだどうしていいかわからない時期を差し引いた半分とみればままったく同じようなプロットになってしまっていることが残念。旗と七夕祭りの謎解きに終始してしまったぶん、無駄が多いようにも感じられる。南丸くんと幸子、丸神頼之の心のぶつかり合いを描いて欲しかったのだが、そこがさらりと片づけられてしまっていてなんとも物足りない。
ラストも予想通りで、丸神教授と江見さん、南丸くんと幸子ちゃんのその後もあんまり変わりがないところもま、それはそれで岩明らしいといえばらしいのだけどなんともフツーすぎて広げた風呂敷きの始末をキチンとしてくれなかった、みたいのがある。
「窓の外」と「カササギ」の片鱗が読んでいる我々の心をもっと激しく揺さ振る力を持っているように思っていただけに残念でならない。３巻を読んでいてどんどんエスカレートする展開に対して、劇場版のエヴァ２５話を突きつけて終わってしまったあの～魂の～ルフラン～状態に近いものがある（笑）
俺が凶悪なのかもしれないけれど、俺にあの球体が作れるとしたら、行きつく先はこの地球をまるごと「窓の外」へ叩き出す球体を果たして作れるだろうか？そして、実際に作ってしまうだろうか？といったところまでエスカレートしてしまう。丸神山だけを消すのなら、都市での実験は本当に「なんでもないこと」になってしまうわけで…うーん、イマイチ頼之の中の暗黒と絶望の深さが描き切れていないのでは？と思う。
いまさらマンガ技巧的な部分や、キャラクタの性格については語ることもなし、な岩明均である。つぎはもっと別のテーマで、あの『寄生獣』を越える人間性の揺さ振りを期待したい。シンイチのえぐられた胸、涙を流しながら後藤へとどめを刺すシーン、ラストのあの感動を越える次の作品、というのは難しいかもしれないが、期待せずにはいられない作家なのだから。

『SAMURAI SOLDIER』（世界文化社SEBUNコミックス）小林源文、読む。 - 99/02/26 00:00:00
本日の調子: 自衛隊員に生きがいはねぇ！のか？

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＃２月２５日
先日の『TOKYO WARS』に続く復刻第二弾。「バトルオーバー北海道」と「サムライ・バトル・イン・アフガン」の２作が収録されている。「北海道」は前はアンソロジーコミックスとして出ていたのだが、今回は源文１００％コミックスとなったわけでなんともめでたい。「アフガン」の方はまだ俺がコンバットコミックを定期購読していたころの作品で見るのはかなり久しぶりだが、結構細部まで覚えていて、彼の描く漫画のトラウマ度の高さを示している。「アフガンゲリラ」なんて言葉もうだれも覚えてねぇだろ。日本て平和だねぇ。
「バトルオーバー北海道」は、戦争が起るシチュエーションとしては当時最も可能性が高かった、ゴルバチョフ暗殺＝＞鷹派の台頭＝＞北海道占領というシナリオで、中学生の俺とかでも考え付く話だったわけで、その点からしても「レイド・オン・トーキョー」の本州をついてくる作戦はかなりスゴみがあったのだ。米ソ２大国に躍らされた日本、というシチュエーションも安っぽいが今見ると懐かしい。そういえば、少年マガジンに連載されてコミックス化してない漫画シリーズで『叛逆のモビーディック』というのがあって、これもソ連原潜による北海道占領の話で、青函トンネル爆破して、孤立させるところは一緒なんだけども、原潜からのミサイルで時計台をぶっとばしたりするリアリティ維持度ゼロさ加減は『黒豹列島』もビックリであった。（頼むよ講談社、そーゆーのこそコミックス化してくれ！）
この頃の源文の絵柄は少しすさんでいたかなぁ、という気がする。やってることは「レイド・オン・トーキョー」と一緒なんだけど、効果とか場面構成なんかもぜんぜん下手な気がする。ま、この作品があったからあの恐るべき作品があったのかもしれない、なんて思ったりもする。
右翼団体がテロリスト扱いで銃殺されるシーンや、「降伏する」という語の意味がわからずに射殺されるソ連兵、のどかな後方支援の若い自衛隊員の会話などに＜平和ボケ＞に対する相変わらずの源文節を感じる。まぁね、常に「備えよ」とはいわないけどね、中学生くらいの頃の俺の怒りと焦燥がここらへんの＜平和ボケ＞に向いていたのも確かなわけで、そういった「とがり」みたいなもんが今じゃすっかりなくなっちまったんだなぁ、とか思うわけですヨ。
この作品で理屈抜きに一番燃えるのはラストの７４式改リアクティブ・アーマー付きとＴ８０リアクティブ・アーマー付きのサシの戦車戦。『黒騎士物語』のノリに近い。ああ、黒騎士、もう一度読みたい（どっかやっちゃったのよ）。
これら一連の自衛隊リアル戦記を終えた源文は『ゲイツ』『ハイト』そしてアニメージュに『東京兵団』と続けざまにＳＦ戦闘アクションを展開し、「なんだよ、けっこうＳＦメカもいけるじゃん！」と思わせていたところに、宮崎某の腐れた平和イデオロギーに汚染された心無いアニメオタクどもからの剃刀入りメールボムや激しい抗議文の抵抗の前にあえなく『東京兵団』の連載は打ち切り。モデルグラフィックスなどで中村、佐藤といったキャラをそだてつつも、一時期筆が鈍る。そして数年後、満を持しての＜オメガ・コマンド＞シリーズを発表。しまいには集英社で源文漫画、という事態に及ぶわけである。
しかしなぁ、「この作品をすべての自衛隊員に捧げる」と、いわれましても！（笑）

『１４fourteen』（幻冬舎文庫）桜井亜美、読了。 - 99/02/24 00:00:00
本日の調子: そうdeath.僕が柏原芳恵death.（嘘）

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＃２月２３日
桜井亜美は『イノセントワールド』一本のみ評価し、以後の作品はゴーストライターの偽亜美ちゃんが書いていると思っているので「もう読まん」と思っていたのだが、「そうdeath.僕が酒鬼薔薇聖斗death.」のこの作品が文庫落ち、とあっては！と思って購入＆読んだが、結果は…
ぐぐぐ、かなり駄目。この俺的に最も評価低いランクの作品であった、としかいいようがない出来であった。
だってあんた、フィクション（虚構）が現実に負けた描写しかできなくてどうすんの？
ってゆうか、「現実は小説よりも奇なり」であるのが世の常である、といえばそれまでかもしれないが、ここまでキチンとしたネタを与えられて、生でかじった時よりもおいしくない調理をされたんじゃ誰だって怒るのではないか？
『蜂工場』の、フィクションのオトコノコの性の描写に、実在のこれだけの存在が描写負けしてどうするのか？俺が酒鬼薔薇聖斗であったなら、このヌルイ文章を「あなたに捧げます」なんていわれたら「ふざけんな、このアマ！貴様なぞ殺す価値もなし。歯牙にもかけんぞ、勝手に死ね！ガルッ！」とか思うこと間違いなし！
ここで俺の酒鬼薔薇事件についての思いやスタンスを語ることはそれはそれで難しいことだけれども、やってやれないことはない。しかし、この本は俺にそれをやらせるきっかけを与えるに至らないほどの出来なのだった。コイツを相手に俺の本体を顕わすこともなし、という気分にさせられてしまったのだ。
こーゆー難しいネタを、こー簡単に商業ベースの本のネタにしてしまっていいのか？とか俺が考えちゃうような作品じゃ駄目だってことだ。俺より上のランクの人を納得させる完成度がなければ、「軽はずみな行為」にしか映らないのではないか？
ま、名のある新聞やテレビでの報道では当然考慮されてしかるべき事柄が三流の週刊誌ではすっぽり抜け落ちているのと同じだと考えると「売れるモノを作るための卑劣な手段」として幻冬舎がこの企画を通し、それで誰からも何も云われないというのはこの社会の慢性病みたいなもんなのかもしれない。
こんな陳腐な小説のネタにされた、あの事件の街や、酒鬼薔薇の家族・関係者はいったいどう思うだろう？
この小説は酒鬼薔薇聖斗の８才から１４才に至るまでの視点で描かれている。そして当然の様にその期間に起きたショッキングな事件の描写が挿入されている。
陳腐な前菜がわりに小馬鹿にされた阪神大震災の被災者や、サリン事件の被害者はどう思うだろう？
―これらの表現はこの小説の完成度をあげるために使われた必要最小限の表現でした。本当はそう思ってないので文句はいわないでください―
という、巻末のとってつけたような言い訳はなんなのか。だったら最初からそんなことすんな、という感じである。本文で説得できないような質ならば、こーゆー「重い」ネタを使うなんてやめちまえ、と俺は云いたい。
９４年から某ＴＶ局に詰めて、あらゆる事件特番に付き合ってきた俺は、この小説を読んでいる間、個人的に今の仕事の思い出が走馬灯の様に脳裏にひらめいた。中継モニタに映る神戸の街から湧き起こる真っ黒な煙。オンエアルートに流せない悲惨な映像。それを見て神戸の友人に電話しようとマスタールームを飛び出した俺の目に入ってきた真っ白な東京の早朝の空。多分、関東大震災２だか東海大地震が起こって、俺が瓦礫の山にうずもれる瞬間が来たとしても被災地以外の人々は、それまでとなんら変わることのない日々を送るのだな、と感じたあの時の背筋の寒くなる思い。それを思い出した。
桜井亜美は所詮、酒鬼薔薇聖斗という局所的な地獄の外にいる存在でしかない。
そんな奴の書いた文章がいったいなんだというのか。上っ面の同情の言葉以上のモノになるはずがない。

さらには巻末の芹沢俊介の解説が抜群に駄目。
―おれとよく似た考え方をする人がいるものだという思いである―
あっそ、俺とは違う考え方のヒトもいるね。いちいちそういう人を攻撃してたら疲れちゃうね、意味ないね。と普段なら思うトコロだが、相手がプロなら話は別だぜ。ＦＵＣＫ、ダメ、死んで。あんたタマナシのヘナチンくんだね。あんたそれでホントに飯食ってんの？君の読書感想文なんて誰も読みたくねぇんだよ！ちゃんと解説しろ！！って感じ。
ま、俺が騒いでもしかたないやな。
そんな彼の解説だが、一点だけ良いことが書いてある。
少年と少女は破壊のベクトルが逆である、というのは良いやね。その方式で桜井亜美が『ガール』をまんま男女裏返しにしてこの『１４』を書いている、というのは結構正しいかも、と思ってしまった。そうか、そこがこの作品の気持ちの悪いトコロだったんだと納得する。
所詮桜井亜美が書いた創作そのまんまの酒鬼薔薇聖斗であるなら、そのリアリティを含めて、属性情報もその他の作品そのまんまである、ということに尽きる。
『イノセントワールド』以降の彼女の「フィクション」に付きまとう、厚手のコンドーム越しのセックスみたいな不透明で手応えのない触感はそれが受け側の視点であろうと攻め側の視点になろうと結局変わっていないのだ、ということだ。こーゆーネタは如何に「生々しく描くか」が命なので、もはや合格基準を著しく下回っているのだった。ゴム手袋ごしにしかつかめないネタなら最初から扱うな、ということだ。
まぁ、『イノセントワールド』の彼女とそれ以降の彼女が同一か？という俺個人の抱く疑惑はどうでもいいとして、彼女、作家として今後もやっていくにはもう一段、成長が必要というか、皮が剥けないとだめなんだろうなぁ、と思う。
特に誰にも読むことを推奨しない本です。ハイ。

『球形の季節』（新潮文庫）恩田陸、読了。 - 99/02/23 00:00:00
本日の調子: ショック！恩田陸は女だった！（って、もういいか）

コメント:
＃２月１７日
人には球形の季節がある。
２５過ぎたあたりだろうか。妹にいわれた。
「お兄ちゃんは丸くなったよね」
思わず苦い笑みがこぼれる。そうだな。兄ちゃんはちっとも丸くなかったよな。
皆が球形の季節を送っていた時、俺は『スチールビーチ』の表紙ぐらい歪んでたんじゃなかろうか？
読んでいてぷんぷんと匂う、あの頃の匂いがたまらない。
そうだよ、確かに十数年前、チャコのいうところの「ゲロ吐きたくなるような」男子高校生だったよ、俺は（笑）。

谷津という町は東北の非常にアレ系なアレの典型的なアレであり、別名「南東北」の異名を取る栃木に生息していた俺としては非常にノスタルジックなのだった。盛岡まで出れば、っていう表現がたまらないのだよ。衛星市街の住人にとってはね。
そこにつっこまれたもう、鼻つまみたくなるほど匂いたつ、２つの男子校と２つの女子校の生徒たち。ああぁ、萌えるシチュエーションだわ（笑）。ここまでで俺的に「つかみはＯＫ」なのだった。あとは「そうそう、よぉっくここまで高校生の生態、観察＆表現してんなぁ」という感心のみでぐいぐい読み進んでしまった。
一週間前に読み終わっていたんだけどモロモロあったし、全然感想がまとまらなかったこともあってほったらかしにしてあった。（げ、そしてまる一週間、何の本も雑誌も読んでいないのか＞俺）
前は思いついたことをつらつら箇条書き風に並べて「ハイ、感想」とかやっていたんだけど最近、一応「見られること」を前提にしているのか、書けないときは書けないんだよねぇ。欲張ってきた、というのは良くないことだな。
でも、今回うまく「感想のストーリー」が組み立てられないのは、この話自体のストーリー構成というものがなってないからでは？という気がしてきた。ま、他人の意見を聞いてようやく気がついたしだいなんですがね。
しかし、俺は物語とはそのパーツ、パーツの出来であり、ギミックであり、物語の全身像に完成されたもの、というのは求めていないので異様に評価が高いのであった。
うーん。冷静に考えたら「物語」としては駄目だよなぁ。なんかアルバムやスクラップブックに近い感触かもしれない。
ブギーポップや小夜子と比べてしまう自分に気が付く。うーん、発想が貧困だよねぇ。比べたってしかたがないけど、どうしても連想してしまうんだよなぁ。
「学園」系で思春期の内省や不安を物語の上で＜実体＞としてしまうやりかたに、酷くノスタルジックな刺激を受ける、というところで共通なのかもしれない。すっかり忘れてしまったと思っている「あの頃の自分」があぶくの様に心の奥底から浮かび上がってくる感じに酔っているだけなのかもしれない。というわけで、そういう装置的な作品に最近やや入れ込んでる傾向はある。ブギーの感想にも書いたけど、そういう部分への終着がない人にはまったく評価されなくて然り、な作品かもしれない。だけど、俺的には一文一文が「そうだよなぁ」とか「なつかしい」とか「すげーよ、よくぞここまで」って感じで読んでいて楽しくてしかたがなかったんだけどね。
正直に言えば、最初の１章を読んでしばらく時間を置いてしまったのだ。で、２章を読んで、「お、おおっ？」と思い、スタンド使いがぞくぞく終結してくる中盤には嬉々として読み、で、後半一気に「語り」が入って揺さぶられちまったのだ。いや、「ふくだや」のおばちゃんもまさかスタンド使いだったなんてねぇ、痺れますよ。
読了時に思ったのは、第１章読後のあの読みづらさは一体どこへいってしまったんだ？ということ。一冊でこんなに感情のバラツキが出た本ってーのも珍しい。
―いつの間にかこんな違った生き物になってしまった―
といったチャプターの付け方が秀逸。バラードなみね！基本的にチャプター寸断された作品だと読めるオイラは根性無しなのかもしれない。
読後ネット巡って入ってきた情報も千差万別。まるで「うわさのアンケート結果」みたいだった。
俺も結局「自分」しか信じてない（最近自分も信じてないけど）ヒロノリ型、なのか。
世界はみのりの側にあるんだ、という敗北感はあったなぁ。

ま、そのベタ誉めのパーツについても不満がまったくなかったわけでもない。というか、不満ではある。晋くんの正体を静の口で暴く必要はなかったじゃん、ジンさんとのやりとりでもう充分だったし。マサルのパートと石から指のくだりはラストの盛り上げのためのレトリックとはいえ不要だった気もするなぁ。他に手はなかったものか？ぐらいが不満なトコロか。
＜あの場所＞については具体的に書く必要がなかった気もする、というのが一番の不満である。でもなぁ、具体的に描写しなきゃ話にならねぇ気もするが。
終盤、「跳ぶ」「進む」という表現で「あちら」と「こちら」がちらちらと交錯するわけだが、俺は＜あの場所＞なんて皆がわかっていて、あまりにあたりまえすぎて言葉にできない、あるいは説明する必要がないものなんだと思う。
世の中、そういったものごとがいかに多いかをちょっと考えてみれば良い。
中学の頃誰かが云った。
「なぁ、最初に『ウンコ』って言葉を考えたのは誰なんだろうな？」
「そうだよな、言葉としては新しいほうじゃねぇの？」
でも結局俺達にはわからなかった。
子供の頃、いろいろな人に聞いてみた。
「最初に＜にんげん＞って言葉を使ったのは誰なの？」
誰一人答えてくれる人はいなかった。
そんなのが我々の世界なんだ、と思うと高校生の頃、俺のゼツボウはいっそう深くなった。
この世の中は百万人の社長を排出できても、たった一人の神のような人間を排出してはくれないのだった。
俺は天才ではなかったが、大勢の百万人の社長予備軍であるその他一億人とは違う生き方をしよう。そう決意したのだった。
世界に一人ぼっち作戦の始まりである。
ヒロノリの云う「自分は特別な少年ではなかった」ということを、俺はガンダムのアムロの年齢を越えた時、それを痛感した。そして、いつしか少年ですらなくなった時のあの絶望感と焦燥。
このまま老いていく、平凡である、という「生きながらにして死んでいる」「面白くもないがそれほどひどくもない約束された未来」に対する閉塞感。それを文章でびしっ、と書かれちゃったのは始めてかもしんないので（ブギーのその感じよりも露骨だけど臭みがない）かなり萌えてしまいました。
俺は「ミンナと一緒で安心症候群」な人ではなかったんだけども、あの時期は「自分は他人と違う」って思ってる時点でミンナ一緒ですからね（笑）。
あの人生の夏のような季節はいつまでも続いて欲しくもあり、さっさと終わって欲しくもあるが、ほっておいても終わってしまうものだから、せいぜい終わりが来る前に精一杯あがいておくのが良いのだ、と俺は声高に云いたい。
静は云う。
「みんな勝手に宇宙人になっちゃえばいいんだわ」
オトナになるってのは人間になることです。それまではミンナ、宇宙人です。
赤ちゃんが白紙だとすれば、義務教育期間を経てようやく平面から立体になるわけで、そんな状態を恩田陸は「球形」と呼んだんじゃないだろうか。屈折して鬱積して頭も体もボコボコに変形してる最中だけど、心はどこか純粋なまま、だから球なんじゃないのかな？やがてぼこぼことその球は歪んでいって、おたまじゃくしがカエルになるみたいにいびつな大人になってしまうとさ。
ジンさんが思う＜進化＞の夢を俺も見た。
ユミは最後
もしかして、この場所こそ”進んで”いるんじゃないだろうか。─以下略─
と、思うわけだが、いやね、まさにそりゃそうなんだって。
この場所が”進んで”いる場所なのは間違いがない。大人はいつだって子供や若い世代を理解できないでいるではないか。「××世代」「××っ子」あげくの果てには「新人類」なんて言葉が流行語になったこともある。そりゃそうさ！俺達はアンタ達とは違う。同じ場所で違う時間軸に生きているんだ。最初に「時間」のことを考えたのは誰か？そんなことは考えずに時間を利用してるくせにそれがもたらす当たり前の変化に人は戸惑い、説明を求める。確かに恩田陸の云う通り、季節の変化に毎度驚くフツーの人々で世の中はいっぱいなのだ。ソクラテスだって「最近の子供は礼儀知らずで、何を考えてるかよくわからない」って云ってるんだよ！（笑）いいかげんミンナ気付け。ヒトとはそーゆーモノなんだ！
俺達は三葉虫やアンモナイトと同じだ。
もう進化の袋小路の奥の奥まで来ちまって、もはや生物としては先がない。精神的に右巻きと左巻きのがいたり渦まいてないやつもうようよで、似ているが一つも同じ物はない、何通りもの破綻して、歪みまくった類似品の集まりなのだ。ある日突然滅びて、＜人類の次に来るもの＞が俺達の化石を見てその繁栄と衰退に何か思う、そんな存在なのだ。
（ああ、なんかまた話がブッ飛んでしまったな……）

しかし、本との出会いは本当に不思議だ。なぜこの本手にとったんだろう？あんまり絶賛されてるページ見たわけでもないし。
『六番目の小夜子』だってこれが七番目や八番目だったら絶対読まなかったしなぁ。
これって『学園モダンホラー』としか言いようがないのか？それってとても日本語が不自由な言語だってことだよなぁ。悲しい。俺もなんていったらいいのかわからない。ジャンルというものそれこそが不毛だ、ということか。
またしても使ってしまう表現だが、「こんな小説を俺は書いてみたかった」のだ。
全国の百六十六万人はいるであろう、悶々とした思春期を送っている中学・高校生、モラトリアムどっぷりこんの大学生諸君に対する「慰め」みたいなモンを。
結果として『球形の季節』はそれを為し得ていない作品だ（苦笑）。
でも、今の俺にはたいそうな慰めになった。（それってあんま意味ねぇじゃん）
というわけで、久々に「ありがとう」と云わせてもらいたくなった本だった。
結局まだ、本に救われてるんだよな、俺って。

『ロケットガール』（富士見ファンタジア文庫）野尻抱介、読了。 - 99/02/16 00:00:00
本日の調子: 艦長代理に任命された古代進なみ。

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＃２月１５日
ジーン・クランツの出動を要請するッ！
っつーくらい燃える。（萌えるではない）久々に読んだ「まっすぐな気持ちで宇宙へＧＯ！」小説だった。
いやー、てっきりタイトルから予想してたのは背中にロケット背負ってアレするよーな話かと思ってたんですわ。もしくは「時は宇宙、所は未来、愛機ホットニードル・インクワイヤー号を駆る二人の美少女海賊…」とか勝手な妄想というか先入観があったんですけどね、やはりあの野尻掲示板のいよーにハードな内容を見ての通り、やはりそーゆー話ではなかったんですな（笑）。
最近「アポロ１３」をテレビでとはいえ、見直していたのもタイミング的にはＧＯＯＤかも。俺はこの映画を劇場で見た時、ノヴェライズ（原作？）も読んですこぉーしだけ、「宇宙飛行」について知った。アポロが月面着陸した年に生れた俺は宇宙へ行くことをあきらめた人類だったのだ。宇宙で大ピンチというとなぜか「アポロ１３」しか思い浮かばねぇ。ロケット発射シーンというと「ライトスタッフ」とかじゃなくてなぜか「ロボジョックス」とかしか思い浮かばねぇ時点で終わっているといえよう。そんな俺には５０年代あたり、クラーク先生あたりの「宇宙は僕らのあこがれだい」的小説なんて読めやしねぇのだった。（オーヴァーロードとか巨大クラゲとかは好きだったんだけどねぇ）
日大理工学部には「鳥人間コンテスト」とかで一部有名な「航空宇宙学科」というのがあり、（＜航空宇宙軍＞ではない）、いちおー俺ってばそこ志願したんだよねぇ。あのころまだ「サイバー」って感覚がなかったわけで、コンピュータとロボットと＜未来＞っつーとロケットとかＸシリーズとかブラックバードとかの超高々度偵察機とか戦闘機とかにしか「現実」には目が向かなかったんだよねぇ。本当はムー民で「神とはなんぞや！」で伝奇野郎で尊敬する人、ニーチェとかやってたんで哲学科とかにも行きたかったんだけど、理系と文系どっちにする？でロボロボしい方をえらんじまったからなぁ。早稲田の加藤一郎教授に師事できなかった時点であきらめりゃいいのによぅ。あ、それで俺はどうなったかというと、航空宇宙学科は落ちて、二次志望の精密機械工学科に入学したのだった。理由は「ロボっぽいから」だった（笑）。（余談だが、航空宇宙学科に入っても航空宇宙関係の仕事に就ける人はすげー少ないデスヨ。みんなカメラ屋か車屋になってますヨ）
というわけで、ロケット、ミサイル、好きなんだけどきちっとメカの構造的な部分や物理的・化学的な部分への理解が足りてない俺は＜エセエフ＞な男だったのだ。ＳＦ小説って理系と文系の融合した結晶だと思うんだけどね。（それで走った先がバラードやゼラズニイってのもなんだか(-_-;）
とにかく字数が少ないのにこれだけ説得力＆緊張感があるのは凄い。自分で読み進むスピードにびっくりしたがこれは字数が少ない＆文章が読みやすい＆面白いせいだろう。文字の多い本が苦手な少年少女に宇宙へ行くハラドキを伝えるにはベストな本かもしれない。しかもハードＳＦしてるしね。「正しい科学のＳＦ」って最近少ないかも、だもんね。理屈抜きで指から火球出した方が派手で楽しいからかもしれないけド。
それにしてもオンナノコって軽いんですね。やはり実物に触れてみないと実感が湧きませんな。乳と尻が２、３センチでかくても１Ｋｇちょっとしか違わないなら、女子よ、太れ！（ああ、なんか最近品位がさらにダウン…）
小型・計量・高性能で女子高生が宇宙飛行士、という引っ張り方でここまで見せるのはすげーです。でもそこから「与圧服のサイズで彼をパイロットに任命したというのかね？！」な、ミッチェル・ガントinファイヤー・フォックスを連想してしまう俺って全然駄目。
しかしなぁ、アポロ十三（じゅうぞう）よりひっでー状態に陥りながらあっと驚く展開で生還しちゃうのには脱帽。よく考えると「派手」な展開もあるけど、俺は頭悪いので「うっそでー」とか思わなかったしな。
くぅ、しかもラストのラストは『１９８Ｘ年』のノベライズを思い出させるわい！黒豹みたいに簡単に宇宙に行ってルガーをバンバン撃ちまくってしまうような話が多い中、何か失ってしまった「ホッ」を見つけたような作品だった。
いやー、最近ブギーのおかげで電撃文庫には縁があるが、富士見ファンタジアはスゲー久しぶりではないだろうか？おかげで挿し絵と表紙の感覚が違う、なんて的外れなことを最初に思ってしまった。ひょっとして真剣に富士見ファンタジアを読むのは『ＳＯＭＥ－ＬＩＮＥ』以来、馬路で８年ぶりくらいじゃねぇのか？これじゃＹＡ文庫についてなんて語れねぇよなぁ。
オンナノコを出してるにもかかわらず、いわゆる「キャラ萌え」狙いで書いていないのが良いですな。でもソレ系ゲームにどっぷりの俺としてはゆかりのキャラがあまり見えないのでちょっと不満。というか、普通の小説ってこれくらいなもんだったかな。
それに対してマツリは良い、けど終盤近くならないとわりとただの原始人止り。ってゆうか、俺的にはただのチャイネシア人。（でもゆかりちゃんよりは好き好きだね）脇役のさつきさんや那須田さん（このネーミング！）のほうがキャラとしては立っていたね。ゆえにもうちょっと、もうちょっと書き込んでもよかった気がする。ここらへんはわがままというか、微妙なトコかもしれんけどね。（続編ではどーなってるんだろ？？）
うーむ、以前「２箇所だけ物理法則違反があります」って教えてもらったんだけど、あそこかな？とりあえず俺はハード寄りではないので全然わかんなかったッス。（先輩のＳ氏に聞かないとなーんもわからん）ラストでマツリが生きてたトコかな？あれは死んじゃってたらシャレにならんしなぁ。（死んだと思って半泣きになった自分が許せないだけだったりして）
あと作品的には全然関係ないッスが、＜露助＞、という単語を俺と小林源文以外が使うのを見るのは超久々。いいねぇ、光ってる日本語だねぇ。挙げ句にホモだとは！！！（個人的に大ウケ！）
９４年のドラゴンマガジンに連載か。いやはや、モロ俺の「ＳＦの空白」の期間じゃん。あとがきで野尻さんも嘆いているけど、限りなく現実に近い物語ゆえ、現実に似た出来事がいっぱい起きちゃってこれも「現実に追い越された」小説になっちゃったのね。
でもこれは間違いなく一級の＜フィクション＞なわけで。エンターテイメントなわけで。
んー、でもね、やっぱし続編を読むか否かはしばし保留なのだった。
この調子で笹本さんの＜彗星狩り＞でも読んでみるかな？
最後に一言。「グッバイ、ミール。いい船だった」byトム・ハンクス。

『乙女ごころ・夢ごころ』（りぼんマスコットコミックス）柊あおい、読む。 - 99/02/15 00:00:00
本日の調子: かすみちゃんにトドメ食らった司くんなみ。

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＃２月１４日
！思い出したぜ。
あおい先生のマイモストフェイバリット、『乙女ごころ・夢ごころ』の表題作はバレンタインの話じゃねーか！というわけで読み返してみる。
無論、これは最近買ったのではなく、高校生の頃、妹からしょっちゅう拝借して怒られたので大学に入って自分で買ったのだ。（妹のパチるわけにいかなかったからねぇ）
というわけで自力で買った最初の少女漫画コミックスだったわけだ。あの頃の俺は「こぉーんなもん恥ずかしくて買えるか！」って感じでエロ本もろくに買わなかったので（でも容赦なくフランス書院文庫は買っていたような…）まだ恥じらいがあったわけですな。
無論！再読するまでもなく脳内に焼きついているが、覚えているものを再入力することに意義があるわけで、再チャレンジした結果……くくく、、、
悶絶！
宇都宮県立美術館の造詣とかを思い出し、高校時代のあんなコトとかそんなコトとか、
なんで進学校には女子がいねーんだよ、栃木県のバカバカバカ！とか色々思い出し、なんだか悲しくなってきたので寝る。
うーん、この本の中では実は超絶対的にお気に入りなのは実は「春風のメロディ」で、通算５万回くらい読み返している。女々しい。女々しいぞ俺。しかしまぁ、ハタチぐらいの頃とはさすがに読後感が違うよな。もうあまり女々しくないぞ、俺。
下の新人まんが選集の一条ゆかりのコメントの「少女漫画すぎる」という評価が非常に的を射ていると思う柊あおい作品。「彼女の漫画はういういしいところがウリ」というのもうなずける。でもこの一冊はもうウイウイがウヨウヨ詰まっているので読んでいて耐性が無い者は即死間違いなしなので服用には充分注意していただきたい。ってゆうか、これを目を背けずに読めたモノとだけお友達として付き合っていきたい感じ。
あ、でもＮくん、君のように「全然平気、なんでもないですよ」ってゆうオセンチさのかけらのない人も勘弁してほしい。
しかし、さすがにくたびれてきたなぁ、この本。もう一冊新しいのを買ってくるか。
愛、それはけして後悔しないこと。あるいはけして公開しないこと（爆）。
青春、それは後悔の積み重ね。あるいは反省のため公開してしまうこと（核爆）。
俺の青春よ、フォーエバー！

『虹を渡る７人』りぼん新人まんが傑作集【３】（りぼんマスコットコミックス）一条ゆかり・編、読む。 - 99/02/14 00:00:00
本日の調子: 子供の頃、漫画家ってけっこーなりたい職業じゃなかった？

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＃２月１３日
ああぁ、あーみん収録の【２】が欲しかった、っつーかbook-offに一そろいあったのでＧＥＴしようとしたら３、６、７しかなかった。６、７あたりはもうまるで縁のない人だったんであおいちゃんが収録されたこいつをとりあえず捕獲。
ぐぉっ！いきなり柊あおい先生のプロフィールがッッ！これは貴重だぜ。
って、俺は当時のりぼんとかりぼんオリジナルで見てるはずか。
これが一時期「全国百六十六万人の乙女のバイブル」といわれた『星の瞳のシルエット』の本体かぁー。妹も「デビュー時の絵柄の方が良かった」といっていたっけ。確かに。これはこれで味がある。最近の丸くなってしまったキャラを見て「ヘタになった」という意見も聞く。うーむ、あくまでキャラデは「味」であってうまいへたではないと思うんだけど。人によってはデッサン力とかでなしに好き嫌いでうまいへたとか云うからねぇ。
北崎拓の絵はヘタで小林源文の絵はウマイ、とかっていわれちゃうと困るよ、正直。
でも逆は聞かねぇな、源文漫画、嫌いっていうのはきいたことあるけど。それは劇画に慣れてない漫画読みの人だよな、うむ。ま、そのジャンルにあった「絵柄」というのはある。水彩に向くタッチと油彩に向くタッチがあるようにね。
なんか話が逸れたが、デビュー時（「コバルトブルーのひとしずく」は大学生で本屋さんの話で、実は好き度・大）のあおい先生の絵柄は「少女漫画らしい」タッチでそれがこなれてくるにしたがい、汎用なタッチになったのでうちの妹は不満になってきたんだろうなぁ。そーゆー意味だと、この新人まんが傑作集なんてみーんな似たり寄ったりな「タッチ」ではあるよ。だからここから「才能」がある漫画を発見してくる選者の目というのはスゲー、と思うんである。
さて、あおい先生と同期？は吉住渉、さくらももこ（ココでさくらももこを発掘した奴はやはりスゲー！よ、やっぱ）、矢沢あい、などなど。ということを考えると俺って幸せな時期にりぼんを読んでいたのでは？という気になってくるよなぁ。こやつらのデビューを見てるんだからな。でも確か俺が中学の時一番エキサイトしていたのは「月の夜・星の朝」だった気がするが、それについての記憶はほとんどない。映画になってヒロインがあのメタルダーの仰木舞だった、っつーくらいよのぅ。
一条ゆかりの辛口コメントを読んで思い出した。俺、この本読んでるよ…。妹め、このシリーズ買い揃えていたんだっけな？ま、気長に１、２、４くらいは探してみることにしましょ。

『ＳＦバカ本・白菜篇プラス』（廣済堂文庫）岬兄悟、大原まりこ・編、読了。 - 99/02/10 00:00:00
本日の調子: 歌って踊れるＳＦ作家、大原マリ先生というネタもなつかしや。

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＃２月９日
いいねぇ、イイッスねぇ。かつてＳＦＭで特集があった「バカＳＦ特集」の日本版のようだ。小学生の頃初体験した星新一や小松左京、ヨコジュンといった人たちのショートショートを見て、それはそれなりに面白かったけど、まじめな「オチ」をつけた話ではなく、ほんとに「バカらしい」作品も多々あって、この種のバカさ、というのは俺的にＮＯ！になっていたのだ。で、のちのち出会うバラードやイアン・ワトスンやコードウェイナー・スミスやベイリーの「驚くべきバカさ」あるいは「ギャフンおち」に開眼し、こぉーんなページをやっているわけだ。この本のついてくるバカさ、は俺が求めているバカさ、に非常に近いものだった。なぁーんだ、みんなやる気になればできるじゃん、という感じでこの趣旨を誘導した岬・大原夫妻に俺は拍手を送りたい感じである。
大原まり子の作品は星雲賞も受賞し、この「バカ本」も次々と刊行され、文庫落ちしてる状況を見るとやはりＳＦ者は基本的に「バカＳＦ」を愛しているんだなぁ、と思う。
巻末の四分の一が対談になってるんだけど、話題もＳＦ者が集まったらこーなるだろーみたいなネタがあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりで見ていて楽しい限り。コンベンションとかでしか聞けない、いや、もっと個人的な飲み会でしか聞けないネタかも。結構貴重だと思うなぁ。
「短編を書きたいけど場所がない」とか、アンソロジーに対する思いなど、俺の個人的な思いと通じることが多々あり、こないだのＳＦ者ＯＦＦじゃないけど、なんか話す場さえあれば色々作家サイドからも読者が求めてるニーズに近い意見が出てきて結局折り合いが付かないのは出版サイドとかゆー構図が浮き彫りになってくるかも、という気がしてきた。ま、出版社の人をつるし上げても何も結果がでないことは明白なんだけどね。
＜異形コレクション＞（ぐぉ、これも読まないと）と並ぶ、アンソロジーシリーズの収穫だと思う。日本ＳＦもまだまだ捨てたもんじゃない、ってことでしょう。
アンソロジーの持つカタログ的、というかフーズ・フー的な意味合いは今回、俺にとっても意味があった。森奈津子さんって知らなかったけど、「地球娘による地球外クッキング」はおもしろかったもんなぁ。知らない作家との出会いにアンソロジーは最適なんである。
作家によって短編・長編、それぞれ得意な人がいるわけだけど、あの作家のこんな一面、みたいのが簡単に読めるわけで、やっぱアンソロジーは良いです。好きでやってるのかどうかわからないけど、短編ばかり書いていた作家さんに久々に会える、というのもうれしい気がする。
私が学生だったころ、実際の電脳と小説の融合の先端を走っていた東野司がすっかり岬・大原に追い抜かれているところがおもしろ悲しいかった。この世界、足踏みしたモンが負けるのね。東野圭吾のおかげで「とうの」より「ひがしの」のほうがメジャーになったと嘆いていて笑えた。こーゆーホンネって良いな。ファーストＳＦ映像体験とかも面白かったです。小説だけではこーゆークロスメディアな話題が浮かんでこないですからねぇ。
で、一番良かったのはなんにせよ、「ノストラダムス病原体」。んー、まんまだけど、こーゆーストレートなパロディってもの最近のプロは書く場がないと思うので結構新鮮かも。ＳＦＭが「固い」イメージがあるからねぇ。やはり＜発表の場＞としてのこの＜ＳＦバカ本＞の存在はこの上なく貴重なモンである！と認識するのであった。
でも最後に、正直いうと、……うーん、ちと下品すぎな気も（笑）。ＳＦファンなんてどーせミンナもういい年こいた大人なんだろうけど、もちっと子供が読んでも感心できる倫理レベルで「バカ」をやってほしかったかな？これじゃ居酒屋の馬鹿話だって（苦笑）。

『トゥルーラブストーリー２　一学期　いつか見た夜空に……』（ファミ通文庫）玉井豪、読了。 - 99/02/09 00:00:00
本日の調子: タイタンのゲームプレイヤーなみ。（意味不明）

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＃２月８日
くぉっ、正式タイトルをパンチしただけで耳まで真っ赤になりそうだ。
カバーはゲームと同じ絵柄だけど、手にとって中見ると、全然違う絵柄なのでご注意（笑）。この人はＴＬＳオフィシャルアンソロジーコミックスで描いていた人ではなかったかな？？
くくく、楽しませていただきました。
まぁ、ＯＮＥの茜のノヴェライズでオンナノコ側からの視点で描かれていることがかなり好評だったのが記憶に新しいが、トゥルーラブストーリー２（以下ＴＬＳ２）のこのノヴェライズもヒロイン（＝いうなれば藤崎詩織級）の少女、森下茜（ぐぉ、また茜だ）の視点から描かれた物語になっている。
実はＴＬＳ２はまだプレイしていないのだが、おそらく前作ＴＬＳとほぼ同じゲームシステムであると想定して読んでみた。前作が春夏秋冬の４つの季節ごとにプレイ可能で、レギュラーのオンナノコ＋季節限定のオンナノコ、という配置だったのに対して今回は３学期ごとにプレイ可能で、学期限定のオンナノコがいるようですな。
で、買った動機はトップページ対策だったんですが（自爆）、ファミ通文庫なるものの存在を知らなかったこともあり「ひやかしで買ってみるか」という感じであった。
で、読んだ結果、予想以上におもしろかった。
というのも、ＴＬＳの主人公＝プレーヤーってゲーム中のオンナノコから「こぉーんな風にみえるんだ」という新しい発見みたいなもんがあったからだ。
ＶＮ（ヴィジュアル・ノベル）形式のゲームだと、おのずと「主人公像」みたいなもんが浮かび上がってくる＆せいぜい実名に書き換えてのプレイが限度で自分の投影率って意外と低い。けど、「恋愛シミュレーション」って自分度が高いので主人公＝プレーヤーのゲームで与えられる属性って低いんだよねぇ。しかもＴＬＳの特徴はときメモの「自己育成型」に対して「ミッション対応型」。攻略する目標に合わせて搭載する装備＝属性をあらかじめ設定するユニークなシステムだ。一体それがどう出るか？
すげーあざといよ、このオトコ！（笑）
だってだって、茜が行く先々に現れて、ポイントの高い発言していくんだぜ。趣味とかもあってるしさ、友達にも根回ししてるし。ポイントはストーキングしてるんじゃなくて、先回りして既に待ち構えているトコ！新手のスタンド使いか、お前は！！！
こぉーんなことされたらどんな女だって意識するようになっちゃうって。
中・高生の頃なんて空間的に近い場所にいて時間的に長く居る相手に情が移ってきちゃうんだから！（あ、これは大人でも一緒か（笑））
挙げ句に「あー、もうたまんないわ、コクルのよ！でないとワタシ、ヘンになりそうだわっ！」ってこの気のつえー女が決断した瞬間に
「ゴメン、俺ってば転校します。しかも黙ってな！」とくる。
そりゃ泣くさ！どんな女だって泣くよ。泣き入るよ（笑）
まるで「…わたし、できちゃったみたい」「…おろせば？」の超ロマンチック版！！（意味混乱）
…ということがとぉーっても良くわかるので、へんな期待をせずにＴＬＳ、もしくはＴＬＳ２をプレイしたことある人は素直に読んで、プレーヤー（自分）の所業のヒドさを知ってください（笑）。
そーいや、茜ちゃんは死人に操立ててるんだよね。フィクションでは良くある話だが、現実でも良くある話なんだろうか？俺は死人や遠くへ行ってしまった人に操を立てるのは美徳ではないと思うんだよなぁ。それが何年も続いちゃうとそれだけ人生無駄になるからねぇ。もっと世の中にはそーゆーのが間違いだと啓蒙する文章がでまわるべきだと思うんだよね。中・高生なんてバイク事故だの病気だの自殺だのでけっこうバンバン死んじゃうんだしさ。でも、そーゆーのを引きずってる事って他人に話す機会がないのも事実だよなぁ。もっと姫野だのオオケンだのとかがガツンとそーゆー輩の目を覚まさせる文章とかをバンバン流布してほしいよなぁ。俺も加勢するぞ！
で、表紙にいる二人の今回の脇キャラ、一人は丘野陽子。居た。こーゆー女。でも、水棲人類か？と思うほど泳ぐのが好き、制服の下は水着ってのはイキすぎな感じも…。俺は男子高だったからこーゆーセーラー服の下水着ってのが可能なのかは謎。中学生の時はスカート捲り対策でみんなブルマーはいてたけどな。ある娘は「あれは蒸れるのでよろしくない」とつぶやいていたが。
もう一人の沢田璃未は転校の連続で別れがつらいから誰とも仲良くしない…ってんなの小学生のネタだよ！夏休みの読書感想文課題図書とかのテーマだよ！ふつー１３回とか繰り返して年齢１５，６になってりゃ達観してるって。俺の昔住んでた町なんてミンナ親が自衛官だから、逆に俺みたいに引っ越ししない奴でも、仲の良い友達は一定期間で離れ離れになっちゃうんだってば。しかも、奴等は連続して引っ越すからずーっと連絡取り合うのはスゲー難しいのだった。うーん駄目。現実より陳腐な設定はやめてね。
例によっていなくてもいいという噂の野郎キャラは２名配置。高林と木地本は前作と大差なし。もっとときメモの好雄的存在を俺は推奨してるのだが…。
天体観測で引張る展開は、『星の瞳のシルエット』チックで個人的には買うんだけどねぇ。現実的には無理があるような(^^;
ＴＬＳは引越しして卒業するまでは遠距離恋愛、ハッピーエンド後は同じ大学に行ってとゆー、柊あおい先生のあれとかそれとかをまぜこぜにしてる感じで俺的には問題なしなんだけど、実際聞いた話でははそこまでして大学入学後１ヶ月で破局、とかもあるんで、『BOY'S BE…』とかでも思うんだけど＜告白至上主義＞のゲームはそろそろ＜それから＞を描いてほしいなぁ。
ネット使った遠距離恋愛ネタとかはどや？と思ったら既にノエルがあるよな。これからはネットによる長距離恋愛シミュレーションとかやって欲しいよな＞ゲーム業界。「果して遠くの牛肉より近くの豚肉に食指が動くのをいかにセーブするか」、みたいなのね。一つよろしく！

新・ロボコンに乾杯、ってゆうか、ロビーナにＬＯＶＥ！ - 99/02/08 00:00:00
本日の調子: やはり採点形式はやめて収支で判定するのが不況下の日本らしいと思うのだが。

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＃２月７日
馬路で１０年ぶりくらいに「宇宙船」を買った。前回買ったのは「紅い眼鏡」の特集記事が載った号だったから確かだ。「アニメージュとスターログと宇宙船はコンプリートですっ」ってツワモノが世の中には存在するんだろうが、んなもん購入ぜずとも俺は負けんぞ。（って最近は自信ないけどね）
これ買う時思ったけど、最近使ってる本屋さんが赤坂方面のけっこうビジネスメン向けの固いラインナップの奴に偏っていたせいもあり、久々に某書店の雑誌コーナーなどを見ると、おごっ、なんか興味ありげでなさげなヤツ（スクリーミング・マッドジョージの名前が出てるなーんかホラーっぽい造詣の奴や、なんだかダメ！って感じのフィギュア専門の奴とか、パソコン系でもモバ専だのやけにナンパでアニメ誌か美少女ゲーム誌と間違えそうな奴とかとか…）がわんさか増えていてもはや闘うビジネスマンとなった俺としては興味のある雑誌を読みまくる、買いまくる、なんてことは事実上不可能。もはや雑誌媒体から情報を吸収する作業というのはコストパフォーマンスが悪すぎて、ネット上の特定の濃い人＆ページから吸い上げるべきべきなんじゃないか、とか悟る昨今。スキャナー掲示板やメールでの情報の貴重さを身に染みて感じるとともにこれがサイバーエイジを生きるってコトか！とジェットボーイのように本棚を背にして思うわけであります。
で、話し戻ってロボコン。
監督はあの坂本さんだ！これは期待大！ロボコンであの異様な不条理ノリが？！
んでも、今日見た限りはお子様にもオールドファンにも納得の内容。シュシュトリアンの伊藤君の話みたいのばっかだったらどうしよう（嬉）、とか思ってたが最初からそれはねーか。
マココ（旧ロボコンに登場のオトコノコ）に対して同世代のジュンを配置しているが、今回はそれより年長の兄姉がいて、長男の方は趣味がパソコンのようだ。家族が豊富なほうが坂本さんも話しが組み立てやすいんだろうか？
そしてなによりも…ロビーナ！ＬＯＶＥ！
ラブラブアローで俺を撃ってくれ！スタンド使いにしてくれ！
今回は正真正銘、柔らかい肌（？）を持つパーフェクトロボ子だぜ！マルチなんか目じゃねーぜ！俺はモップよりも弓矢の方が好きだったんだよ、元弓道部だしな！
というわけで、坂本さん、俺、顔に包帯ぐるぐる巻きにして頭にパトランプを付けてＨＭＤ装着して「ロボキチ」とかゆー不良ロボットのフリするから出演させてくだせぇ！
そして、ビジンダーとワルダーなみのラブラブなシナリオを書いてくれぇ！（俺の９９年度の妄想＆願望に超決定）
ま、とりあえず、東鳩のアニメが始まってにわかマル子ファンが山のようにふえ、もともとのファンも勝手に熱くなるだろうから、俺はそっちからは一歩退いてロビーナに絞る。ってゆうか、俺、正直にいえば「マルチじゃ駄目だったけど、ロビーナなら可能」だもん。というわけで、本年度はロビーナ一本に絞ろうと思います。
人間ってゆうか、現実はとりあえず後回し。
んでんで、
ロボケロとは？！ビッグエコーの回し者か？
ロボボス、ロケットパンチを炸裂させて、人間様のなんの役に立つと？！
そしてロボビンとは？！ザボーガーの兄弟なのか？それともバイクルの弟なのかァ？！
とどめくらえ、ガンツ先生、かっちょよすぎ！しかも声同じ！バッテンパンチ出してくれ！
そして新しいロボコンは！なんとガソリンでなくコンセント充電で動く！しかもガンツ先生とはＩ／Ｆ接続でデータシンクロ！お前ＯＳはＷｉｎ／ＣＥなのか？脳みそはサイリックス製か？ガワはカシオ製かぁ～～？？？ （とスパークする俺）
「ローボコン、０点」の響きもなつかしい。
「今回のロボコンは空飛ばないんですね」と、後輩。
「馬鹿野郎！空を飛ぶパーツは３クール以後に出現させなきゃ駄目だろ！玩具が売れねーだろ！あと旧ロボコンでもあった車両形態の変化も忘れるな」と一喝。
ま、きっとそーなるでしょ。打ち切りなけりゃ。
特色のあるロボット玩具だのクレーンゲームの釣りモノだの、形態電話のヒモだの、ロボコングッズは商売しやすいだろうから長続きするほうにかけてもいいね。
ロボコン仲間の一期、二期生と今のロボの類似対応表とか書こうと思ったけど、なんの資料もないのでやめておこうっと。
某新聞の放送塔では「うれしなつかしが５票、思い出がだいなしが１票」だったそうだが、だいなしという票を入れた奴の記憶回路はきっと「ロボット１１０番」にリンクしているくらいかわいそうな能力の人でしょう。
そんなお前にはバッテンパンチだ！
ついでに見たギンガマンは最終回かと思ったらまだもう一回あったのね。特撮系の最終回前後の盛り上がりはシャリバンで頂点を極め、異様さではジェットマン（俺にほれろ！）で極めているので、もはや第一回はチェックしても最終回チェックはしていないのだった。ギンガマンは子門真人の主題歌で心が震えた＆星獣のパオパオさ加減に痺れたが、ギャルも減っちゃったしねぇ。黒騎士とかもかっちょよかったが、「生き別れの××」ももはや食傷とおりこして胃潰瘍ぎみなネタだしね。「あいむよーふぁーざー」「ＮＯ！ＮＯ！」で結構だよ。
んで次はゴーゴーファイブか。レスキューものと戦隊モノを合わせたモノになるのか？と思いきや、なんかファイブマンなみに兄弟戦隊みたいだ。どーなる？
ま、これなら後から一人増えてゴーゴーシックスとかゆー矛盾した名前にはならないようだな。というか、最近「ロクマルマルこちら情報部」を「ロクロクマルこちら情報部」とかと間違えてしまうような俺としてはデフォルト６人組みの戦隊モノを要求スルッ！
（うーん、ちゃんと当日に書いた感想なんだけど、アップは丁度一週間遅れになってしまったのぅ）

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